みなさま、こんにちは。ピアノの鈴木美紗です。
ブログ担当最終日の今日は、“せんくら”の公演内容の詳細と、私が今回演奏させていただくショパンのバラード第1番と第3番について、お話したいと思います。
ショパン(1810-1849)は言わずと知れたポーランドの作曲家ですが、20歳そこそこでパリの音楽界に華々しくデビューした後、亡くなるまで祖国の土を踏むことは出来ませんでした。
当時、近隣の国々から弾圧を受け、国土の消滅の危機に立たされていたポーランド。
非常に不安定な政治情勢の中、ショパンは常に故郷を想い続け、彼の作品の核心は祖国への郷愁へ向けられており、その関係は切っても切れないほど密接なものです。
中でもバラード第1番は、戦争という逃れられない宿命を持ったポーランドを彷彿とさせる悲劇的な曲で、有名な『革命』のエチュードにもみられるような、行き場のない憤りや嘆き、深い闇に全体が支配され、運命と葛藤し闘う様子が描かれているように感じます。
第3番のバラードは、ショパンの恋人であるジョルジュ・サンドとの関係が最も満たされていた頃作曲されたためか、第1番とは打って変わって、またショパンにしては珍しく100%の幸せがギュッと詰まった曲だと思います。
恋人同士の愛の会話に始まり、水の精オンディーヌが登場する優美で魅惑的な世界。曲は終始愛の喜びに満ち溢れ、ハッピーエンドで締めくくられます。
これらの2曲はどちらも素晴らしい名曲ですが、耳馴染みのある曲であればあるほど、説得力のある演奏をするのは難しく、演奏家にとって高い壁を感じさせるものだと思います。
特に、私にとってのショパンは、例えるならば初恋の人のようなイメージで、中高生時代はショパンしか弾かなかったほど没頭したものの、留学してからはエチュード以外ほとんど弾かなくなったため、長いブランクを経て
今あらためてショパンに立ち返ると、緊張や戸惑いもあるというのが正直なところです。
あの頃から開いていない楽譜を開き、書き込みを見ると、何も考えず、感性のおもむくままに弾いていた — まさに怖い者知らずだった(笑)、当時のことが脳裏によみがえってきます。
“若気の至り”を恥ずかしく思い出しながらも、あの頃に戻りたいような、でも戻りたくないような…。
時が経ち、いろいろなことを経験した分、頭で考え過ぎてしまって、もう当時のように弾くことが出来なくなってしまい、それに苦しんだり、逆に救われたり…。
そんな色んな気持ちが混ぜこぜになった、複雑な気持ちになります。
でも、あの頃はあの頃で、今は今で、それぞれに別の表現方法があるのだろうと信じつつ、今の自分に出来る演奏を求めて、精一杯演奏したいと思います。
では最後に、私たちの公演の詳細について、改めてお知らせさせていただきます。
【公演番号48】
《F.ショパンのサロンⅡ -バラード全曲と即興曲- 仙台国際音楽コンクール出身3人のピアニスト》
2012年9月29日(土)13:00〜13:45 /太白区文化センター 楽楽楽ホール
【出演】法貴彩子、米津真浩、鈴木美紗
【演奏曲目】
即興曲第1番:法貴彩子
即興曲第3番:米津真浩
バラード第1番:鈴木美紗
バラード第2番:法貴彩子
バラード第3番:鈴木美紗
バラード第4番:米津真浩
なお、同日の11:00〜11:45、太白区文化センター 楽楽楽ホールでは、同じく仙台国際音楽コンクール出身のピアニスト仲間でもある、佐野隆哉さん、根津理恵子さん、美世真里奈さんによる《F.ショパンのサロンⅠ -練習曲(エチュード)- 仙台国際音楽コンクール出身3人のピアニスト》の公演(公演番号42)が開催されます。
みなさま是非、こちらへも足をお運びください。
また、もう1つお知らせがあります。
“せんくら”のプレ企画として、9月27日(木)に仙台国際音楽コンクールボランティア委員でピアニストの和久佳菜さんと、ジョイントコンサートを開かせていただきます!
時間は13時半〜と18時半〜の2回、場所はピアノテック仙台さんショールームです。
和久さんとはコンクールを通じて知り合って以来、とても親しくさせていただいており、一緒にチャリティーコンサートも企画・実行してきた、今の私にとってかけがえのない存在の方です。
大好きな方と一緒に弾かせていただけることを、大変うれしく思っております。
公演の詳細など、詳しくはこちらをご覧ください。
http://blog.goo.ne.jp/miwaku_bfc
“せんくら”が始まる前日ですが、こちらでもみなさまにお会いできましたら、とてもうれしいです!
ここで、私のブログ担当は終了となります。1週間お付き合いいただき、どうもありがとうございました!
少し気が早いですが、素敵な夏休みをお過ごしください。
それでは、当日会場でみなさまにお目にかかれますのを、出演者一同、心待ちにしております!
鈴木 美紗
こんにちは。ピアノの鈴木美紗です。
6日目の今日は舞台を日本から移し、ドイツ生活について 書きたいと思います!
先日、知り合いの親戚の方々が日本からベルリンにいらっしゃいました。
私は週末の観光案内役を頼まれたのですが、住んでいるといつでも行けると思って訪れなかった場所へも行くことが出来たり、人を案内することで、彼らのリアクションを通じてもう1度自分も新鮮な視点でベルリンを見ることが出来、いわば再発見したようで、とても有意義なひとときを過ごせました。
再発見と言えば、ここ数年連続で仲良しの友達と毎年訪れている場所があります。
そこはベーリッツというホワイトアスパラガスやイチゴなどの名産地で、ベルリンの西南にあるポツダムから、さらにバスで小1時間ほどバスに揺られると着きます。
日本ではアスパラガスと言えばグリーンだと思いますが、ヨーロッパでの春シーズンはホワイトアスパラが旬真っ盛りな時期で、バターと卵黄のオランダ風ソースをかけていただくのが主流です。
1度食べてみるとジューシーな甘みと芳醇な食感が口いっぱいにひろがり、やみつきになります。
(あぁ…また食べたくなってきました。笑)
みなさまも春のヨーロッパにお越しの際は、ぜひ食してみてくださいね!
なんだか、牛タンにホワイトアスパラと、食べ物ネタがよく登場するブログ内容となってしまいましたが(笑)、音楽家には食べることが大好きな人が多い気がするのは、私だけではないように思います。
例えば、イタリアの作曲家ロッシーニは美食家としても有名で、フィレステーキの上にフォアグラとトリュフを乗っけるという(なんという贅沢…!!)“ロッシーニ風ステーキ”という料理があるくらいです。
料理は味覚、音楽は聴覚で、どちらも感覚や感性といった点で近いところがあるのかも知れません。
では今日はこの辺で。
私のブログ担当の最終日となる明日は、“せんくら”の公演内容の詳細と、私が演奏する曲目について触れたいと思います。
鈴木 美紗
こんにちは。ピアノの鈴木美紗です。
5日目の今日は、今年4月に行われた“Charity Concert for Sendai Vol.2”について、お話させていただきたいと思います。
2012年2月。震災から1年が経とうとする頃、今年もチャリティーコンサートを企画しようかと、仙台国際音楽コンクールボランティアの方との間で話していました。
ちょうど同じ頃、昨年のチャリティーコンサート及び“せんくら”出演者の佐野隆哉さんからもお話が出ていたようで、それならば!と具体的に企画を進めることとなりました。
さっそく昨年のチャリティーコンサート出演者に呼びかけ、時期は今回も春休み中の4月上旬に決定。
その後、会場探しに難航していたのですが、懇意にさせていただいているお寺さんのご厚意により無償で貸してくださるとお申し出いただき、お言葉に甘え有り難く使用させていただくことに決まりました。
そして、今年も満開の桜の下、迎えたコンサート当日。スタッフ・出演者のみなさんとの再会は、とてもうれしいひとときでした。
リハーサル、打ち合わせを無事済ませ、いざ開演。
出演者全員での挨拶に始まり、法貴彩子さんのフォーレとマルタン、津島圭佑君のシューベルト、美世真里奈さんのベルクと続いて休憩。
休憩中は前半のメンバーを中心に募金の呼びかけをし、後半は私のドビュッシーの後、佐野隆哉さんのショパンで締めくくられました。
おかげさまで予想以上のお客さまにご来場いただき、途中で楽屋の椅子を移動するなど、満員のうちに終了することが出来ました。
今回も、仙台から東京まで駆けつけてくださった仙台国際音楽コンクール事務局およびボランティア関係者の方々をはじめとした、スタッフ・出演者のみなさんのご協力のおかげで第2回も開催することが出来、心から感謝しております。
本当にありがとうございました。
打ち上げは3次会まで続き(笑)、次回の企画案も持ち上がりました。
回を重ねるごとにより良く、より自分たちに出来ることを模索してゆけたらと願っております。
来年はどのようなコンサートになるのか、楽しみです!
写真は、開演中の出演者全員によるご挨拶の様子です。
会場は絵画がご趣味の住職さんによって集められた絵画や掛け軸が並び、アットホームで素敵な雰囲気でした。
コンサートの開催レポート及び寄付金のご報告の記事は、こちらをご覧ください。
http://blog.goo.ne.jp/charitysendai/e/e40ac8bc0e8af849b753565d654b07dd
鈴木 美紗
こんにちは。ピアノの鈴木美紗です。
4日目の今日は、昨年の“せんくら”についてです♪
昨年、震災直後の4月頭にチャリティーコンサートを開催してからしばらく経ったある日、幸運にも“せんくら”への出演依頼をいただき、大好きな仙台にまた戻って来られることが本当にうれしく、心待ちにしていました。
(※昨年のチャリティーコンサートの模様は、こちらをご覧ください。
http://blog.goo.ne.jp/charitysendai/e/55706c97dd0d96fdca6db0e6fab206c2 )
2011年10月1日、ついにその日が来ました。
仙台に来るのは震災後初めてだったので、正直なところどんな風になっているのかドキドキしながらの再来仙だったのですが、JR仙台駅やその周辺、街の中心はパッと見る限りは以前と変わらぬ様子で内心ホッとしつつ、ホテルでのチェックインを済ませました。
ロビーでは奇遇にもコンクール出身の出演者全員と会い、半年ぶりのみんなの顔を見れて安心した後、さっそく牛タンを堪能(※前々回のブログ参照)し、仙台に来た実感を100%味わいました。
そして翌日、公演本番。
私たちの公演会場は、コンクールの時にホストファミリーの方と初めてお会いしたり、ボランティアの方々にお世話になった思い出の場所、青年文化センター交流ホールでした。
コンクール以来初めてホールに足を踏み入れた瞬間、独特な懐かしさに包まれ、今自分がここに居ることを不思議に感じ、特別な気持ちになりました。
簡単なトークの打ち合わせを法貴彩子さん、米津真浩君と済ませ、いざ本番。
トークはほとんどぶっつけ本番でしたが、センターで1本マイクを3人で使うという法貴さんのアイディア“トリオ漫才スタイル”を採用、やっていて楽しかったです。
今でも覚えているのは、スタッフの方にやや困惑気味に、「お1人1本ずつでなくて良いんですか?」と尋ねられられたこと。
そんな出演者は初めてだったのかもしれません(笑)。
お互いの演奏を客席で聴けなかったことは残念でしたが、それぞれに異なった曲目で、なかなか聴きごたえのあるプログラムだったのではないかと思いました。
“せんくら”では、バラエティーに富んだ他公演を多く堪能できることも、醍醐味の1つです。
私たちは演奏後、河村尚子さんや、小山実稚恵さんの素晴らしい演奏を拝聴しました。
本当に忘れ難い貴重な時間を過ごさせていただき、大満足で会場を後にしました。
そして向かった先は、スタッフの方々も交えての打ち上げ!!
最高に楽しかったです♪
鈴木 美紗
こんにちは。ピアノの鈴木美紗です。
さて、今日は前回に続き、私が思う仙台の魅力《後編》について綴りたいと思います。
仙台を想うとき、触れずにはいられないのは「人の温かさ」です。
これまでも何度かお話していることなので、以前と内容が重複するかもしれませんが、私は仙台で何度も心が洗われる思いを体験しました。
例を挙げればきりがありませんが、例えば一昨年、七夕祭りを訪れ再来仙したときのこと。
花火大会を堪能し、ホストファミリーとボランティアの方と食事をした際に、写真を撮ってもらおうと店員さんを探したのですが、なかなか来ません。
すると、すぐ隣に座っていたカップルの2人が、ほぼ同時に「写真撮りましょうか?」と申し出てくれたのです…!
ちょうど少し前に、私が仙台の人々の心の美しさ、温かさについて話していたところだったので、これには一同顔を見合わせました。
出身地を訊いてみたところ仙台とのことで、やっぱり!!と思ったのでした。
コンクール直後、東京の殺伐とした満員電車の中で心無い行為に遭遇したとき、私は仙台を懐かしく想い、仙台の人たちの心の豊かさに改めて感動せずにはいられませんでした。
「やはりこの街には人を優しくする何かがある!」と確信しています。
遠方にお住まいのみなさまも、“せんくら”をきっかけに、是非仙台を訪れてみてください!
では明日は、昨年の“せんくら”について、お話させていただきたいと思います。
鈴木 美紗
こんにちは。ピアノの鈴木美紗です。
2日目の今日は、私が思う仙台の魅力《前編》についてお話したいと思います。
仙台と言えば…みなさんは何を思い浮かべますか?
私の独断と偏見で言わせていただくならば…、
なんと言っても「牛タン」でしょう!!!
何を隠そう、私は仙台が牛タンの発祥地と知る前の子供の頃から、牛タンが大好きでした。
東京出身ですが、焼き肉屋へ行けば必ず“牛タン塩”から注文していましたし、牛タン定食も大好物でした。
ベルリンでの仙台国際音楽コンクールのオーディションで、スタッフの方から短いインタビューを受けた際も、「仙台で楽しみなことは何ですか?」の問いに真っ先に「牛タンです」と答えたくらいです(笑)。
実際、コンクールでの初来仙の際には、仙台出身のサンドウィッチマンがとある番組で言っていたイチオシの牛タン専門店情報をメモした手帳を携え、気合いを入れて臨みました。
特に、彼らが太鼓判を押していたお店には何度も足しげく通い、あまりの美味しさに最終的には店主の方に感動を伝えたほどでした。
ただ1つ衝撃的だったのは、サンドウィッチマンが勧めていたはずのお店なのに、店主さんは一度も彼らを見ていないとのことで…?
謎が残りました。
そのお店はそのとき以来行けていないので、今回は是非再訪したいと思っています。
それでは今日はこの辺で。
明日は私が思う仙台の魅力《後編》です♪
鈴木 美紗
みなさま、こんにちは!
昨年に引き続き“せんくら”へ出演させていただくこととなりました、ピアノの鈴木美紗です。
今年も参加させていただけることを大変光栄に思っております。
今回も前回同様、過去の仙台国際音楽コンクール出身のピアニスト仲間達と出演いたします。
どうぞよろしくお願いいたします。
今回演奏させていただく会場、太白区文化センター 楽楽楽ホールではオール・ショパン公演が企画されており、私たちはバラード全曲と即興曲2曲を担当させていただく運びとなりました。
メンバーは昨年と同じく法貴彩子さん、米津真浩君、私の3人で、ショパンの名曲をリレー形式でお届けいたします。
お2人とも私が心から尊敬する素晴らしいピアニストで、今年も共に出演できるのがとてもうれしく、今から楽しみな気持ちでいっぱいです!
ブログ初日の今日は、仙台と私の繋がりについて、少しお話させていただきたいと思います。
私は現在ベルリン在住で、日本とベルリンを行き来していますが、2010年に仙台国際音楽コンクールへ参加させていただいたことをきっかけに、たくさんの貴重な出逢いに恵まれました。
ありがたいことに2年以上経った今でも仙台と繋がっていることが出来、本当にうれしく思っています。
今思えば、その時から何か運命的な強い力が働いていたのかも?
と思わずにはいられません。
特に昨年の大震災後、コンクール出場者の有志が集まり、チャリティーコンサートを共に企画・開催したことで、私たちの間柄はピアニスト仲間から、仙台を想い、自分たちに何か出来ることをしたいと願う同志へと変わったのでした。
コンサートの半年後“せんくら”でも再会し、そして今年の4月にはチャリティーコンサート第2弾を開催することが出来、私たちの絆は以前にも増して固く強くなったように感じています。
(Charity Concert for Sendai 公式ブログ:http://blog.goo.ne.jp/charitysendai/)
なお、このシリーズはこれからも毎年4月頭の開催日程で続けてゆこうと話が決まっております。
仙台をこよなく愛する私たちがお届けするショパンの調べを、公演内容など詳細につきましては、私の担当最終日にお話させていただきますね。
それでは今日から1週間、どうぞよろしくお付き合いください♪
鈴木 美紗