せんくらブログをごらんのみなさん、こんにちは。
カウンターテナーの藤木大地(初)です。
きょうは、ウィーンのオペラ座の窓からお届けします。
18歳のころ、鈍行列車に乗って仙台をはじめて訪れました。
大学進学で上京したてだった、ネイティブ宮崎ボーイのわたくし(18)は、時間だけはたっぷりあったので、「青春18きっぷ」を買って上野発の始発列車で仙台を目指しました。
何回も乗り換えをして昼過ぎに着いた、生まれてはじめて訪れる東北の都市・仙台。仙台出身の同級生に、当時120文字くらいがマックスだったケータイのメールで牛タンのオススメのお店をきいて、街にランチに繰り出しました。
それまで、ちょっと薄めの牛タンしか知らなかったわたくしは、なんともぶあつい肉の塊と、透き通るテールスープと、麦トロロごはんによって、大人の階段をひとつのぼったのでした。
牛タンを食べただけの日帰り仙台旅行。帰りは、鈍行の長旅に心が折れて、特急で笹かまを食べながら東京に帰りました。
ところで出身地をきかれて「ミヤザキです!」と答えると、「あ〜東北の!」と言われる確率が、かつてはときどきありました。そんな歴史も、わたくしにミヤギへの親近感を与え続けています。
刻は移り、その宮崎人の宮城との物語は、ことしの「せんくら」初登場によって第2幕に突入するのであります。年齢だけはまーまーな大人になったわたくし(36)は、往路から新幹線で目指せるようです。(わーい)
せんくら初登場の今回は、「詩人の恋」、「歌ガラ(で「フィガロの結婚」のケルビーノなどを担当)」、「第九(でアルトを担当)」、の3公演でお目にかかります。
カウンターテナーが「詩人の恋」を演るのは、もしかしたら日本でははじめてかもしれません。
大好きなテノール歌手のフリッツ・ヴンダーリッヒがこの世を去ったのが、36歳のとき。彼の遺した、音楽界の宝のような「詩人の恋」の録音に触れて、CDがすり減るほど聴いていたのは、奇しくも仙台をはじめて訪れた18歳のときでした。
わたくしにとっては、どれだけ追いかけても届かない憧れの歌手のひとりだけれど、彼が亡くなった年齢についに達した今年のうちに、「詩人の恋」に向き合ってみたかった。
各地での共演を重ねて、最近は「盟友」とも書いてもらえるようになった鈴木優人さんとのデュオで、18年ぶりの仙台で聴いていただけるのがうれしいです。
美しい10月に、杜の都でお会いしましょう。
ブログはあしたに続きます。