もう76年も前、僕の生まれて初めての旅は東北本線に乗り、青函連絡船に揺られて、母が育った室蘭にだった。
1歳にもならなかった僕が母に抱かれて函館埠頭で写っている写真がある。
武蔵野音楽学校で恋をし結婚した父と母の初めての子供だった。
両親は室蘭で演奏会をし、札幌では日本放送協会で演奏しのだが、祖父と祖母に初孫を早く見せたい気持ちもあったのだろう。
祖父小野誠と祖母かつは仙台の人。
だが眼医者であった誠さんは第一子である母が3歳の時に室蘭に移り、全部で9人の子供をもうけ、晩年はまた仙台に戻り、56歳の若さで亡くなった。
祖母かつは「誠さんはずるい。私を愛して愛して、さっさと往ってしまった」とよくぼやいていた。
仙台には叔父や叔母がたくさんいたので、僕は子供の時から仙台には良く行っていた。
いまでは従兄弟たちもたくさんいる。
6月16日にも出かけて演奏もしてきたところだ。
舘野泉(ピアノ)
雨が降ったりやんだりの一日。
今日は午後から歯医者に行ってきた。
入れ歯を作るので今月はもう3回目。
一週間後の4回目でやっと入れ歯が完成する。
思えばこのひと月近く上も下も歯がほとんどない状態でよく頑張ってきたよ。
4月の初めには1週間入院して両目の手術もしたんだよ。
白内障というやつ。
目をいじられるのは怖くて、これはもう30年近くも我慢していたのだけど、そろそろ年貢の納め時。
覚悟してやってもらったら見える見える!
眼鏡なしで遠くも近くも全部はっきり見えるからぶったまげた。
僕の仙台のお祖父さんは眼医者だったし、小父さんたち、従兄弟たち、従妹の連れ合いまで医者なのだから、もっと早く言うことを聞いておけばよかったかな。
それはともかく今日はマグヌッソンの「アイスランドの風景」
モンサルヴァジェの「3つの肖像」吉松隆の「平清盛」
光永浩一郎の「サムライ」平野一郎の「微笑の樹」を勉強。
よくやるな!
あと自分で自分を労って枝豆を茹で、アスパラガスも茹でて、それが今日のご褒美です。
もちろん芋焼酎で晩酌。極楽極楽。
ノルドグレンは勉強出来なかったけど、明日朝N響の練習に行く前にみます。
おやすみなさい。
舘野泉(ピアノ)
空梅雨だと思っていたら一転、各地とも大雨の予報が出ていて、東京もパットしない。
明日からN響との練習が始まるので、今日はその曲の勉強で一日が過ぎる。
その曲とはノルドグレン作曲の左手のためのピアノ協奏曲<小泉八雲の「怪談」による「死体にまたがった男」>だ。
2004年に僕が左手のピアニストとしてステージに復帰する時にノルドグレンが作曲してくれた。
以来現在まで10回ほど演奏しているしCDにもなっているが、日本のオーケストラとの共演は今回が初めて。
指揮は下野竜也さんで、昨年夏の一柳慧のピアノ協奏曲第5番世界初演以来だ。
これからの日本の音楽界を背負っていく逸材だと思っている。
10月の仙クラではノルドグレンは弾かないけれど、小泉八雲の伝説に基づいて<精霊の海>という素晴らしい作品を書いてくれた平野一郎さんの、これは円空に倣った<微笑の樹>という30分ほどかかる大曲を演奏する。
昨年12月8日に東京で世界初演、12月15日にベルリンでヨーロッパ初演した。
乞うご期待!
舘野泉(ピアノ)
*ノルドグレンの協奏曲は、日本のオーケストラと初共演と書かれていますが、
その後、ご本人の訂正がありました。
舘野泉オフィシャルブログにてご覧ください。
http://blog.izumi-tateno.com/