
本日からは実際に弾かせていただく各曲についてです。
「CMのピアノ名曲集」の前半は次の各曲です。
イタリア協奏曲第1楽章〜セブンイレブンおでん
ベートーヴェン エリーゼのために〜ツーカーフォン
シューベルト 楽興の時第3番〜ヤマト運輸クール宅急便
ショパン 幻想即興曲〜カプコンクロックタワー
ショパン プレリュード第7番〜太田胃散
ショパン 子犬のワルツ〜JA福岡博多万博ネギ
バッハのイタリア協奏曲は初心者でもよくレッスンで弾かされますが、大家のリサイタルでも取り上げられる、間口の広い曲です。
バッハの鍵盤作品は、作曲の訓練のための練習曲でもあり、複数の声部
がからむポリフォニック音楽です。それをきちんと弾き分けるのはなかなか大変で、仲間内では「えっ!本当に人前でイタリアンコンチェルト弾くの?」などと言われることもある作品です。残響の少な目のホールで各メロディーラインのからみをお聴きいただくのはお客様には楽しいでしょうけれどもね。
ベートーヴェンの「エリーゼのために」はバガテルというベートーヴェンが随分書き残した小品のジャンルの中の1曲です。ピアノソナタが小説としたら、バガテルはエッセイのようなもので、私は正直に言えばバガテルのほうが好きかもしれません。
ベートーヴェンに対してモーツァルトのほうが天才のイメージにぴったり来そうですが、「エリーゼのために」をはじめバガテルを弾いているとベートーヴェンもいかに天才かが手に取るようによく分かります。
シューベルトの「楽興の時」もベートーヴェンのバガテルに近い自由な形式の小品です。私はシューベルトは本格的なソナタのほうが好きですが、この楽興の時3番ももちろん名曲です。
なお、本日掲載されている写真はシューベルトさんご本人がお使いになっていたピアノです。
ショパンの3曲は、それこそ「せんくら」らしくお馴染みのものばかり。特にプレリュードは、ショパンのプレリュードというより、日本では「あの太田胃散の」といったほうが通りがいいかもしれません。CMとクラシック曲というこ
とで言えば、そのイメージが最も強烈なものだと思います。現在でもそうかはちょっと分かりませんが、ある程度のご年配の方にとっては確実にそうでしょう。
雄倉恵子(ピアノ)