仙台フィルハーモニー管弦楽団(7)

2007.07.14| 仙台フィルハーモニー管弦楽団

フルートの山元康生です。仙台フィルに入団して25年になります。気候もよく、食べ物もおいしく仙台が好きです。

「せんくら」は、お客さんのことを配慮したいい企画だと思います。45分だと、ちょうど集中して聴いていただける時間でしょう。ただ、フルコースではないので、もし、物足りないと感じられたら、フルコースが堪能できる、定期演奏会に足を運んでいただけたらと思います。

今回、吉松隆さんの曲が取り上げられますね。吉松さんは、50台半ばの、今最も活躍している作曲家です。時代からいえば現代音楽の人です。しかし、作風は難解な、現代音楽ではありません。メロディが重視され、聴いて美しい作品が多く、幅広い人に好まれています。作曲家によるお話もあります。名曲がちりばめられている「コンガラガリアン狂詩曲」という題名の曲もありますよ。演奏する私も、どのような曲なのか、いまからワクワクしています。きっと楽しい音楽入門コンサートになると思いますよ。是非お出かけ下さい。

仙台フィルハーモニー管弦楽団(6)

2007.07.13| 仙台フィルハーモニー管弦楽団

仙台フィルコントラバス奏者の市原聡です。早いもので、仙台フィルに入団してから20年となりました。

皆さん、コントラバスの弓の持ち方に、ドイツ式とフランス式の二通りあるのをご存知ですか。私は、日本ではまだ、あまり普及していない、フランス式の持ち方をしています。この持ち方をしているのは、仙台フィルでは私だけです。体の小さい日本人には、楽な姿勢で演奏できるフランス式の持ち方が向いていると、私は思っています。

私は、小・中学校のときに音楽に囲まれて育ちました。教室の机が足踏オルガンだったのです。教壇の近くにはピアノもあり、自由に弾くことができました。レコード鑑賞の曲を選んで、その作曲家について調べ発表する授業もありました。

将来は音楽評論家あるいは音楽学の道に進みたいと高校生のときに思ったのですが、音楽大学を目指してピアノを習っていた先生が、何か楽器が弾けると楽しいよといわれ、いいコントラバスの先生がいるからとりあえず会ってみたらと紹介されました。私は正直に一度だけとおもって会いに行ったら、有無も言わさず次のレッスン日が決められました。そうこうしているうちにコントラバスが好きになりました。

さて、「せんくら」ですが、音楽の好きな人を増やすという面では、いい企画だと思います。しかし、私は全てが45分のコンサートだけでなく、中には、きちんとしたコンサートがあってもいいのではと思います。45分のコンサートだと演奏できる曲が限られますよね。それから、演奏会になれた人には、曲が終わった後、ホールを包む一瞬の静寂、それも音楽の一部だと思って聴いていただきたいとおもいます。

私は、ベートーヴェンやブラームスなど頭文字が「B」の作曲家の音楽が大好きです。今年の「せんくら」の最後の演奏会では、ベートーヴェンの交響曲第九番の第4楽章が演奏されます。始まるとすぐにコントラバスが活躍しますので、ご期待下さい。

 

仙台フィルハーモニー管弦楽団(5)

2007.07.12| 仙台フィルハーモニー管弦楽団

今日は、ティンパニの竹内将也が担当します。私は舞台の一番後ろにいます。ちょっと客席から遠いのですが、立って演奏していますのでわかりやすいかもしれません。

仙台に移って5年になろうとしています。仙台は町の大きさが生活するのにちょうどいいし、他の地域から移ってきた人に親切で、とても住みやすく仙台が気に入っています。妻も同じく仙台フィルでヴァイオリンを弾いていますが、生まれは静岡です。仙台には私より長く住んでいます。

「せんくら」は、気軽に音楽が聴けてとてもいい企画だと思います。今回、仙台フィルが演奏する曲目では、ベートーヴェンの「第九」で、ティンパニはとても重要な役割を担っています。それから同じくベートーヴェンのピアノ協奏曲第5番「皇帝」の第3楽章の終わり近くで、独奏ピアノとティンパニとのデュエットの部分があります。この部分は、私は指揮者とではなく、ピアニストと直接アンサンブルすることに心がけています。第3楽章のすべてを貫く基本のリズム(ノリ)があり、それを受け継ぐかたちで最後にティンパニが残って独奏者と音楽を織りなすのです。

実は協奏曲で独奏者とティンパニのデュエットのある曲が、結構あります。作曲家はしばしばティンパニをオーケストラにおけるその象徴的な存在として、独奏と対峙させるようです。また、グリーグのピアノ協奏曲、ベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲は、ティンパニの独奏で始まります。是非聴いてみてください。

子どものころ、父がレコードが好きで、家では音楽がよく流れていました。その父の勤めていた会社が楽器を作るようになり、音楽教室を開設しました。そこに兄とともに通わされたのですが、次第に面白くなり音楽が好きになりました。その兄も現在テレビ局で音響の仕事をしています。

中学生になって、部活で吹奏楽部を選びました。トロンボーンあたりをやろうかなと思っていたのですが、先輩がドラムセットを演奏していたのを見て「かっこいい!」と、瞬時に打楽器に心変わりしました。私が入った年に新しくティンパニが来たのですが、ほどなくしてドラムセットよりティンパニを好むようになってしまいました。高校にはオーケストラがありました。オーケストラの打楽器といえば、もうティンパニ中心ですし、音楽大学へ進むときも、ティンパニで受験する制度が出来た第1号生として入学しました。なんだか、自分の人生はティンパニに導かれているような気がしてなりませんし、それほどティンパニが大好きです。

作曲家が自身の新しい響きを求めるとき、打楽器にその可能性を託しているところが非常に大きい気がします。打楽器を効果的に、ノリ良く使わせる作曲家は優れた作曲家といえるでしょう。ですから打楽器奏者にも豊かなイメージと自由な発想、そして何より自然体であることが求められていると思っています。

仙台フィルハーモニー管弦楽団(4)

2007.07.11| 仙台フィルハーモニー管弦楽団

ファゴットの水野一英です。実は「せんくら」に出るのは今年が初めてです。といっても新人ではありません。仙台フィルの本拠地である青年文化センターが出来た年、つまり1990年に入団しましたので、今年で18年目です。

「せんくら」は、1回の演奏会の長さが45分ですので、小さい人でも集中できるのではと思います。それにチケット料金が、1000円というのもいいですね。

私の父は、中学校の音楽の先生でした。ですから、小さいときから自然に音楽に親しんでいました。新潟県の三条という町で大きくなったのですが、確か、小学校の4年か5年生のとき、新潟までNHK交響楽団の演奏会を聴きに行ったことを覚えています。

音楽をずっとやって生きたいというのが私の第一の目標であって、それを実現させるためのファゴットを選んだというのが、正直なところです。音楽大学を目指して、三条から東京まで月に2回レッスンに通いました。当時はまだ新幹線がありませんでしたので、特急を利用しても片道3時間40分かかりました。それでもくじけることなく、音楽の勉強に励みました。それほど音楽がすきなのです。

さて、今年の「せんくら」ですが、以前よく共演していたピアニストの仲道郁代さんと久しぶりに、ベートーヴェンのピアノ協奏曲第5番「皇帝」をいっしょに演奏できるのが楽しみです。この曲の第2楽章の最後に、フルートとクラリネットそれにファゴットが、ピアノの伴奏でメロディを奏でます。是非、聴いてください。そのほか、ベートーヴェンの第九の歓喜のメロディの対旋律をファゴットが吹いています。

仙台フィルハーモニー管弦楽団(3)

2007.07.10| 仙台フィルハーモニー管弦楽団

今日は、ヴァイオリンの松山古流が担当します。

「せんくら」はクラシック音楽に広く浅く親しめ、いい企画だと思います。
この機会に、クラシック音楽ファンが増えて、仙台フィルの聴衆が多くなればなあと願っています。私は、指揮者やオーケストラの楽員と聴衆の方々とが、触れ合える機会があればなと思っており、自分では積極的に演奏会のあとで、聴衆に語りかえるように心がけています。

私とヴァイオリンの出会いは、小学校1年生のときでした。母がヴァイオリンを弾いていて、子供にも習わせたかったようです。私は、福島県喜多方で育ったのですが、そこの音楽教室でヴァイオリンを教えており、そこに通うようになりました。初めのころの私の興味は、ヴァイオリンよりも教室にたくさんあった漫画本だったのですが、そのうちヴァイオリンにも熱中するようになりました。音楽大学を出て、2年ほど郷里でヴァイオリンの先生をしていましたが、オーケストラで演奏したくて、仙台フィルに入りすでに24年過ぎました。

今回の「せんくら」には、山形交響楽団も参加し、仙台ジュニアオーケストラも含めると7回、オーケストラの演奏会が組まれています。

私は、7日の夕方山響が演奏する、モーツァルトが好きです。モーツァルトは聴いても弾いても心地よい曲をたくさん作曲しています。モーツァルトの曲は、何度聴いてもあるいは何度弾いても飽きることがありません。どこまでも奥の深い曲で、年を重ねることに、感じ方が変わる不思議な曲です。是非皆さんもこの機会に、モーツァルトに親しくなっていただければなと思います。

私はたくさんの趣味を持っていますが、そのひとつにヴァイオリンとヴィオラの蒐集があります。おもに古い時代の楽器を集めています。メンテナンスは大変ですが、実にいい音色を響かせます。楽器と弓を取り替えると、全く違う世界の音がします。ですから、蒐集した楽器のうち、10本くらい常時演奏できるように調整しておき、演奏する曲によって、楽器を取り替えることもあります。

皆さん、ジャズやポピュラー音楽を鑑賞するときに、ノリがいいとか、体に感じるとか、そういう表現をされますよね。クラシック音楽もそうなのです。是非、コンサートホールで生の演奏を体全体で受け止めてください。

皆さんのおいでを、こころよりお待ち申し上げております。

仙台フィルハーモニー管弦楽団(2)

2007.07.09| 仙台フィルハーモニー管弦楽団

仙台フィルのトランペットの森岡正典です。

「せんくら」の3日間、仙台の町のどこかで、生の音楽が流れているというのはいいですね。聴きたいものがたくさんあって、迷っていらっしゃるのではありませんか。私もオーケストラのほか金管五重奏でも出演します。

仙台は外からの交流が多いですし、いつも何かしら新しさを感じる町です。その町にぴったりの企画ですね。

私と音楽との出会いは中学生になって、吹奏楽部に入ってからです。兄がホルンをやっていましたので私もホルンをと思っていたのですが、トランペットを吹くことになりました。

「せんくら」でのトランペットの聴きどころといったら、シベリウスの「フィンランディア」でしょうかね。

トランペットが活躍するオーケストラ曲はたくさんありますが、私は、マーラーの交響曲第1番や第5番や、リヒャルト・シュトラウスの交響詩「英雄の生涯」が好きです。マーラーの曲は最近あまり演奏する機会がありませんが、「英雄の生涯」は、「せんくら」のすぐ後の仙台フィルの定期演奏会で山下一史さんの指揮で演奏しますので、楽しみにしております。この演奏会にも多くの人にお出で頂きたいと思っております。

「せんくら」の話題からはそれますが、私の最も好きなトランペット奏者は、ニューヨークフィルのフィリップ・スミスさんです。その人が加わっているアンサンブルがこの7月に名取にきます。ついでにちょっと宣伝させていただきました。

仙台フィルハーモニー管弦楽団(1)

2007.07.08| 仙台フィルハーモニー管弦楽団

仙台の皆さん初めまして。この4月より仙台フィルの演奏事業部長を務めています松本伸二と申します。よろしくお願いいたします。

誰もが、人生の転機というものを持っていらっしゃると思います。私にとって昨年の「せんくら」が、それでした。

昨年の今頃は、私はある出版社で舞台芸術の入門書を作っていました。その関係で、ふらりと「せんくら」の取材にきたのです。3日間で101回のコンサートがどのように行なわれるのか、また、仙台市民の方々が音楽を楽しんでいる様子を、この目と耳で確かめたかったのです。地下鉄車内でプログラムを抱えた多くの人を見かけたとき、あるいは地下鉄駅構内に流れる生演奏の音楽を聴いたとき、ふと以前、耳にした「楽都・仙台」という言葉を思い出しました。最後の演奏会の終了後、旧知の仙台フィルの楽員の人たちと旧交を温めました。その席で、来年(つまり2007年)の3月で演奏事業部長が辞めることになっており、後任を探しているという話が出ました。「では、私も候補者の中にいれておいて」と、それとなくいいました。その私が、いまは、「せんくら」の主催者の一員でもある仙台フィルに席を置いているのです。人生の転機は、いつ訪れるかわかりませんね。

さて、個人的なことはこの辺にして、本題の「せんくら」に移りましょう。

チラシをご覧になると、3日間に101回の演奏会がぎっしりと詰まっています。今年は、仲間の山形交響楽団が参加するのも、うれしいことです。みなさん、どれを聴こうか迷われるかもしれません。しかし、ご安心下さい。どのコンサートも気軽に楽しめる内容ばかりです。同じ会場にどっしりと腰をすえて、あるいは、弦楽器だけ、ピアノだけを求めて、会場を移り歩くなど、楽しみ方はいろいろあります。あなたなりの楽しみ方が、きっと見つかるはずです。チラシにも「楽しみ方あれこれ」が載っています。この機会に、いろいろな音楽にふれてみてはいかがでしょう。主催者の一員として、「せんくら」が、クラシック音楽をより身近に楽しむきっかけになればと願っています。

仙台フィルが演奏するプログラムについては、明日から登場する楽員が、鑑賞の参考になるコメントを書きますので、そちらのほうをお楽しみ下さい。

それでは「せんくら」で皆さんにお目にかかりますことを楽しみにしております。今年は、最後の演奏会で、会場の皆さんと一緒に「威風堂々」で共演する楽しい企画もあります。なお、仙台フィルの演奏は、すべてイズミティです。ご注意下さい。

また、仙台フィルでは、「せんくら」のプレ企画として8月1日に仙台市青年文化センター・コンサートホールで「気軽にクラッシック」というタイトルの演奏会を、午前11時からと午後2時からの2回行ないます。様々な国の音楽を集めたプログラムとなっており、演奏を聴きながら世界旅行が出来ます。このプレ企画で、「せんくら」の雰囲気をいち早くお楽しみになられてはいかがですか。詳しくは、仙台フィルのホームページをご覧下さい。(http://www.sendaiphil.jp/

松本伸二(仙台フィル管弦楽団演奏事業部長)

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