ティンパニ、それは私が12歳で出会ってすぐに大好きになった楽器です。
ティンパニは大きいです。
1セット4台並べますと一坪以上の場所を取ります。オーケストラではそれを一人で扱います。
ティンパニは丸いです。
球形の胴でできた響体(釜)の中では、上に張られた皮からの振動によって空気が対流しています。この釜をひっくり返して見ると、見渡す限りの天空が地平線の円周の上に広がっているように見えます。
ティンパニは神秘です。
大抵の太鼓はドレミ~のようなハッキリした音程を聞き取ることはできませんが、ティンパニだけはオーケストラの殆どの楽器と同じように音程が聞き分けられる特別な太鼓です。しかしその原理はよくわかっていません。弦楽器や管楽器は弦や管というように、「線」的なものの長短で音程を調節しますが、ティンパニの皮
は丸いので「面」です。面になっている皮と球形の釜からハッキリと音程が聞こえる不思議な太鼓です。
ティンパニの音は、包むように優しく、かつ勇敢で力強いです。
ティンパニの音響は楽器自体だけでなく会場全体との空気の呼応によってつくられます。とても全体的なサウンドです。
ですのでティンパニは、その場の空気感を一瞬で仕立ててしまいます。ティンパニで表現されるリズムは常に最も象徴的な印象を与えると同時に、緊迫した場面や無限に広がる情景をも描写します。シベリウスという作曲家(フィンランド)はその意味でティンパニの使い方がとても上手な作曲家です。
このように、ティンパニの音は人間的というよりは、自然・大地的と言えます。
このように魅力溢れるティンパニを、今回は皆さんの目の前にご披露して実際に体験していただく機会を設けました。今回はコンピュータを使用してティンパニの音響にリアルタイムに反応する映像を投影しながら、会場全体がティンパニによる宇宙空間になります。
10月4日の太白区文化センター・展示ホールにて、響きのワンダーランドを是非体感してみてください!
仙台フィルハーモニー管弦楽団 首席ティンパニ奏者
竹内将也