
仙台の皆さん、お久しぶりです!
ギターの福田進一です。
今年も「せんくら」の季節がやってきました。
思えば、第1回せんくら、その最初の演奏会が私のソロ・リサイタルでした。
あれから8年、震災の年だけは参加出来ませんでしたが、毎年このフェスティバルに常連のように出演させて頂けること、今や私にとって大きな楽しみと喜びとなっています。
今年はどんなプログラムを弾こうか、どんな音楽家と共演しようか、昨年のあの熱心なお客様にまたお会いできるだろうか…
いつも「せんくら」が始まる前に様々な期待感が胸をよぎります。
さて、今年は3種類の異なるギターを使い分けての参加となります。
まず、
バッハ・リサイタル(10月5日(土) 16:15~17:15
日立システムズホール仙台(青年文化センター)/コンサートホール)
では、1947年に製作されたドイツの名器「へルマン・ハウザー」を
使用し、オール・バッハのプログラムを聴いて頂きます。
えっ?ギターなのにドイツ製が良いの?と思われるでしょうね…
そうなんです。
現在、世界的に最も評価も高く、値段も高いギターはドイツの「ハウザー1世」なんです。
ほんの数年前にアメリカのオークションで落札された1951年のハウザー1世は、軽く一戸建てが買えるほどの史上最高額がつきました。
この名器ハウザーの誕生にはギターの巨匠アンドレス・セゴビアの助言が関わっています。
1925年頃にヨーロッパ・ツアーを行ったセゴビアは、当時まだ32歳でしたが、すでにギターの巨匠としての地位を確立しつつありました。
ミュンヘンを訪れたセゴビアは、これまでウィーン派の伝統的なギターを作っていたハウザーにスペインの名器であり全てのギターの元祖とも言えるアントニオ・デ・トーレスの存在やその流れを汲む自分の楽器マヌエル・ラミレスなどの「音」を伝え、研究するよう示唆したのです。
それからわずか10年後には、ハウザーの製作技術は、セゴビアがレコーディングでのメインの楽器として使用するレベルにまで成長しました。
特に、1936年に出来た逸品は「もう頼むからこれ以上のギターを作らないでくれ」と、セゴビアに言わせしめ、彼はその楽器がライバルの手に渡るのを恐れたのだとも言い伝えられています。
今回のリサイタルで使用するのはさらに10数年後の1947年作のハウザー、私にとっても、これ以上の音のギターを弾いたことはありません。
ライフ・ワークにしているバッハ作品のなかから、チェロ組曲、ヴァイオリン・パルティータ、そして名曲シャコンヌを中心にしたプログラムをお届けします。
福田進一(ギター)