【出会い】
一週間はあっという間に経ってしまい
今日がもう最終回となってしまいました。
今回は岡村喬生先生とご一緒させていただき
本当に嬉しく楽しく光栄でした。
そして私の拙い文章を一週間お読みくださった方々に
心から感謝いたします!
最後に私事でまことに恐縮なのですが、
9月28日2年半ぶりに行うアコーディオン・ワークスにおいて
今回は吉松隆さんの新作初演という名誉に恵まれました。
実はこの素晴らしいチャンスを与えてくれたのが
昨年の「せんくらポッドキャスト」であります。
というには、ちょうど私の収録が終わったときに
吉松隆さんがスタジオに入ってこられて
そこでいろいろなお話をしながら、
この幸運をつかむことが出来たというわけです。
このような【出会い】はまさに神様からの贈物だと思います。
今年も再び「せんくら」に出演できますことは
私にとって大きな喜びであります。
主催者の方々はじめ多くのスタッフとボランティアの皆々様
ほんとうに、ほんとうにありがとうございます!
10月の再会をいまから心待ちにしています。
【シェルブールの雨傘】
日常生活において、ふとしたことから予期せぬ展開、例えば知らない路地に迷い込んでしまったりすることがある。でも、もしそこには美しい花が咲き、可愛い猫がくつろぎ、いかにも美味しそうな小さなパン屋があったとしたら・・・私だったらまず猫に声をかけ、花をデジカメに収め、ちょっとドキドキしながらパン屋を覗き、まだ自分が一度も口にしたことがないパンを手に取るかもしれない。それが予想以上に美味しかったら、自分の味覚に新発見を見出し、翌日からの朝食風景に小さな変化が生まれるかもしれない。
ある日、『シェルブールの雨傘』の楽譜が送られてきた。尊敬する佐渡裕氏との共演なので、「えぇ~?映画音楽?」とは言わず、真面目に練習を始めた。
すると序奏からして、すでにゾクゾク感が伝わってくるではないか?その叙情溢れる美しいメロディーと切ない響きに私はすっかり酔いしれ、時間の経つのも忘れて弾き続けていた。それはうっかり迷い込んだ路地があまりに美しく、そこから出られなくなったような体験だった。
私のレパートリーには今までなかった映画音楽から、これほどまで心動かされたことは大きな驚きであり、自分がどれほど自分の好みを知らないかを、それは教えてくれた・・・
この写真は、ノルウェーの古都ベルゲンで撮ったものだが、こんな異国の路地に迷い込んで何故か出られなくなってしまう・・・そんな情景をテーマに、今回はソロ・プログラムを構成しました。お聴きいただけたらほんとうに嬉しいです。
55番:10/12(日)10:45-11:30 仙台市青年文化センター/D.交流ホール
私は小さい頃から美しい風景を眺めることが何よりも好きでした。
なんだか年寄りじみた子供と思われるでしょうが、人混みと騒音が苦手で、満員電車やデパートの特売場などはまさに悪夢でした。お友達と一緒に町へ出掛け、買物や食事をして遊ぶこともたまにはありましたが、そういう時間からエネルギーを得ることはまず不可能でありました。ですから13歳の春に単身ドイツを訪れ、シュワルツワルトの深い森に囲まれたメルヘンのような小さな街トロッシンゲンを見た瞬間、無条件に魅了されてしまったのです。
だからといって大学の定年まではまだまだ…、「風景との対話」だけを生活のテーマに出来るほど時間もお金もないのですが、はっとさせられる風景に出会うと、その余韻はいつまでも心に残り、直接ではありませんが演奏上でもインスピレーションやアイデアとして、少しばかり良い効果があるようです。
大好きな作曲家の一人E.グリークが22年間、亡くなるまで住んでいたトロルドハウゲンの家は大きな湖のほとりにあります。グリークは「私はこの地球上にパラダイスを見つけた」と言ってこの地を愛したそうです。 昨年11月ちょうど日没の頃、アンドレ・ワッツ、夫シェンクと一緒にここを訪れましたが、空と雲と水と森がほとんど同系色となって静寂の中に横たわっている、それは現実から遠く離れた不思議な空間であり、いつまでも忘れられない美しい風景でした。
私は、ドイツ・エッセン市にあるフォルクワング音楽大学でアコーディオンを教えています。
平均でいつも10人くらいを教えていますが、国籍は現在セルビア、ロシア、フィンランド、ブルガリア、日本、オーストリア、ドイツ、ルクセンブルグの8カ国で、年齢は19~29歳、男女の割合はまあ半々といったところです。音楽大学の本科は個人レッスンですから、毎週一人一人を60分~120分教えるわけですが、私の生徒には2人として似たタイプがいません。性格のみならず個性、習慣、趣味、演奏スタイル、どれをとっても皆さん全く異なります。これは長年教えてきて感じることなのですが、「アコーディオン奏者になろう!」なんてことを考え付く時点で、すでに世の中の平均から離れ、どこかずれているのでしょうか。
私から見ると実にバラバラ・タイプの集団ですが、不思議なことにクラスはそれなりにまとまっていて、もちろんライバル意識はあるでしょうが、他の楽器のクラスに比べると横の繋がりは強いように感じます。この写真は、昨年12月に行われた「慣例クリスマス・コンサート」その打ち上げ会のスナップです。尚、どのグラスも空になっていますが、この10人には一つだけ共通点があります。それは「お酒が非常に強い」ということであります。
長いこと外国に住んでいる日本人は、ほとんど例外なく日本食が大好きだと思います。私の場合は外国生活がこの秋で36年になりますが、日本食に勝る食文化は他にないと信じて疑いません。幸いデュッセルドルフにいることが多いので、日本食に困ることはないのですが、ちょっと疲れたとき、食欲のないときなど、「お刺身、焼き魚、酢の物、山菜、白いピカピカのご飯…」などを思い浮かべるだけで空腹感が体内に生まれてきます。また心の通った友人達と楽しい夕食会をしたいと思うとき、まず候補に挙がるのが「日本食レストラン」であります。そして不思議というか嬉しいというか、最近では外国人でも”日本食がベスト”と信じている人が年々増えはじめ、ドイツ人の夫など、食卓にお箸が置かれているだけで「今日は日本食?」と満面の笑みを浮かべます。
仙台には美味しいものがたーくさんあります。 今回は夫も一緒なので「仙台に行ったら何を食べようか、何を飲もうか…」と今からその日を楽しみに心待ちにしています!
大きな空と白い雲、そして広い地平線がわたしは大好きです。
この風景は自宅近くの散歩道なのですが、ここに2本の木があります。右のそれは幹から大枝、小枝まで緻密かつ左右均等に育ち、まっすぐ空に向かって元気に伸びています。しかし左側の木は(きっと同年齢&同種と思うのですが)、右の木に寄りかかりながら枝も少なく不揃いで、なんとなく「一人では生きていけない」といった印象を与えます。しかしこの体力・体質・キャラクターの違いが、なぜかバランスのとれたひとつのハーモニーをつくっているように私には思えるのです。もしここで左の木も右同様に枝ぶりよく、まっすぐ垂直に伸びていたら2本の木はそれぞれに孤立してしまい、白い雲にも、広い草原にも、大きな青空にも馴
染まず、地平線ですら単なる一本の背景線としてのみうつるのではないでしょうか。
「デュオ」とは「2つ」という意味ですが、この2本の木に実に似たデュオが身近に存在します。もし次のコンサート→:(88番:10/13(月)13:00-13:45仙台市青年文化センター/D.交流ホール)にいらしていただけたら、そんなデュオを聴いていただけると思い、今日はこの写真を記載させていただきました。
みなさまこんにちは!
アコーディオン奏者の御喜美江です。
今日から一週間「せんくらブログ」でお喋りさせていただきます。
どうぞよろしくお願いいたします。
*
今日は日本の東北地方で大きな地震があったそうですね。
いま私はドイツのデュッセルドルフにおりますが
テレビニュースで知り、とても、とてもびっくりしました。
そして「仙台は大丈夫だろうか・・・」と大変心配しています。
地震は突然やってくるので本当に恐ろしいです。
まずは皆様のご無事と、これ以上の地震がこないことを
心からお祈り申し上げます。
尚、第一回目から「怖いこと」について書くつもりはなかったのですが
2日前の大雨でオランダの自宅が水浸しになったり
2ヶ月前の台所におけるケーブルショートで火事寸前を経験したり
( http://mie-miki.asablo.jp/blog/2008/04/27/ )
そして今日の東北地震のニュースを耳にしてしまうと
大自然を前に人間など本当に小さな存在と思ってしまいます。
6月と言えば一年中で一番明るい時期。
西ヨーロッパはすでに初夏とも言えますが
この写真からは「まあ、なんという服装?」と思われるでしょう。
でもこれはつい最近のものなのです。
ドイツもオランダも四季はちゃんとあるのですが
気温の変化は年々異常になるような錯覚を覚えます。
地球もそろそろ・・・なんて思ってしまうとき
次の言葉が思い浮かびました。
Und wenn ich wüsste,dass morgen die Welt unterginge,
würde ich heute noch mein Apfelbäumchen pflanzen. (Martin Luther)
たとえ明日、地球が滅ぶとしても私は今日りんごの木を植えるだろう(マルチン ・ルッター)