ポーランドでの日々~第2章~

2013.08.14| 中園理沙

皆さま、こんにちは。
私のブログ担当は今回で最後ですが、これを語らずしてポーランドの日々は語れない、というもう一つのコンサートについて綴りたいと思います。

私が出演したフェスティバル“W krainie Chopina”は、ワルシャワから車で約1時間の美しい街で開催されました。

会場には、まだリハーサル中の時間帯から、コンサートを楽しみに多くの方々が並んで下さっている…!
その光景を見ただけで、胸が熱くなってしまいました。
さらには、現地メディアの方々もいらして、撮影隊の人もカメラをどーんと構えているではありませんか!

しかし、変なプレッシャーも感じず良い緊張感の中で、ただただ自分の中から湧き出るものを、何も恐れることなく奏でられたのでした。
終演後は、アンコールを求めてくれる拍手が続き、抱えきれない程の花束とプレゼントをいただきました。

なかでも、胸を打たれたのは、ご自分の心臓のあたりをおさえながら

“あなたの演奏は私のココに響いた、あなたは音楽だわ”

と言って、涙を流しながらギュッと強く抱きしめてくれたご婦人。

そして、
“あなたがポーランドで感じとったものを日本に持ち帰って下さい”
という言葉。

今まで全く見ず知らずの人だった私達が、そして遠く離れた国のポーランド人と日本人が出逢い、コンサートで心が通じ合い、分かち合い、涙を流して喜び、抱擁しているなんて…!
それはまるで奇跡を見ているかのようでした。

このポーランドの旅で、私が得たものは数多くありますが、確実に言えることは、国境や人種、全てを越えて、音楽で心を通わせられるのだということ。
“想い”はちゃんと伝わるのだということ。
それを身を持って経験できたことは、何よりも大きな、かけがえのないお土産となったのです。

さて、それでは最後に皆さまにせんくらのメッセージを!

今年のせんくらは“お楽しみクラシックス”と題した盛り沢山の内容のコンサートです。
大人の方も子供さんも、また0歳児のお子様も入場できますので、普段は赤ちゃんと一緒にコンサートに行くことが難しいお母様やお父様も是非いらして下さい!
皆さまに、私がポーランドから持ち帰った“モノ”を、届けられるよう頑張ります。

それでは、皆さま。会場でお待ちしています!
中園理沙(ピアノ)

ポーランドでの日々~第1章~

2013.08.13| 中園理沙

こうしてポーランドへと旅立った私は、首都ワルシャワに約3週間滞在したのですが、今もこの3週間を想うと、故郷が恋しくてたまらなくなるような気持ちに駆られます。
ああ、またあのポーランドの人々に早く会いたい…!
と思わずにはいられません。
それくらい、この地で一緒に過ごした人々、出逢った人々は私にかけがえのないものをもたらせてくれたのです。

さて、滞在中に私は“W krainie Chopina”というショパンフェスティバルに出演することになっていたのですが、突如、また別のコンサートのオファーを頂いたのです。

ある日の車内、“リサ、あなたはもう一つコンサートをしたい?”と、突然たずねられ、“はい、もちろん!”と答えたら
“じゃあ、私達があなたのコンサートを設立するわ!”という驚きの展開になり、さらに驚くことにその3日後にコンサートが実現するという、日本では考えられないことが起きたのです!
この3日間、主催者の方々の努力には脱帽しきりで、私のプロフィールをポーランド語に翻訳し、プログラムから案内状の作成まで(これが本当に立派なもの!)奔走してくれていたのでした。
ただただ感謝の気持ちでいっぱい、私に出来ることは、皆さんの気持ちに精一杯の演奏で応えることです。

そして迎えたコンサート当日。
慈愛に満ちた眼差しで私を迎えてくれ、演奏が始まると真剣に耳を傾け、曲が終わる度に熱い拍手を送ってくれるお客様。
この空気の中で最初の一音を出した瞬間から
“ああ、私、ショパンの国で弾いているんだ…”
と、感極まり、そしてお客様の大きな愛に包まれているような感覚になり、ステージで心を解き放つことが出来たのです。

アンコール後には、多くの人々がステージに駆け寄って下さり、溢れんばかりの花束と抱擁(!)をプレゼントしてくれたのでした。
ああ、なんて幸せ!!!
中園理沙(ピアノ)

ポーランドでの日々~序章~

2013.08.12| 中園理沙

皆さま、こんにちは!
今日から3日間ブログを担当いたします、ピアニストの中園理沙です。
昨年、初めてせんくらに出演させて頂いてから早1年。

今もあのせんくらの感動が、心に深く刻まれています。
今年も、皆さんと心を通わせることができるように、1音1音に想いを託したいと思います。

さて。それでは、タイトルにありますように、今年5月から6月にかけて滞在していた私のポーランドでの日々を綴っていきますね。
“ポーランド”。この国の名前を知ったのは、幼少の頃、ちょうどショパンの曲に触れたのと同時でした。
当時、その甘美ながらも哀しみを帯びたショパンの音楽に心奪われてしまった私は、ショパンの虜と化し、ピアノに向かってはショパンの曲を弾き、両親が買ってきてくれたショパンに関する本を毎日のように読んでは物思いにふけっていたのです。
“ここがショパンの生まれた国なんだなあ…”
“こんなに美しい国が戦争でなくなってしまったことがあるなんて…”
“ショパンはどんな気持ちで作曲していたんだろう…” と。

その頃からポーランドは、いつもショパンの音楽と憧憬と共に、私の中で存在していました。
そして中学生になると、ショパン熱はヒートアップ。

“ピアニストになってショパンの国で演奏したい!”と、強く思うようになったのです。

そんな私はピアニストになり、デビュー5年目である今年、ついに長年の夢が叶う機会がやってきました。
ポーランドで行われるショパンフェスティバルにお招き頂いたのです!
夢心地というのは正にこのこと、浮き足立っていたのですが、次の瞬間、ふととてつもない緊張が走りました。
ポーランドの人々に私のショパンがどんな風に届くのか、受け入れてもらえるのか。
練習を重ねながらも、このような不安がなかなか消えなかったのですが、出発前夜、大切なのはそういった邪念を捨てることだと気付いた(開き直った?)のです。

いつも通り、音楽と聴衆の前に誠実に、自分の心のままに奏でる。私は私の愛するショパンを奏でよう。
そう思って、ポーランドへと旅立ったのでした。
中園理沙(ピアノ)

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