<せんくら2024>に寄せて

2024.07.22| 菅英三子

今年2024年10月、久しぶりに<仙台クラシックフェスティバル>に参加させていただきます。



かつて参加させていただいていた頃とは大きく状況が変わりました。いつも客席にいた母が亡くなり、その三ヶ月後には母を一緒に看取ってくれた義兄が亡くなりました。わずかな間に私は一人になりました。それから数年が経ちます。



今回私が出演させていただくコーナーのテーマは『心のふるさと』というものです。母がかつて歌ってくれた歌、子どもの頃から慣れ親しんだ歌、私が歌うのを家族たちが喜んで聴いてくれた歌などを歌わせていただきたいと思っております。私にとってこれらの歌は、嬉しい時にはもっと嬉しくなり、楽しい時にはもっと楽しくなり、寂しい時にはそっと寄り添い、悲しい時には慰めてくれる、そして明日への一歩を踏み出そうとする時には背中を押してくれる、そういう存在です。



ピアノは庄司 美知子先生が弾いてくださいます。妹が小学校を卒業する時の謝恩会で母が数曲歌わせていただいたのですが、庄司先生が伴奏してくださいました。滅多に人前で歌ったりしない母が、その時は本当に珍しいことにお引き受けしました。妹はとてもとても喜びました。そして謝恩会から間もなく、中学校の入学式前に妹は入院し、新しい制服を着ることもなく亡くなりました。何度考えても母が謝恩会で歌ったことは不思議です。今は私が庄司先生に大変お世話になっております。



仙台は緑豊かな町です。多くの街路樹が植えられています。青葉通りも広瀬通りも定禅寺通りも大好きですが、特に好きなのは上杉通りと茂庭台団地の入り口に差しかかるあたりの県道です。茂庭台は父が亡くなった後、母と姉と三人で暮らし、姉が結婚した後は母と二人で暮らしていたところです。上杉通りの樹々は秋には黄金色に輝きます。茂庭台に差しかかるあたりの県道の樹々は緑と濃い赤のグラデーションを描きます。どちらも思わず息を吞むような美しさです。今の季節の緑の樹々を満喫しながら秋を楽しみに待ちます。<せんくら>は10月初旬ですので仙台の街路樹たちはまだ緑かと思いますが、今年の紅葉はどのような感じになるでしょうか。


「仙台市公式 ホームページ 杜の都・仙台 令和版 わがまち緑の名所100選」



『心のふるさと』のような歌の数々は、きっとお聴きくださる皆さまのお心、ピアノを弾いてくださる庄司 美知子先生のお心、そして歌わせていただく私の心を温かく優しくそっと包み込んでくれることと思います。 秋の一時、ご一緒に懐かしい日本の歌を味わっていただけましたら大変幸いです。


11:【心のふるさと】歌い継ごう日本の歌





菅 英三子

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