みなさま、こんにちは。
先日25日に引き続き、もう1度ブログを担当させていただきます、鈴木美紗です。
私たち“仙台国際音楽コンクール出身 6人のピアニスト”によるブログ担当も、いよいよ本日で最終日となりました。
この1週間、出演メンバーの皆さんそれぞれの素顔や個性が垣間見られる素敵なブログが綴られており、とても楽しく拝見させていただきました♪
では今日は、私が演奏させていただくドビュッシーの『映像 第2集』について、お話させていただきますね。
クロード・ドビュッシー(1862-1918)は、「月の光」や「亜麻色の髪の乙女」などで知られるフランスの作曲家です。
これらの曲に比べると、この『映像 第2集』はあまり一般的ではないかも知れませんが、素晴らしい名作であり、私の大好きな作曲家の1人であるドビュッシーの曲中でも、特に好きな作品です。
この曲は3曲で1つの組曲として成っており、それぞれにタイトルがついているのですが、これがまた詩的なのです。
まず1曲目が“Cloches à travers les feuilles”—日本語で“葉ずえをわたる鐘の音”と訳されますが、その名の通り、鐘と葉のざわめきという2つの要素が描写されており、それらが互いに共鳴し合い、音と光のハーモニーを織り成している曲です。
続いて2曲目“Et la lune descend sur le temple qui fut”—“そして月は廃寺に落ちる”では、時が止まったかのような忘我の中、神秘的な月の光のファンタジーがエキゾチックにくすぶり、静かに薫り立ち、溶け合います。
そして最後は“Poissons d’or”—“金色の魚”です。
“金魚”と訳されることもありますが、いわゆる金魚ではなく、金色の錦鯉が描かれた日本の漆絵からインスピレーションを得たのではないかと言われています。
曲は水面の静かなさざ波に始まり、水しぶきを上げ、縦横無尽に泳ぐ魚の絶え間ない動きや、それに呼応する水の泡立ちや光のきらめきといった情景が、茶目っ気たっぷりに描かれています。
途中の「気まぐれに」と書かれたセクションではジャズのおしゃれなコードが登場し、ドビュッシー特有のエスプリが光っています。
全体的に非常に技巧的で、曲集を締めくくるのにふさわしい、華やかな作品となっています。
これらの魅力的な3曲を通じて、色とりどりのファンタジーの世界にみなさまをいざなうことができたら、と思っております♪
では最後に、私たちの公演の日時と場所について、改めてお知らせさせていただきます。
“駆けつけた仙台国際音楽コンクール出身 6人のピアニスト”—心を込めて、つむぐ美しいメロディー
10月2日(日)仙台市青年文化センター 交流ホール
【1】 10:30〜11:15 米津真浩、鈴木美紗、法貴彩子
【2】 13:00〜13:45 美世真里奈、佐野隆哉、根津理恵子
(以上 出演順、敬称略)
当日みなさまにお目にかかれますのを、出演者一同、心待ちにしております。
それでは、会場でお会いしましょう!
鈴木美紗
追伸:写真は、ベルリン芸術大学美術科の校舎の中庭で行われた野外コンサートの時のものです。
とても自由な雰囲気で、芝生に寝転がる人あれば、ホットドックやビール瓶片手に聴く人もあり…
舞台には子供達が今にも上がって来そうでした(笑)。
みなさま、こんにちは。
昨日登場の佐野隆哉くんと大学同級生、根津理恵子です!
第2回仙台国際音楽コンクール・オーディションでは、佐野くんに伴奏をして頂きました。
私も、コンクールへの参加をきっかけに仙台の皆様の温かさに触れ、この街の虜になった一人です。
この度、仙台をもう一つの故郷として慕うピアニスト5名と共に、由緒ある音楽祭のステージに出演させて頂けますことを光栄に思っています。
今回の演奏曲 「ショパン:アンダンテスピアナートと華麗なる大ポロネーズ」は、コンクール後のチャレンジャーズ・ライヴで演奏した曲で、仙台との絆を結んでくれた、私にとって非常に思い出深い作品です。
その時お世話になったホストファミリーご夫妻との親交は、年月が経つほどに深まっており、毎年仙台でのコンサートを企画して頂いたり、休暇に招いて頂いたり…、交流の輪は現在も広がり続けています。
震災後、被災されているにも関わらず、より被害の大きかった方のために募金をなさりたいという、仙台在住の方の熱意と、私自身も微力ながら何らかお役に立てれば…との思いで、チャリティーコンサートを仙台と東京にて企画、開催いたしました。
復興に於いて、音楽がどれほどの意味を持っているかなどを考え出すと、きりがありません。今はただ、音楽を通して会場が一体となる感覚に身を委ね、少しでも心の痛みや緊張をいやして頂けるのであればと願うばかりです。
大切な心の故郷・仙台への祈りと感謝を込めて演奏いたします。
最後は、もう一度鈴木美紗さんへバトンをお返しします!
根津理恵子(ピアノ)
昨日の美世真里奈さんに続いて、本日は佐野隆哉が担当させて頂きます。
先日、父親の実家のある福島に家族で帰省しました。内陸にあるために津波の心配はありませんでしたが、原発に比較的近い為に、未だに放射能の影響が生活の様々なところに暗い影を落としています。
そんな中で、90歳を過ぎた祖父の元気な姿を見られたのは、何よりの救いでした。
「ここらは何もないけど、本当に良いところだったのに…」
という言葉が、頭から離れません。
震災後、より家族や友人との絆の大切さに気付かされました。
時には、その思いが垣根を越えて、見知らぬ他人への力ともなります。
私達ピアニストに出来る事は限られていますが、音楽を通じて、私達自身もまた大きな励みを貰っています。
4月には、そんな思いを共有する仙台国際コンクール出場者の有志でチャリティーコンサートを開催しましたが、今回のせんくらでは、そのメンバー達がまた集結します。
私自身は、「愛」をテーマにリストの「イゾルデの愛の死」と「リゴレット・パラフレーズ」を弾かせて頂きます。
世の中には様々な愛の形がありますが、音楽を通して私自身の思いを届けられたと思います。
仙台の皆様との再会を楽しみにしています!
さて、明日は芸大時代の同級生、根津理恵子さんの担当です。お楽しみに。
佐野隆哉(ピアノ)
皆様、こんにちは!
法貴彩子さんに続きましてこちらのブログを書かせて頂きます、ピアノの美世真里奈です。
今秋の仙台クラシックフェスティバルに、過去の仙台国際音楽コンクール(SIMC)の出場者仲間のピアニストの方々と共に出演させて頂くことになり、 大変光栄に思っております。
私が仙台を初めて訪れたのは昨年1月のSIMCのオーディションの時ですが、オーディションの時から既に、仙台の皆様の本当に温かい雰囲気を肌で感じて、何としてもこのコンクールに参加したい、もう一度仙台に来たい!と強く願いました。
その後、幸運にも願い叶って6月のコンクールに出場させて頂き、期間中にボランティアの方々とお話させて頂き「せんくら」のお話も伺ったりしまして、結局、三週間近くを仙台で過ごしたのですが、ますます仙台と仙台の皆様が大好きになってしまい、仙台を離れる時は大学入学のために18歳で出身地の神戸を離れて上京した時よりも辛い思いだったのです。
私は現在も東京在住ですが、8歳の時に地元神戸で阪神淡路大震災に遭い、その時に様々な事態を体験しておりますので3月11日からこちら、そんな大好きな仙台が受けられている苦しみが、私にはなおさら自分が今まさに体験している事のように思えて、痛いほど分かるというよりも本当に身を切られるような痛みを感じながら、ただ一人の人間として祈ること、そして今回同じ公演に出演させて頂く仲間と共に、ささやかなチャリティーコンサートを開くことしか出来ませんでした。
ですが、多くの方のご尽力で今年も「せんくら」が開催されるということ、そして出演させて頂けます事は、私にとっても本当に大きな喜びです。
仙台の皆様が音楽を求めてくださっているということ、そして私がほんの僅かながらそれにお応えできたならば・・・、こんなに嬉しい事はございません。
まだまだ未熟な音楽家の卵ではありますが、今できる最高の演奏を仙台の皆様にお聴き頂けますよう、日々精進して参りたいと思います。
10月2日、初めてお目にかかる皆様、そしてもちろんSIMCの時にお世話になった皆様に、せんくらの会場でお目にかかれますのを心より楽しみにしております。
それでは、次の佐野隆哉さんにバトンタッチさせて頂きます!
美世 真里奈(ピアノ)
こんにちは。京都府出身のピアニスト 法貴彩子です。
せんくらでは、10月2日に“仙台国際音楽コンクール出身6人のピアニスト”の中の1人として、ラヴェル作曲ラ・ヴァルスを演奏させて頂きます。
いろいろなひとやものごとの出会いに“運命”というものがあると私は思いますが、演奏者と曲との出会いにも、縁や運命があると思います。
ラ・ヴァルスは私にとって、そんなことを強く感じさせる曲の中のひとつです。
私は高校卒業後すぐにフランスに渡り、8年間の留学生活を終え今年2月に帰国しました。
ラ・ヴァルスは渡仏前から憧れを抱いていた曲で、留学6年目を過ぎたあたりでやっと着手しました。
ご存知のとおり、この曲は、もともとはオーケストラのために書かれた曲であり、ラヴェル自身がピアノ1台用に編曲した楽譜がありますが、楽譜どおり弾くのでは音が省略されすぎていて薄っぺらく聞えるところが多々あるため、演奏者自身がアレンジしながら弾く場合が多いです。
私も、パリやリヨンで複数の先生にレッスンをして頂き、アレンジや、曲全体を支配するテンポ設定など、試行錯誤を繰り返しました。
しかし中には“楽譜どおりに、アレンジ無しでシンプルに弾くのが最近の主流だ”と、強く仰る先生(ちなみにフランス人)もいらっしゃったりしてなかなか方向性が定まらず、あっちへいったりこっちへいったり、
いろんなラ・ヴァルスを弾いてきましたが、ようやく今の形に落ち着きました。
またこれから進化(ときには退化も?)していくかもしれませんが(笑)。
東日本大震災の9ヶ月前に、仙台国際音楽コンクールのため初めて仙台の地を踏んだことも、そこでたくさんの方と充実した貴重な時間を過ごせたことも、運命だったような気がします。
コンクールでは、思うような演奏が出来ずとても悔しい思いをしたはずなのに、仙台の街と、そこで出会った全ての方々がとても親切で素晴らしくて、地元と同じくらい仙台を好きになってしまいました。
今年のせんくらは特に、せんくらに関わる全ての人の特別な思いによって開催され、そして演奏者全員も、それぞれの思いを胸に演奏するのだと思います。
ラ・ヴァルスは、4月に東京文京区で行われたチャリティーコンサートfor仙台でも演奏しましたが、大好きな仙台の地で、長い間温めてきた曲をどうしても弾かせていただきたい気持ちがありました。
ラ・ヴァルスはフランス語でワルツという意味です。
せんくらの会場を1855年ごろのウィーン宮廷の雰囲気で満たし、皆様を非日常の空間にお連れ出来れば幸いです。
法貴彩子(ピアノ)
皆様、はじめまして。前回のブログ担当、鈴木美紗さんからバトン受け取りました牛タン大好き男の米津真浩です。
鈴木さん同様僕も仙台国際コンクールを受けた時に仙台の魅力にどっぷりはまった一人でございます!!
仙台の方って皆さんどうしてそんなに優しいの!?
ってくらい皆さん温かで(笑)当時少し病んでいた自分ですが、その人の温かさに本当に救われました。
また、牛タン(絶品です!)の美味しさも加わり心身ともにエネルギーをいただきました(笑)
地震。あの日を、あの瞬間を境に、人生が変わってしまった。
大切なものを失い、描いていた未来が崩れ・・多くの悲しみを抱えたままの方々も大勢いらっしゃると思います。
僕は幼いころ父を病気で亡くしましたが、その時感じた人の命の尊さ、重みは自分の心に深く刻まれています。
あの瞬間に多くの尊い命が失われたと思うと本当に悲痛な思いでいっぱいです。
心よりお見舞い申し上げます。
今回の演奏曲はショパンの幻想曲です。
この曲は葬送的な重々しい楽想ではじまりますが、心の複雑な葛藤や中間部の祈りのようなコラールを挟み希望の光、天へ舞い上がるようにして終わる曲です。
未熟者な自分ですが、仙台の皆様に救っていただいた様に、何か少しでも音楽を通して心のやすらぎや希望を感じていただけたら幸いです。
またこのような機会をいただけました事、尊敬する仙台大好きメンバー5名とともにステージに立てることを本当に光栄に思っております。
ありがとうございます。
わけのわからぬ文章になってしまったかもしれませんが・・
ここらへんで次のメンバー法貴彩子さんにバトンタッチです♪
待ってろよ~仙台!牛タン!楽しみです♪
それでは法貴さんよろしくお願いいたします!!
米津真浩(ピアノ)
みなさま、はじめまして!
今回初めてせんくらへ出演させていただく、ピアノの鈴木美紗です。
せんくらでは、過去の仙台国際音楽コンクール出場者のピアニスト仲間達と、6名で2公演に出演させていただきます。
どうぞよろしくお願いいたします。
せんくらは、私の留学先ベルリンでのクラスメイトの津田裕也さんや、恩師のパスカル・ドゥヴァイヨン先生と村田理夏子先生も出演されており、私にとって馴染みのあるフェスティバルなので、今回このような形で出演させていただけることを大変光栄に思っております。
私は昨年6月、仙台国際音楽コンクールピアノ部門へ参加させていただいたのですが、その際、仙台の方々は本当の家族のように温かく迎え入れてくださり、大変お世話になりました。
実家の東京、留学先のベルリンと続いて、仙台が“第3の故郷”と勝手に銘打ったほど(笑)私はすっかり仙台の虜となり、仙台好きが興じて、去年はコンクール参加者最長滞在記録を打ち出し、七夕の際も再度来仙したほどで…周りが呆れるくらいでした。
その大好きな仙台に、天災は降り掛かりました。
私はちょうど震災の前日に、春休みの一時帰国で東京に戻っており、あの揺れを体験しました。
実家に被害はほとんどありませんでしたが、それでも留学して以来全く経験していなかった地震だった上に、今まで感じたことのない大きな揺れで、もうこれまでか…とも思いました。
東京でもかなり揺れて大混乱になっていたのに、震源が東北地方だと知った時には、頭を殴られたような衝撃が走り、すぐに仙台のみなさんのことが脳裏に浮かびました。
幸い、私の知り合いの方々の無事は確認できましたが、全員の方の安否が分かったのも数日後のことで、ただただ混乱の続く日々でした。
それから、少しずつ交通や流通が回復し、物資も遅延必至ながらも送れるようになった頃、「仙台でお世話になった方々に、私に何か出来ることはありますか」と、親しくさせていただいている仙台のボランティアの方に直接お伺いしました。
自分としては、日用品などの物資を送ることしか頭になかったのですが、その方から意外にも「チャリティーコンサートをしてください」と言われ、驚きと同時に、ピアノを弾いて良いのなら自分にも出来ると、やる気と力がみなぎってきました。
それまで、毎日入って来る予想外の深刻な情報に為す術もなく、ただ途方に暮れていましたが、その瞬間から、ようやく自分の中に内なる目標が見つかり、それからは準備と企画の毎日で、あっという間に2週間が過ぎていきました。
そして、たくさんの方々のご協力およびご尽力のもと、さまざまな偶然と幸運も重なり、晴れて4月7日に、仙台国際音楽コンクール出場者のピアニスト達と共に、満開の桜が咲き乱れる東京で、チャリティーコンサートを開催するに至りました。
おかげさまでコンサートは大盛況のうちに終了し、集まった義援金は仙台のボランティアの方の手により、仙台市災害対策本部へ寄付されました。
(※こちらがチャリティーコンサートを行うにあたって立ち上げた、Charity Concert for Sendai実行委員会のブログです。
http://blog.goo.ne.jp/charitysendai/)
このチャリティーコンサートによって私たちの絆はより固く結ばれ、今回のせんくら出演のお話をいただいた時も、コンサートの出演メンバーを中心とし、仙台とゆかりの深い根津理恵子さんをお迎えして、すぐに再結束されました。
仙台が大好きな6人がここにまた集まり、もう1度仙台で演奏させていただけることを、出演者一同、大変うれしく光栄に思っております。
そして、今年のせんくらのテーマ「音楽とともに前へ、仙台」のように、私たちの演奏によって、小さな一歩でもみなさまと前へ進むことができたら、こんなに喜ばしいことはありません。
今回一緒に出演する方々は皆素晴らしいピアニスト達ばかりで、みなさんと同じ舞台に立てるのが今からとても楽しみです!
では今日から1週間、リレー形式で、出演者のみなさんとブログのバトンをつないでゆきますね。
なお、私は31日にもブログを担当させていただく予定です。
次回は演奏プログラム等について、お話させていただこうと思っています。よろしくお願いいたします。
それでは、米津真浩君にバトンタッチ!します♪
鈴木美紗(ピアノ)