さて、「とっておきの情報」の2日目。つまり、「街なかコンサート」の2公演目になります。こちらの紹介は、せんくらの企画・制作でもご協力いただいているHAL PLANNINGさんよりしていただきます。よろしくお願いします!
せんくらブログをご覧のみなさま、こんにちは。
今日は、9月24日(日)に仙台トラストタワー 1Fエントランスホールで行われる入場無料の「街なかコンサート」のご案内。
せんくら自体、一つの公演が1,000円~2,000円で楽しめて、かつ、普通のコンサートより少し短めの45分~60分のステージ、いいところを少しずつ、はしごして楽しめるお祭りではありますが、この「街なかコンサート」は、さらにそんなせんくらの面白さを、広く多くの方に愉しんで頂こうと、ホールを飛び出して、入場無料で聴けてしまう、街なかに音楽をデリバリーしてしまう機会です。
(せんくら2016「街なかコンサート@トラストタワー」の様子)
さて、今でこそクラシック音楽の演奏会をつくる仕事にどっぷりと浸かっていますが、私にも音楽との「出会い」の時間があります。
ひとつは、物心つくまえから何となく親に連れられて音楽会を聴いていた時代。
今でこそ、マタニティコンサートや、0歳からのコンサート、さらに月齢・年齢に即してこどもの心の成長にあわせカスタマイズされたプログラムでお届けするコンサートがたくさんありますが、すこし前は、そんなことはありませんでした。いわば「お子様ランチ」のないレストランで大人の食べるものから少しずつ食べられるもの、興味のあるものに手を伸ばしていくような感じでしょうか。子どもの耳には、これが有名か無名かなんてわかりません。すき、きらい、ただそれだけの感覚で、素敵だなあと思うピアノで奏でられるなにがしかの三拍子の音楽にあわせて、リカちゃん人形にドレスを着せて踊らせていました。それが舞踏会のための音楽じゃなくて、ショパンのワルツという性格的小品であることを知る・・・のはだいぶ後のことです。私にとっては、ああ、お姫様の曲だ!それだけでした。
さて、それが、10代も後半になるころ、自分の心の中に、あれ?何?いまの曲、私の心を震わせていったあの曲は何ていう曲なの?と、音楽に「初恋」をおぼえる劇的な瞬間を迎えます。それは、交響曲の第1楽章から聞いた途端に、衝撃をおぼえるものもあれば、途中までは、ちっともおもしろいとは思わぬ音楽で、退屈で、ある楽章のある部分だけがやたらと好き!と思ってしまうこともありました。その楽章だけを繰り返し繰り返し聴いていました。
一度「好き」になると、なんどもなんどもそのメロディやハーモニーを反芻して、心にとどめておきたくなるし、もっともっと聴いてみたくなるのが人情です。人を好きになるのと一緒ですね(笑)。
同じ作曲家がどんな曲をほかに作っているのかとか、同じ時代の、とか、ほかの人が弾いたらどんな風になるのか…とか。なんかこの欲求はあるけれども、何から聴いたらいいかわからないし、こっちは好きだったのに、こっちはどうもつまらない、そのつまらないという感情を味わってしまうのがもったいなくって、怖くて手を出せない食わず嫌いもありますが(笑)。(そう、どんなに勉強しても何度聴いても(弾いても)100%知ることができるということはありません。)
とにもかくにも、出逢う瞬間は様々、映画の中に効果的に挿入されている音楽であったり、CMになんとなく使われているものだったり、「いますれ違った、あの方のお名前は!」と同じように、「今聴いたあの曲の名前を知りたい!」という想いが、音楽への興味の入口です。
多くのコンサートは、楽曲の全楽章に取り組みますし、好きな部分に行きつくまでに25分とか、30分を要します(笑)。ブラームスの交響曲の第1番の4楽章の弦楽器の「あの」メロディへたどり着くまでには、1,2,3楽章を聴くわけです。(そのうちに、1,2,3の中にも好きな部分が出来てきたりすることもありますが)。
せんくらは、お祭りですから、切り口を変え、魅せ方を変え、音楽との出会いの場所を生み出してくれる大きなチャンスの場所です。
実際に、普段お仕事をご一緒している演奏家は、自分が演奏する曲の魅力をどうしたら伝えやすくなるか、切り口や魅せ方を演奏技術の向上と同じくらい考えながら舞台を創っています。このせんくらに向けても、多くのアーティストと何度も何度もやりとりをして、この45分間に、どんな風に音楽を届けるか、たくさん話をします。お客様の年齢はどれくらいか、お客様はクラシックをよく聴く人たちだろうか、それともはじめてのクラシックコンサートだろうか、千差万別のクラシック体験と、お客様のひとつとして同じことのない感受性。0歳からおじいちゃん、おばあちゃんまで。それがひと会場に集まり、楽興の時に酔いしれるお祭りですから、この日のため、この時間のためのプログラムをカスタマイズしています。
今回の「街なかコンサート」@仙台トラストタワーには、せんくらの「ホスト役」でもある仙台フィルの、小山さん、飯野さん、吉岡さんという若いメンバーと、ここ仙台出身のヴァイオリニスト、飯川直美さんによる弦楽四重奏に活躍していただきます。
(小山あずさ)
(飯野和英)
(吉岡友広)(C)Taisuke Yoshida
(飯川直美)
午前中は「0歳からのクラシックコンサート“はじめまして!音楽は一生のともだち”」として【マイファーストクラシックコンサート】体験をプロデュース。午後からは「テイスティング・コンサート!弦楽四重奏、ほんのひとくち名曲選」として、曲の魅力を凝縮して、お試しいただけるように準備しています。
どちらの公演にも共通しているのが、様々な作曲家の弦楽四重奏曲を、楽章抜粋でお楽しみいただくことです。
どこかで聴いたあの曲・・・かもしれませんし、今日ここで初めて出逢って、ああ、なんていい曲なんだろう!この曲の名前はなんていうの?って思っていただけるかもしれない。
演奏者たちとも相談して、この曲のこれがいいんだよねーっていう部分や、ここからこの曲って聴き始めたねって話をしながら、そういう曲を集めました。
そう、演奏家だって、ひとりひとりに「音楽を好きになる瞬間」があり、そのきっかけの曲を持っているものですから、その町の地図をよりよく知る人が、ご案内・・・するのが一番、楽しいガイドになるのではないかと思っています。
今回は、編曲もの・・・ではなく、オリジナルの楽曲、そして、演奏者は、私も心から日々信頼を寄せている飛ぶ鳥を落とす勢いの若手の実力派たちです。いい音楽は、いい演奏じゃないと、魅力が半減してしまいますから、彼らもこのコンサートに向けて、リハーサルをじっくり重ねて準備しようと言ってくれています。
クラシックの「名曲」といわれる曲は、【週間ヒットチャートで1位を10週獲得!】なんてレベルじゃありません。100年~400年の、スーパーヒット曲。歴史の中の色々な人物も聴いてきたかもしれない名曲、いろいろな人の人生の一幕で、その音楽が鳴り、色々な奏者に愛奏されて、育まれて、弾き、歌い継がれてきたからこそ自分たちの目の前にあるもの・・・、それが、クラシック音楽です。数百年にわたり引き継がれている芸術品は、その他美術や骨とう品など、普通ならば博物館に大切に保管されて、触ることは出来ませんけれども、私達はこの音楽に、いつどんな時でも身を寄せたり、抱きしめたり、その音楽で心を慰めてもらったり奮起させてもらえるのです。
そうして、0歳の子どもにとっても、おじいちゃん、おばあちゃんにとっても、流行り廃りなく一生のともだちでいられるのも、クラシック音楽の魅力です。
仙台トラストタワーでの弦楽四重奏の2 つの公演は、もちろんどなたが聴いていただいても構いません。ふらりとお散歩がてら立ち寄って頂くのもよし。奏者に会いたい!と思って来ていただくもよし。ひとつの楽器に4本の弦。16本の弦の織りなす様々なタイプの「絵」を描く音楽をプログラムに用意しました。聴きなれたハイドンやモーツァルトもあれば、
この曲ボロディンて人の曲だったのね!とか、ヤナーチェクって誰?!だけど、聴いてみたらあら、センセーショナル!!!ってドキドキする曲も!
一緒に「この曲、いいよねぇ」って言って頂けたら嬉しいなと思って選びました。そして持ち帰って、ネット検索して聴くもよし、普段は立ち寄らないCDショップのクラシックコーナーを覗くもよし。あなたのクラシック音楽への「扉」は、すぐに開いていくでしょう。
ぜひ、せんくらを前に、日曜日のひととき、お立ち寄りくださいね。
9月24日(日) 仙台トラストタワー1Fエントランスホール
「若手弦楽四重奏メンバーが贈る0歳からのクラシックコンサート“はじめまして!おんがくは一生のともだち!”」
【時間】 11:00~11:45
モーツァルト:アイネ・クライネ・ナハト・ムジークより
パッヘルベル:カノン
ハイドン:弦楽四重奏曲 第67番「ひばり」より 第1楽章
チャイコフスキー:アンダンテ・カンタービレ
ほか
「せんくらファミリーコンサート“テイスティング・コンサート!弦楽四重奏、ほんのひとくち名曲選”」
【時間】14:30~15:15
ハイドン:弦楽四重奏曲第17番「セレナーデ」
ラヴェル:弦楽四重奏曲より第2楽章
ボロディン:弦楽四重奏曲より第3楽章「ノクターン」
ほか
【出演】飯川直美、小山あずさ、飯野和英、吉岡知広
街なかコンサートの詳細はこちらをクリック せんくら公式サイト「街なかコンサート」
せんくら事務局