原田哲男(7)

2008.06.07| 原田哲男

今日で僕のブログも最終回となりました。Eメールであっという間に連絡がつく時代なので便利になりました。でもその半面(時代とともに)機械に追われて私たちは自らをますます忙しくし、新しい技術を使いこなさなければならない状況においているのでしょうけれど。その点弦楽器の演奏というのは昔からそうたいして変わりません。弦と胴体を震わせていい音がすれば良い。 ただ・・その簡単そうなことがなかなかうまくいきません。
今回の留学期間でその原始的なことがほんの少しでも進歩していればいいなと思っています。

せんくら会場で皆さんとお会いできるのを楽しみにしています。

原田哲男(6)

2008.06.06| 原田哲男

ライプチヒに居る今のうちに、とコンサートやオペラに足繁く通っています。
ドレスデン、ベルリンのオペラなど伝統のある会場でも、集まってくる観客の服装は実に様々。タキシードとイブニングドレスのカップルも居れば、ジーンズにセーターといった若者まで、誰もがこの一晩の催しを自分なりに楽しもうとしているのが分かります。つまり、オペラ鑑賞を昔ながらの社交の場としてお上品な?会話、会場の雰囲気、夕食はリッチに、タキシードで背筋を伸ばしたりして非日常を最高に演出したいか、それとも学校帰りに友達とオペラを立ち席で聴いてその後居酒屋で飲むか・・ といった違う楽しみ方どれもが認められているのだと思います。
(ここに書いたのはあくまでも僕個人が見た範囲内で、プレミエ(新演出)公演、特別なガラコンサート、それからもしかしたら土地によっては服装にも厳しいかも知れません。年配の方はやはりしっかりとした格好の方が多い)
またチケットが2000円くらいから2万円など、設定が広いのも広い客層が集まる理由でしょう。 いずれにしてもクラシックを聴くことへの感覚が多様だと感じます。

せんくらには、本格的なコンサートホールからオープンなスペースまでいろいろな雰囲気のコンサートが用意されているのが(しかも安い)魅力ですね。是非自分なりの楽しみを味わいにお出かけいただけたらと思います。

原田哲男(5)

2008.06.05| 原田哲男

ヨーロッパに留学すると言ったら、オケのとある女性団員(その方は海外生活も長い)に「あっちの男性はとっても紳士的なの。レディーファーストなんかもちゃんとしてるんだから! 原田君もしっかり学んできてくださいね!」と妙な課題を言い渡されてしまいました。

さて、こちらに着いて街を歩いていると・・確かにあるある! よいマナーが。

でもそれは男性が女性に対してだけではないようです。人が人に対してというか、道を譲る、ドアを押さえて待つ、困っているようならすぐに手を貸すといったような行為がさりげなく普通に行われているのに気付きます。 日本であればやり過ぎは返って相手に警戒されかねないでしょう。でもそれは日本とヨーロッパの土地環境や歴史の違いに因るところが大きいので、一概にどちらが良いとも言えません。

問題の(?)レディーファーストに関しては、ドイツ語の先生いわく「最近若い人の間ではそれも減りつつある」とのこと。「それよりも、日本では電車やバスでお年寄りに席を譲らないとどこかで読んだけどどうして? 他人に親切にするという習慣はないの?」と逆に聞かれてしまいました。 「それには日本人ならではのメンタリティーがあって・・」と、微妙な気持ちをドイツ語で答えることが出来ればよかったのですが。

というわけで、くだんの同僚に「留学の成果」を披露できるかどうかは自信がありません。

原田哲男(4)

2008.06.04| 原田哲男

昨年9月から一年間の予定でドイツのライプチヒに留学しています。
出発前の引越しにはバタバタしました。 この機会に読み直そうと文庫本をいくつか荷物にも詰めましたが、最近その中になつかしいものが挟んであるのを発見してびっくりしました。 それは1989年(大学1年)の日付の、とある著名日本人チェリストのリサイタルチケットだったのですが、失礼ながらそのコンサートに行ったことを全く覚えていません。
しかも御招待の印が・・ 大学1年のその時期にどういう理由で誰から券をいただいたのか? 思い出せない分かえってその半券を簡単には捨てられない気になりました。大事に飾ることはなくてもせめて同じ本に挟んで日本に持って帰ろう、と。そしてブッ○ ○○に売るようなことはやめておこう、と。

もともと何かを記念に取っておいたり、集めたりというほうではないのですが、この件があって、やはり紙などの形で残すものも良いなと思いました。このブログを含め、今はパソコンの中に何から何までもが詰まっていて、思いついたら簡単に取り出せますが・・もし20年後に今を振り返るとしたら、やはり手に取れる紙のほうがより懐かしく思い出せるような気がするのです。(行ったことを覚えていなければ元も子もありませんが)
せんくらで例を挙げるとしたら、せんくら2006期間中のガイドブックは街やレストラン、演奏者の情報など楽しい内容が盛りだくさんだったような覚えがあります。そのガイドブックはきっと将来誰かが感慨をもって見直すのではないかと思います。
因みにドイツでは各オーケストラとも随分と立派な年間冊子を作っていて、その代わりコンサートのチラシというものはほとんど見かけません。

原田哲男(3)

2008.06.03| 原田哲男

今年のソロの公演では、ドイツの作曲家の曲ばかりを選びました。
クラシック音楽とひとくくりに言っても、国や時代が変われば曲の骨格から色合いまでずいぶん違います。その中にあって古典からロマン派のドイツ、オーストリアの作品は最も重要な中心に位置しているといえるでしょう。いつの時代、どの場所でも人の心を動かしてきたそれらの曲に取り組めることは大きな喜びです。

ベートーベン、メンデルスゾーン、ブラームスはまた一人一人が異なった境遇で生き、それゆえに個性的な人間だったと思います。4つの作品それぞれの持つ魅力を表現できればと思います。

原田哲男(2)

2008.06.02| 原田哲男

今年のせんくら、オーケストラの公演で私個人が特に楽しみにしているのは、チャイコフスキー作曲の序曲1812年(公演番号38)です。
曲の出だしは厳かなチェロのアンサンブル、ドラマティックに曲が盛り上がって、凱旋の喜びを思わせるクライマックスではオーケストラの強奏とともに大砲が鳴り響く。子供の頃からの憧れの曲でもありました。
ただこの曲、祝祭的な雰囲気の曲なので他の曲とのバランスが難しいのでしょう。定期公演などで取り上げられることはあまりありません。せんくらだからこそ聴ける(弾ける)曲としてお客様、演奏者がお互いに楽しめると思います。

原田哲男(1)

2008.06.01| 原田哲男

みなさんこんにちは。チェロの原田哲男です。

今秋のせんくらでは2006年同様にオーケストラと四重奏、ソロ、四季といった多くの公演に出演させていただきます。2年間でどれだけ演奏が成長したか、せんくらのお客様に時間を置いて改めて聴いていただけることは嬉しくもあり、また身の引き締まる思いもします。
そしてこのブログ・・今年は早々と順番が廻ってきました。前回は7日中4回を人に頼み込んで書いてもらって何とか切り抜けましたが、二度同じ手はさすがに・・・今年は7回分きっちり書かせていただきます。「あまり長くなく」というありがたい指示をせんくら事務局からいただいているので、今日はこの辺で。

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