せんくらブログをごらんのみなさん、ボンジョルノ。
カウンターテナー藤木大地のセカンド・デイです。
きょうは、京都・清水の舞台からお届けします。
きのうからブログを担当しているこのフジキダイチはどうやらカウンターテナーらしいが、そもそも「カウンターテナー」ってなんなんだ?カウンターパンチかカウンターテーブルの仲間なのか?とお思いのみなさんが、38パーセントくらいはいらっしゃるのではないでしょうか?
お答えしましょう。
「裏声でうたをうたう男性歌手。」
これがカウンターテナーです。
きっと名だたる文献や専門家による研究レポートにはもっとアカデミックで厳密で詳しいことが書いてあるでしょう。歴史的・学術的・医学的な話は、そういう本や研究にお任せしたいと思います。ウィキペディア先生やグーグル先生たちも、論文に使える精度の情報でなくとも、なにかヒントをくれるかもしれません。
でもね、そのカウンターテナーを職業にしているわたくしは、難しく考えず、さっきのようにシンプルに定義したい。そして、カウンターテナーの声は決して「特別で特殊で貴重で稀有な声」ではないのです。
カウンターテナー、それは奇跡の声!
カウンターテナー、世界に10人くらいしかいない貴重な声!
カウンターテナー、日本には何人かしかいない珍しい存在!
カウンターテナー、男性の喉で出す特殊な女性の声!
カウンターテナー、あぁ、いとしのカウンターテナー!(←ありがとう)
これ、世間で割とみかける、スタンダードなカウンターテナーの説明文です。
声を大にして言いたい。
ごめんなさい、だいたい違います。
少なくともわたくしがやっていることは、特殊なことではありません。
自分の声帯という楽器を使って、自分の音楽を表現する。
これが声楽。ていうか、うた。
わたくしの場合、みんなが持っている「裏声」を自分の楽器として使っているだけなのです。声楽です。うたです。みんなと一緒です。
たしかに、カウンターテナーは古い音楽を歌うひとだ、という認識もあるでしょう。ソプラノやテノールに比べたら人口が少ないのも間違いないでしょう。音域的には、アルトや、場合によってはソプラノのパートをうたうから、女性の声、というイメージもあるかもしれません。せんくらでは「第九」のアルトソロパートを担当します。
過去にはたとえば、フォーレの「レクイエム」のソプラノソロパートを歌ったこともあります。
でもね、男の声帯を使った、正真正銘、男の声なんだな。
奇跡でもなんでもない、訓練された声です。声楽家はみんな訓練しています。その結果すこしずつ磨かれる声だし、技術だし、演奏なのです。
ひとにもよるけれど、わたくしはルネサンスやバロック以外の時代の音楽をむしろたくさんうたうし(せんくらではシューマンの「詩人の恋」!)、海外にも日本にも、カウンターテナーはどんどん増えてきていますよ。
時代は2016年、もう貴重とも稀少とも言えないと思います。
そんなわたくしの裏声と地声を確かめたい方は、コンサート会場でわたくしのうたと、貴重なトークをきいてくださいね。フツーの声です。
さて、きょうのブログで何回「カウンターテナー」と書いたでしょう??
裏声でうたをうたう男性歌手。
いとしのカウンターテナー、藤木大地がお届けいたしました。
藤木大地(カウンターテナー)