
高山圭子さんに期待します!
高山圭子さんが、在仙音楽家の中から抜擢され、今般、仙台クラシックフェスティバルに出演されるとのこと、「熱狂的に」支持します。
高山さんは、誰をも魅了する声を持っています。まさに天性のものでしょうが、それに加えて熱心な精進の賜物であることも見逃すことはできません。
高山さんが「仙台バッハ・アカデミー」のクルト・ヴィトマー氏のマスタークラスに現れたのは、2000年頃でした。彼女はスイスバーゼル音楽院の看板教授ヴィトマー氏をウィーンのマスタークラスで知って、仙台のクラスにやってきたのです。その年以来、春秋年2回のマスタークラスを欠かさず受講するだけでなく、ファドゥーツ(リヒテンシュタイン)、ヴェルグル、リンツ(オーストリア)、南チロル(イタリア)、ハンブルグ(ドイツ)などのヴィトマー氏のマスタークラスを受講しながら研鑚を積んでいる様子には見事なものがあります。
その間に少しずつ活動のワクを広げ、メサイアや、第九をはじめ、マタイ受難曲やヨハネ受難曲(こちらはペルト作曲)などのオラトリオのソロでは、深い感動的な表現で聴くものを魅了しました。このように精進にいとまのない人ですが、一方では人懐っこく、気さくで彼女が友達になれないような人は誰もいないのではないかと思えるようなキャラクターの持ち主です。
今回もバヤンの名手シェヴチェンコ氏と共演しますが、彼との出会いも確かウィーンでの演奏会がきっかけで、その後何度か共演の音楽会が実現しました。声楽家としてやっていくには天性の声や音楽性があるだけでなく、たゆみない努力が生涯要求されます。
私は高山さんにそのような声楽の王道を、しかし高山さんらしさを堅持し、高めながら一歩一歩歩いていって欲しいと思っています。
全日本合唱連盟副理事長
仙台バッハ・アカデミー音楽監督
作曲家、合唱指揮者 今井邦男