昨年のせんくらの反省点としての指摘の中に、①もっと県外からの集客をはかるべき ②お祭りとしてさらなる盛り上がりが欲しい、という二項目があります。
最初の「県外からの集客」については、一回目の実績をふまえ、PRにも様々な取り組みを行いました。アンケートの集計を終えないとはっきりしませんが、少しく手応えを感じています。来年は仙台・宮城に多くの観光客に来ていただくディスティネーション・キャンペーンの年でもあります。さらに工夫を重ねたいと考えています。
二つ目の「お祭りとしての盛り上がり」については昨年に引き続き地下鉄コンサートが行われたほか、商店街とジョイントしてのコンサートやグルメdeせんくらなど“せんくら街に出る”企画を実施し、せんくらにお見えになったみなさんに、仙台の街を回遊していただき、ホールにとどまらない、街のフェスティバルへの脱皮をトライしてみました。それはせんくらに集ったアーティストと観客そしてボランティアのみなさんたちがつくり出す熱いエネルギーが街に伝わり、ひいては音楽と街が共鳴し、音楽がまちづくりのひとつのキーワード役を果たすことはできないか、という試みでもあります。
すでにブログやアンケートでもいただいていますが、ご意見・ご感想をこの“成長するせんくら”にお寄せください。せんくらは様々な分野の数多くの方々に支えられて、ようやく実現する催しです。
関係者のみなさまに心からのお礼を申し上げます。
大澤隆夫
(仙台クラシックフェスティバル運営委員長・仙台市市民文化事業団副理事長)
《せんくら》を行う前には気がつかず、行ってみてはじめてわかったことが多くある。
ヘーゲル流に言えば「量は質を変える」ということかもしれません。
第1に聴衆についてですが、コンサートの梯子をする人が多く20も渡り歩くつわものも現れました。それでも3日間でせいぜい20が限界で101あるコンサート全体の5分の1というところです。どんなに効率良くまわっても聴けないコンサートの数が倍以上あることになります。そこで「これもあれも聴いた」でなく「これもあれも聴けなかった」という反応となり、他の気になるコンサートについて知り合いにどんなコンサートであったのか片端からたずねてみたくなる。その感想が人によってまちまちなものだから余計に気になってしまう。リサーチという大げさなことでなくとも「・・・はどうだった?」「私のほうは・・・だったわ」などと訊ね合う会話を各所で聞きました。ということは、《せんくら》は、批評家にとっても、コンサート・フリークにとってもすさまじい飢餓感を感じるイベントなのです。この飢餓感が、次の《せんくら》に足を運ぶエネルギーとなっているのではないでしょうか。
第2に演奏家サイドのことですが、“どこかで聴いたクラシック”というコンセプトはなかなか曲者でありまして、演奏家に新たな試練を課すことになっているようです。一種のコンクールの様に演奏家は意識するようです。音楽的テーマ設定の音楽祭と決定的に異なるところでもあります。プログラムの創り方にもよりますが、CDなどで散々流れている曲を弾かなくてはならない、聴衆と音楽家の関係が、従来のそれと違って聴衆の方が音楽家より優位な中で行われる。この関係の逆転は音楽家にとってコンクールのように感じる理由のようです。皆が聴いている曲をどう演奏するかは意外につらい課題で《せんくら》に招聘されたアーティスト同士のライバル心にどこか火がついているようにも見えます。こうしたアーティスト側の気持ちは、聴衆の期待感と交錯して《せんくら》独特の緊張感を生み出しているようにみえました。
第3は、主催者としてのことですが、地下鉄沿線といっても会場がこれほど多く分散して同時に行われる事業は他にありません。ホール・アテンダント能力が試されることになり、ここにも小さな競争があります。部・課長がいない中で、会場毎に自立化せざるを得ないわけです。担当者の負荷は半端でないと思いますが、走っているスタッフがいないと御喜さんにお褒めをいただいたように、ボランティアを含めスタッフの能力が確実についていることを確認できたことは嬉しいことでした。
この事業はまた今後の文化政策の新しい方向を占う意味でも重要です。つまり、これまでの「芸術文化の振興」に加え、「都市づくりに文化をどう活かせるか?」という視点です。今回行った「街中コンサート」や、「地下鉄駅コンサート」などの試みは、街中に音楽を溢れさせるという《せんくら》ねらいを表現するとともに、その認知度を高めることに大いに役立ったように思います。
しかし《せんくら》の「交流人口の拡大を目指す」というもうひとつの目的に対して結果は、圏外からのお客様より圧倒的に市内の集客が主でした。このことを改善しなければならない課題と考えるか否か私としては迷うところです。何よりもまず市民が楽しむ、それが本来的な祭りでないのか?そのことを積み重ねて何時かしら評判となり、共に楽しみたいと遠来のお客様も拡大していくというような長い目で考えてみることも大切なのではないかと思った次第です。
スタッフ・ボランティアの皆様お疲れ様でした。
志賀野桂一
(仙台市スポーツ文化部長、仙台クラシックフェスティバル運営副委員長)
せんくらにご来場くださいました皆様、ご出演くださいました皆様、誠にありがとうございました。
そしてボランティアの皆さん、たいへんお疲れ様でした。
出演者の方々は、45分の演奏のために、何倍もの時間をかけて準備してくださいました。
少し早めに来日したピアノのタン・シヤオタンさんは、朝9:00から夜10:00まで、食事は15分で済ませて練習していました。7日、朝1と最終公演に出演してくださった花房晴美さんは、その間ほとんどの時間をピアノのある楽屋で過ごされていました。他の皆様も同様です。
表方運営のボランティアの皆さんは、一同が会する3回の研修会、会場下見の他、運営の中心的役割を担っていた仙台国際音楽コンクールボランティア委員の皆さんによる、昨年の運営の検証から始まった打ち合わせは10回以上。
仙台国際音楽コンクール運営でのノウハウはしっかりあるとはいっても、全く異なる催しです。お客様が快適にコンサートを楽しめるよういいかげんな対応はできないと、開催内容の情報収集はもちろん、どんな疑問でも解決をはかり、本番に臨む様子には頭の下がる思いでした。
せんくらは本当にたくさんの力で成り立っています。
それぞれがそれぞれの役割をしっかりこなしてこそ、あの3日間が出来上がることを痛感しています。
来年のせんくらも、皆の力を合わせて、お客様が楽しんでくださることはもちろん、出演者、ボランティアの皆さん、そしてスタッフもより楽しめるフェスティバルになることを願います。
せんくら事務局 丹野裕子
せんくらもいよいよ3日目。もう最終日なのですね。
今日も気を引き締めていきます!
さて、せんくら実況レポートを、公式サイトの「スタッフレポート」にて紹介しています。皆様ぜひぜひご覧ください。
http://sencla.com/news/staff.html
せんくら事務局 高橋泰祐
今日からせんくら2日めです。
初日の昨日、せんくらは「晴れの日」にスタートしました。
(昨年は嵐の初日でした。。。)
昨日は、朝からたくさんの電話をいただき、現場スタッフは各方面をそれぞれ動きまわっているため、残された事務局づめのスタッフ数名は、さながらコールセンター状態。。。うれしい悲鳴です。
チケットは、6日の21時までに、有料93公演中、61公演が完売。http://sencla.com/
みなさま本当にありがとうございます。
7日、8日も、せんくら各会場だけでなく、ぴあのお店、ファミリーマート、サークルK・サンクスでチケットがお求めいただけます。
そして、せんくら2007ガイドブックは、各会場にて、500円で販売中。オールカラーのかわいい冊子です。
また、今年のせんくらでは、昨年ご好評いただいた地下鉄駅コンサートに加えて、まちなかコンサート、青年文化センター3Fでの「楽器に触れてみようコーナー」「SIMC(仙台国際音楽コンクール)の勝者たち」展など、無料で楽しめるさまざまな企画もご用意しております。http://www.sencla.com/more/kanren.html
また、イズミティ21でもCD販売と飲食のお店コーナーにて、せんくら2006写真展を開催しています。
みなさまぜひぜひ、せんくらにお越しください。
せんくら事務局 高橋泰祐