作曲家・藤倉大さんに2014年に書いていただいたギター曲《チャンス・モンスーン》。
イギリス在住の藤倉さんとは曲の構想を練る段階から、スカイプを使って打ち合わせを繰り返してきました。
藤倉さんがあるフレーズを書き上げるとそれをテレビ電話を通じて僕が実演し、その響きを受けてまた藤倉さんが作曲して…。
そんなやり取りを重ね出来上がったこの曲には、トレモロからアルペジオ、ラスギヤード、そしてハーモニクスに至るまで、クラシックギターの様々な奏法がふんだんに盛り込まれております。
一つ一つの奏法は、これまでのギター作品の中で既に使い尽くされ、ある意味では“枯れ”つつあるようにも見えるそれらの技術に、藤倉さんが新しい息吹を与えてくれました。そして、それによってクラシックギターという楽器そのものの未来にも、新しい可能性をまた一つ、感じることが出来たというのが僕にとってはとても大きな収穫でした。
9月30日土曜日のギターソロコンサートでは、《チャンス・モンスーン》の他、僕自身が作曲したトレモロ曲《虹》、そしてJ.S.バッハが残した「無伴奏バイオリンの為のパルティータ第2番」より最終楽章《シャコンヌ》を原典譜を元に演奏いたします。
会場で皆様とお目にかかれる日を今からとても楽しみにしております。