このベビーバギーは、私がアメリカに行った6才の頃にお人形用にと買ってもらったものです。
気の遠くなるような年数なので何年前のものと明記するのはあえて避けさせて頂きますが(笑)、母がずっと大事にとっておいてくれ、自身もとても愛着があったものでしたが、この度断捨離中に思い切って親友の7才の娘さんにあげてしまいました。
‘70年代のアメリカらしい、ポップな配色と柄がかわいく、しっかりとした骨組みで折り畳むことも出来ます。
日本ではあまり見かけませんが、アメリカの幼児は歩けるようになる頃になると、必ずと言っていいほどバギーに人形を乗せて押して歩いているのです。自分が乗った方がいいのでは?!と思ってしまう小さい女の子がこういうバギーを押して散歩をしている姿は、それはそれは微笑ましく、たまらなく可愛いのです!
いつまでも思い出としてとっておきたく手放すのをずいぶん迷いましたが、私の娘も充分使いましたし、友人の子が嬉しそうに押しているのを見て、また違うおうちで「大事なもの」となってくれるのも幸せなことだな~と思いました。
思い出は形に残すものではなく、心のなかに残るもの。
音は消えてなくなってしまうけど、音楽も心に残り続けますよね。
今年もせんくらで「思い出づくり」、しましょう。
今日で最後のブログとなりました。読んでくださってありがとうございます。
See you soon!
三舩優子(ピアノ)
好きなピアニストはたくさんいますが、まだ演奏を聴きに行ける人の中でとても心酔しているひとりにヴァレリー・アファナシェフがいます。
学生の頃から、彼が来日した時には極力足を運んでいますが、特に近年のコンサートは哲学者のお話を聴きにいく、、、という感覚で、深く感銘を受けます。
彼のリサイタルは作曲家の想いやその作品の意味に繋がりをもたせてプログラム作りがされていて、たとえば演奏の順番はベートーベン、ドビュッシー、リスト、またベートーベン、と時代は飛び、なおかつソナタの中の1楽章だけだったりいきなり小品になったりと一見バラバラなのですが、全体を通して聴いていくとひとつの流れが見えてきて、本を読んだかの如く強い説得力を持つのです。
ゆえに、曲間の拍手もなしで、登場するや否やただちに弾き始めるのも独特のスタイルです。
作家としても彼はすでに3冊の本を出しています。
その中でも一番新しいのが写真の「天空の沈黙」。
昨年リサイタルに行ってサインをして頂いた私の現在のバイブルです!。
非常に高度な、考えさせられる内容なので何度も読み返しながら
理解を深めていますが、 彼の思想や音楽に向かう姿勢すべてを敬愛していると言っても過言ではありません。
左上のプログラムは自身のコンサートのときには必ず持ち歩いて演奏前に読み返したり、 右上のインタビュー記事はキッチンの目に付くところに置いて、料理しながらちらちらと目に入るようにしていたり・・・
そうです、ただの追っかけです(笑)。
演奏のみならず、ことばでもっても影響を与えられる彼の才能には圧倒されます。
その彼の言葉を繰り返し読みながら、音楽に対する真摯な気持ちを常に忘れずにいなければ、と自分を戒めているのです。
三舩優子(ピアノ)
私がお酒好きなことは結構知られてきているかもしれませんが、ここ数年は日本でもすっかり日常的に飲まれるようになった”ワイン”が私にとって日々の友です。
そのおかげで人との交流も広がったり、お酒を通して文化を知ったりと、ただ飲んでるだけではなくいいことも多々あります(言い訳?笑)。
美味しいワインにはどんなお料理と合わせるかも大事なポイントなので、料理の知識やレパートリーも増えました。
しかし一応手の仕事をしている者としては、コルクを抜く作業がちょっと負担に感じることもあったり。
でもガスでシュポっと抜くのもなんかあっけないしなぁ〜と思っていたところ、友人からとても便利なものをもらいました。
電動式のオープナーで、写真にある黒い筒をボトルにかぶせてボタンを押すだけでぐるぐると中でコルクを抜き、しかも絶対失敗がないのです!
ついでにもう一つご紹介したいのは右のボトルにかけてあるクレ・デュ・ヴァンといって、ワインの飲み頃、熟成度を測定出来る道具。
先にある円形の同色の特殊合金部分(パスティーユ)をワインにつける1秒ごとが、1年の熟成度に相当して味が変化していくというもの。
5秒だと5年、10秒だと10年...と味が変化していくのが画期的です!
触媒として作用するのでワイン自体に他の物質を与えることなく、本体も消耗しないので、お湯でさっとすすぐだけで半永久的に効果が保証されているそうです。
赤ワインのタンニンは和らいでまろやかになりますし、白だと酸味を抑えてフルーティーさが増しておいしくなるので、外出先でちょっと口に合わないワインや低価格なものにこっそりひと触れさせたり出来るスグレモノです。
三舩優子(ピアノ)
私が小学校5年生の頃から共に歩んで来たパートナーのピアノです。
それまでアップライトよりさらに小さいスピネットを弾いており、ショパンのワルツを勉強し始めてさすがに連打やペダリングに限界を感じて買い替えたのがこのピアノで、今でも大事に私を支えてくれています。
NYに住んでいた頃買ったのですが、調律の方にいろいろ探して頂いた中でもっともしっくり来たのがこの1943年生まれのNYSteinway。
今ではなかなかなくなってしまったマホガニーの本体と象牙の鍵盤です。
一度弦を張り替えましたが、元の弦の低音部は純銀でした。
当時は何も考えず業者の方に預けてしまいましたが、今になって「あれだけの銀があればかなりのジュエリーが作れたかも!!」などと悔やまれます(笑)。
それほど大きいピアノではないですし、当然コンサート会場にあるものとは音量もタッチも違うので本番前はスタジオに練習しに行くこともありますが、やはり音色がたまらなく良いので、今の自分の「音」というのはこのピアノによって作られていると思います。
おっきな地下スタジオにドーンとフル・コンを2台並べてガンガン練習してみたい気ももちろんなくはないですが、海外ではかなり偉い先生や音楽家でも意外と古ーいピアノを愛用し続けていたりしますし、私もこの恋人と末永く添い遂げたいな、と思っています。
三舩優子(ピアノ)
昨日は先日発売された新譜についてお話ししましたが、今日はその中のピアソラにまつわる話をしたいと思います。
私がピアソラの名を初めて聞いたのは中学1年生くらいの頃でした。
ひと頃活躍していた私の叔父のギタリスト、故芳志戸幹雄からあるとき「ピアソラって知ってるか?」と言われ、テープを聴かされたのがきっかけでした。
アメリカに居た小学校時代にいろいろな音楽に触れてはいたのですが、バンドネオンを聴くのは初めてで、”こんな音楽があるんだ...”ととても印象に残りました。
残念ながら叔父は私がデビューするかしないかの頃に40代で亡くなったのですが、いつも彼がこもっていた書斎の棚にピアソラのテープが何本かあったのは強く目に焼き付いていて、亡くなった時にそのテープだけ何本かもらっておいたのです。
今回録音するにあたってレコーディング前にそのテープを聴いておかねば!と必死に探したのですがなぜか見つからず、録音を終えた直後にひょっこりと出て来たのがこの写真のテープでした。
1982年にピアソラが初来日した時のライブ録音で、NHKによってデジタル録音されFMで放送された時のものだと思います。
テープが足りなかったからかライブの前半しか入っていないのですが、奇しくも今回私が叔父を思いながら捧げるつもりで入れた「天使のミロンガ」も入っていました。
CDに a mis tíos、(私の叔父へ)と記したのはそのためです。
叔父が亡くなってかなりの年月が経ちましたが、こうして思い出とともに音源が残り、彼の書いた字が残り、そしてピアソラの素晴らしい作品を今私がピアノでもって受け継いでつないでいく。
これこそがまさに音楽の素晴らしさなのではないかと思うのです。
三舩優子(ピアノ)
ブログ2日目です☆
8月22日に新しいアルバムが出ました。前回のバーバー作品集と同じオクタヴィア・レコードからで、「南米作品集」です。
曲目はこんな感じ:
ヴィラロボス:南アメリカ
ヒナステラ:・アルゼンチン舞曲集
・組曲「クレオール舞曲集」
ピアソラ:・3つの前奏曲 ピアノのための
・ピアノのための組曲 作品2
・ 天使のミロンガ
ピアソラは今年没後20年の記念イヤーでもありますが、おそらく一番馴染みのある有名な曲と言えば「リベルタンゴ」ですよね。
今回はピアソラの作った“ピアノ曲”にこだわり、彼が一時的にクラシック作曲家を目指していた時期に作曲された作品などを入れてみました。
いわゆるバンドネオンの彼独特の世界もありますが、とても前衛的だったり、逆に美しくリリカルなメロディーが際立ったりと、おもしろい曲ばかりです。
ヒナステラはピアソラの先生だった人。
アルゼンチンを代表する作曲家で、技巧的にも音楽的にも作品の完成度の高さには唸ります。
そして曲順でかなり悩んだ末、1曲目にもって来てホントによかった!と思ったヴィラ=ロボスの「南アメリカ」。
「赤ちゃんの一族」など名のある曲集はありますが、この作品と南米のイメージの象徴として、あえてこの「南アメリカ」を選びました。
ゆったりとしていながら、突然燃え上がる情念。その激しさのスケール感が実に心地よく感じる曲です。
このジャケ写も実は結構苦心しました!
「おとな」なイメージにしたかったのですが、どんなポーズがしっくり来るのかなかなか決まらず・・・結局自分でふと髪を崩してイメージだけでささっと取ったポーズが意外といいかも♡となり、デザイナーさんの手によって素敵な作品に仕上げて頂きました。
録音、撮影、仕上げ...と、信頼のおける素晴らしい方々の一流の仕事によって作られた大切な新譜です。
個人的には「もう1回弾き直したーい!」という心境ですが、そうしていると永遠に先に進めないので(笑)。
リサイタルではこの中からも演奏しますのでよろしくお願い致します!
三舩優子(ピアノ)
皆さま、お元気ですか?
今年も待ちに待ったせんくらに伺えますこと、心より嬉しいです。
昨年は開催されるかどうか・・・という中、どのコンサートも大勢のお客様にお越し頂き特別な想いで演奏しましたが、今年もまた少しずつでも復活に向かって頑張ってきた1年分の皆さまの想いを受け止めながら、神聖な気持ちで演奏したいと思っています。
5回目の参加となった今回はリサイタル、0才~の名曲、朗読とピアノで綴る「くるみ割り人形」、そして7人のピアニスト達が共演するピアノ・フェスの4演目です。
最近2台ピアノ、3台ピアノでコンサートをする機会が増えて来たのですが、同じ楽器の仲間、ましてや日頃ほとんどの場合はひとりで活動しているピアニスト達が 同時にステージに立てることは本当に楽しく、お客様にもきっとそれが伝わるのではないかなと思うので、楽しみにしていてください♪
極上「ピアノ尽くし」です!
リサイタルは「情熱のラテン!」ということで、南米やスペインの曲をやる予定です。
実は先日、南米作品集のアルバムが出ました。
そのお話は明日させて頂きたいと思います。
早く皆さまにお会いしたいです!
三舩優子(ピアノ)