偶然、縁があってこのような大きな音楽の祭典に演奏者として、指揮者として参加できることを、大変光栄に思います。
今回この演奏会のために編成したバンドは、初々しい一年生から頭でっかちの大学院生まで揃っており、かなり層の厚い集団となっております。
少ない練習時間でありましたが、その中で精一杯音楽に向き合いました。
今回はトッププロであるシエナの皆様とご一緒するということで、少し緊張しておりますが、できる力を全て出し切りたいと思っています。
是非お聴きください。
東北大学学友会吹奏楽部
石郷岡信成(指揮)
仙台クラシックフェスティバル『よみがえる大地への前奏曲』の演奏によせて
鹿野草平
この作品は、(株)エヌシーネットワーク(代表取締役:内原康雄氏)による委嘱により、震災同年の11月に東北大学学友会吹奏楽部の皆さんによって演奏されたものです。
私は被災地より遠く横浜におり、制作にあたっては、
「被災地の方々に失礼ではないか?」
「情報と想像によって作った
楽曲が、果たして被災地に受け入れられるのだろうか?」
「この曲が社会にどう役立つのか?」
という自問自答が常につきまとっておりました。
あれから1年半が過ぎ、その問いの答えを未だに見出すことができていませんが、この度拙作が少しでもお役に立てる事を、とても嬉しく思っています。
同フェスティバルの関係各位、とりわけこの楽曲の演奏にご尽力下さっているボランティアの皆さまに、この場を借りて感謝の意を表したいと思います。
**********
私たちは、東日本大震災からの復興への想いを込めて作曲されたこの曲を演奏することで多くの人々の一助となれればと強く願っております。
つぎに、我々東北大学学友会吹奏楽部、パーカッションの松原拓也を紹介いたします。
まず、簡単な来歴です。
●都立小山台高等学校卒業。
●兄がギターを始めた影響で、ドラムセットに興味をもちはじめ、ブラスバンド班に所属し、中学・高校・大学と吹奏楽部でパーカッションを担当。
スティックを持つと、目に炎が灯ります!
●2010年、第8回JPEC/ジュニア打楽器アンサンブルコンクール(日本打楽器協会主催)に出場し最優秀賞受賞。
●東北大学文学部在学中。
次に、音楽的嗜好についてです。
●好きな曲はヨハン・デ・メイ『エクストリーム・メイクオーヴァー』、
ラヴェル『ピアノ協奏曲ト長調』、
ドビュッシー『小組曲』。
楽都仙台に住み、仙フィルの定期演奏会に会員となって通い、クラッシックの調べを満喫している。
指揮者、パスカル・ヴェロの大ファン。
●尊敬するドラマーは、Benny Greb、Stewart Copeland、
Gavin Harrison、Steve Jordan、高橋幸宏。
バンド、イエスの『時間と言葉』『危機』に強い衝撃を受ける。
●実は今、プログレッシブ・ロックにはまっています。
キング・キリムゾンは「太陽と旋律」のメンバーが最高です。
超おすすめです!
「せんくら」でシエナの皆様と共演する「よみがえる大地への前奏曲」では、キング・キリムゾンのように、同じ曲でも、メンバーによってその時々で変化する音のおもしろさを味わってみたいと思っています。
そして、このシエナの皆様との共演は、自分にとって最高のメンバーとの共演のメモリーとして、生涯心に残る演奏となることを確信しています。
明日は、もう一人の指揮者 石郷岡信成が“指揮者の決意”を語ります。
東北大学学友会吹奏楽部
マネージャー 大塚幸子
皆さん、こんにちは。
今日から3日間、せんくら初登場の「東北大学学友会吹奏楽部」のききどころについてご案内させていただきます。
はじめに、この公演No.71の目玉商品?である「よみがえる大地への前奏曲」は、2011年11月に当部が初演し、東日本大震災で被災されたすべての方々に捧げられました。
憧れのシエナ・ウインド・オーケストラのメンバーの方々との共演で、さらにパワーアップが期待されています。
また、今回、特別にヨーロッパの音楽の都、ウィーン在住のオーストリア日本大使 岩谷滋雄様から楽都仙台に、応援メッセージが届きました。
こちらです。
**********
東北大学のウインドオーケストラの皆様
「よみがえる大地への前奏曲」を携えての仙台クラシックフェスティバルへの参加、おめでとうございます。
「よみがえる大地への前奏曲」のオーストリアでの紹介に一役買わせていただいた者として大変うれしく思います。
ウィーンに住み始めて2年半になりますが、まだまだ日本人クラシック演奏家・作曲家の欧州での知名度が決して高くないことを認識しました。
まずは日本人自身が日常生活の中でクラシック音楽を特別の存在としてではなく、生活の中に溶け込んだ存在として楽しむ、という状況が作り出されなければならないのではないかと思います。
クラシック音楽のよく似合う仙台の地から日本全土にそのような文化が広がって行くことを期待しております。
演奏のご成功を心からお祈りします。
在オーストリア大使 岩谷滋雄
**********
さて、公演No.71で学生による演奏曲「フロ-レンティナー行進曲」の指揮を担当する、中村匠汰の横顔をご紹介します。
中村は、この日のために、何と特注のジャケットを羽織って舞台に立ちます!
では、中村のつぶやきをお聞きください。
「それは中学三年生の夏、全国大会への出場を賭けた、北陸大会1週間前のこと。
セクションリーダーを務めていた僕は、顧問の先生に呼び出され、金管セクションの根本的な見直しを迫られた。
その気迫に押された僕は、ほぼ反射的に「なんとかします。」とおもわず宣言してしまった!
一旦楽器から離れ、スコアを持って防音室へと閉じこもった。
するとどうだろう。
縦の線や音程音量といった、印刷されている「記号」の再現精度を上げることのみで満足していた自分の慢心に気が付いた。
記号としては明示されない、作曲者からのメッセージと真摯に向き合うことを忘れていた。
心静かにメッセージに耳を傾け、金管セクションとしての音のディレクションを見定め、ついには音に命が宿ったことを直感した。
これは、全国大会金賞につながった。
「いかにして音楽と対峙するか」ということを、先生と共に手を携え、心で語り合えた瞬間でもあった。
指揮者として音楽と関わることになったのは、この時の経験に基づいている。
音楽を通して、たくさんの心と語り合う。
そんな楽しみを、せんくらの公演では皆さんと共有したい。」
なるほど、音楽を愛するこころは、ひとつ。
プロもアマも国境もありませんね。
「せんくら」ならではの美しいエピソードでした。
明日は、「よみがえる大地への前奏曲」の作曲者 鹿野草平さんから頂戴したメッセージをご紹介させていただきます。
東北大学学友会吹奏楽部
マネージャー 大塚幸子