それでは、仙台で・・・

2009.09.19| 若林顕

過去に仙台では、仙台フィルハーモニーの定期演奏会に呼んでいただくなど、協奏曲の演奏会はかなりいただきましたが、今回のようなソロコンサート、は初めてになります。

名古屋でのベートーヴェンピアノソナタ連続演奏会のあと、再びベートーヴェンのソナタばかりになります。

そして今回、ヴァイオリニストの鈴木理恵子さんとのデュオも初めてになります。
以前室内楽で、何度かご一緒させていただいた事がありましたが、今回は、ヴァイオリンソナタ中心のプログラムと、久石譲さんやピアソラなどを含む小品のプログラムでも、ご一緒させていただきます。

音楽に対して謙虚で自我のない、本当に自然で美しい音楽性をお持ちの素晴らしいヴァイオリニストですので、共演させていただくのがとても楽しみです。

又仙台クラシックフェスティヴァルのように、様々な、通常より短めのコンサートがたくさん盛り込まれた形は、皆様にとても幅広く、音楽を聴いていただきやすく、本当に素晴らしいと思っております。

皆様と演奏会場でお会いできるのを、今からとても楽しみにしております!
若林顕(ピアノ)

 

すべては●●のため

2009.09.18| 若林顕

今から5,6年前頃になりますが、ピアノ協奏曲の弾き振りを始めました。

最初は大阪で、よくピアノ協奏曲を弾かせていただいたいたオーケストラの方に初めてのチャンスをいただき、やらせていただいたのです。
後半の交響曲も振るという形で、モーツァルトの22番とショスタコービッチの1番の協奏曲、ベートーヴェンの2番交響曲、というものでした。

その後現在まで、プロのオーケストラや、音楽祭の寄せ集めの室内オーケストラ、等を中心に、様々な機会をいただく事ができて、とても感謝しております。
モーツァルトの協奏曲などで、指揮者とご一緒にやらせていただく形は、よりピアノに専念できるのでもちろん素晴らしいのですが、一方、全員がプレイヤー同士として、積極的に参加して、多少のアンサンブルの支障、特に縦の線のずれなどが若干伴っても、音楽の表現の中で、様々な会話をしながら展開する音楽も、とても美しく素晴らしいのではと、いつも感謝しながら弾かせていただいております。

この経験を通して得るものははかり知れません。
一番大きいのは、やはり自分の考えをはっきり再確認できる事、そして音楽を、ピアノからだけではなく広い視野や角度から見る事が出来るという点で、ピアノのソロに還元されるものがとても大きいと感じています。

すべては、より音楽的なピアノ演奏ができるために、という一点のために!これからも続けていけたらうれしい活動の一つです。
若林顕(ピアノ)

格闘技ファン

2009.09.17| 若林顕

音楽家には、意外と「格闘技ファン」が多いようです。

ピアニストの中ではどうか??わかりませんが・・・
私は以前から空手や格闘技がとても好きでした!

小学生だった頃テレビで見た、アントニオ猪木 対 ウィリー・ウィリアムズの試合は、忘れがたいものがあります。
あの緊張感は、子供心にも強烈なインパクトでした。
何が好きなのかなぁ~と思うと、やっぱりあの真剣な瞬間、を観るのが好きなんだと思います。
高ぶった気持ではない一瞬の、何かと合致した時に出る技や動き、一流選手のそれは、やはり極められた美しさを感じます。
あと試合における、気の流れ、といったものにもとても興味をひかれます。

こじつけるつもりはありませんが、この気の流れなどは、まさしく音楽でも同じような現象があると感じます。その一瞬の間の取り方、音にも。

私は、もう10年以上前になるかと思いますが、格闘家の前田日明氏と、対談をさせていただいた事があります。
体の大きさや独特の強いオーラも強烈でしたが、非常に紳士的で、謙虚なお人柄にとても感銘を受けたのをよく覚えています。

やっぱり、ひとつの事に真剣に取り組んできた人の言葉は、本当に説得力があるのだなあと、つくづく感じました。ヴァイオリニストでは、ミシャ・エルマンがお好き、と聞き、ぶっ飛んだのをよく覚えています。

時々チラッ、チラッ、とこちらを見てくださる目が、若干、いや、かなり怖かったですが・・・。

リングに上がる直前まで、「突然の何かで試合が中止にならないかな~」といつも思われるそうです。
怒られるかもしれませんが、私もステージに出るまで、怖くて怖くて、
まったく同じことを考えてしまうので、共通点を見つけとてもうれしかったです。

でもやはり、本番前までに、出来る限りの準備をしなければならない、
という事が、最大の共通点でした。
若林顕(ピアノ)

クラシック以外の音楽

2009.09.16| 若林顕

私の家系は、両親を含めクラシック音楽に携わった人は皆無で、私も単に習い事の一つとして、近くの音楽教室に通わせてもらった、というのが、この道に入る唯一のきっかけでした。

ベートーヴェンの運命、田園交響曲の、出だしの部分は知っていたものの、その他はさっぱり、といった感じからのスタートです。

最初の頃の先生は、いわゆるピアノの専門の先生ではなく、声楽や作曲の先生だった事もあり、わりと音楽に対してピアノに対して自由なスタンス、気持ちで接していたようです。
音楽に対する考え方や感じ方も、あまり既成概念にとらわれない、独自の自由な発想をベースにしています。

そういう事もあってか、以前からクラシック以外の音楽も好きで、例えばカーペンターズの歌などは以前から大好きでした。
ハイファイセットの詩情も、シビレルものがあります。

最近では小田和正さんの歌も大好きで、ライブにも足を運びました。
頭や気持ちが限界で酸欠状態の時など、いつも救われる思いです。
やっぱりどんなジャンルの音楽であっても、その人がいかに気持ちを込めているか、魂を込めて音楽をしているか、というのが最も大事で尊くて、本質なんだろうなと、強く感じています。

自分でもコンサートで、映画音楽やJポップスのピアノ用の編曲ものを取り上げる事がありますが、クラシックであろうとそれ以外であろうと、
ピアノを弾く時は常にこの点にいつも気持ちを置いています。
やっぱり音は、その人の心の派動そのものであって、この波動が聴いてくださる方々の心に、どこまでも通って行ってしまうのだと思います。

車に乗る時に、クラシック以外の音楽をガンガンにかけてドライブすると、疲れも吹き飛ぶよう、ちなみにドライブでクラシックでは、チャイコフスキーは欠かせません!

でも音楽に入り込みすぎて興奮しアクセルを踏み込みすぎないように!、いつも気を付けております。
若林顕(ピアノ)

 

カール・ライスター氏との出会い

2009.09.15| 若林顕

室内楽をやってきた中で、一番衝撃的で決定的だったのが、ベルリンフィルのクラリネット奏者だった、カール・ライスター氏との共演でした。

ピアニストにとって、良く鳴る音や歯切れの良さ、は勿論ですが、柔らかい音色、滑らかなレガート、は永遠のテーマだと思います。
これはピアノの楽器の構造上、一番難しい部分なのです。

最初の出会いだった曲は、モーツァルトの「ケーゲルシュタット・トリオ」
(ピアノ、ヴィオラ、クラリネット)、そしてブラームスのクラリネットソナタ1番、2番、その後もシューマン、プーランク、ルトスラフスキー・・・・・

約10年ほどの間、クラリネットの主要なレパートリーを網羅する勢いで、数多く共演させていただきました。

最初の頃から、「音が硬い、硬ーい、硬ーーい!!!」
「そこはレガート、レガーート!、レガーーートーッ!!」と、冷静な中にも極度な集中力と注意力を強いられ、、あー、思い出すと今でも胃がキリキリするような、厳しさでした。

しかし、こんなにありがたい音楽的経験は後にも先にもなかったくらいで、又これは自分にとって決定的ともいえる転機となり、ピアノの奏法を、その方向で更に考え直し、研究を続けていく原動力になりました。

しかもそれらを含むすべての私に対する要求は、自分の音が目立つように、ふきやすいように、等というものではなく、あくまでも音楽にそった、趣味や解釈を超えた正しい秩序、であったと思います。

それらを自分のソロ演奏に還元し、生かしていこうと、今も奮闘中です。
若林顕(ピアノ)

ピアニストの孤独

2009.09.14| 若林顕

音楽家は孤独、とよく言われますが、ピアニストほど孤独なジャンルはないと思います。

ピアノは、一人ですべてを網羅します。
一人でオーケストラであり、室内楽奏者であり、歌手であり、そして究極の個人的な想いを吐露する詩人にもなり得る、その表現力の幅は断トツとも言えると思います。

その分、練習はいつもたった一人、音楽を構築・創造していくのも一人、
演奏旅行も一人、、色々な瞬間に、「きついな~ さびしいな~」と、よくせっぱ詰まります。
でもその、一人、がまたとても落ち着き、好きな所でもあるようです。
そうでもなかったら続けて来る事ができなかったでしょう。

そんなソロ活動の中、様々な個性の気の合う音楽仲間たちとやる室内楽は、ピアニストにとって本当にうれしい時間です。

私は幸運にもキャリアの最初のころから、素晴らしい方々との多くの室内楽の機会に恵まれてきました。
自分の小さく、かたくななカラを破ってくれる、本当に貴重な経験の連続でした。

一人で孤独なピアニストだからこそ、人と会話し、喜びや悲しさ、美しさを分かち合う、といった音楽に向き合う根本的な大事な姿勢を、その都度改めて思い返すのです。
しかし、ピアニストにとって多くの室内楽曲は、ソロと同じ、時にはそれ以上の練習が必要・・・他の楽器ももちろんそうだと思いますが、やっぱり音が多い分、旋律楽器より準備の時間がかかるのかもしれません。

ソロ活動とのバランスにだけは気をつけて、今後も続けていきたいと思っております。
若林顕(ピアノ)

ベートーヴェン漬け

2009.09.13| 若林顕

こんにちは
ピアノの若林顕です。

この度仙台クラシックフェスティヴァルに参加させていただくことになり、
とてもうれしく光栄に思っております。

私はブログというものを一度も書いたことがなく・・・
今回出演者という事で依頼をされまして、何を書いたらよいのかなぁ~と正直なところとても不安な気持ちなのですが・・・
今やっている事や、日ごろ思っている事、好きな事、等々ざっくばらんに気楽に書かせていただきたいと思っています。

現在は、9月18日~23日、名古屋で行われる、ベートーヴェンのピアノソナタ全32曲を、5回のコンサートで弾くという企画のため、ベートーヴェン漬けの毎日を送っております。

これは数年前、たまたまホールの方とご一緒の際、「ベートーヴェンの全32曲のソナタを3日間で弾き切るのは可能なものですか??」と質問を受け、その時完全に他人事のように「ハイ、大丈夫ですよ!」

・・・と言ってしまった事から始まりまして・・・
その後色々と経緯を経て、今回の企画が生まれたのでした。

これは確かに大変な作業ですが、私としては当然ながら、何かの記録狙い、又は、力技の誇示、といった目的では全くありませんで、このような短いスパンで演奏させていただく事によって、まるでベートーヴェンの生涯を追体験するような、他では見えにくい、ひとつの独特なラインといったものを味わえるのではないか、といったところに意欲を持ったのです。

あくまでもベートーヴェンの「音楽」を楽しんでいただく目的なのです。
またこのシリーズではあえて、全5回とも、すべて楽譜をおいて演奏する予定でおります。

ベートーヴェンの音楽は本当にごまかしがききません。
そのエネルギーと深さは特別なものがあると思います。
又、すべての人が持っているであろう、外からは決してわからない個人の悲しみや苦しみ、といったものまでも溶かしていってしまうような、偉大な浸透力があると感じています。

それにしても、大変な事になってしまったと・・・
後悔、いやいや、本当に貴重な機会を与えていただいたと、感謝をしながら練習の毎日です。。。
若林顕(ピアノ)

 

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