せんくらブログ

3日目

2016.09.10| 中川 賢一

ピアノを弾いていると不思議な感覚に陥るときがいろいろあります。

 

ピアノはソロで弾く機会も多い楽器のひとつだと思いますが、「ソロ」という事は、その時間を全て一人で構築するということで、非常に責任が大きく、かつ魅力的な時間ではあります。

私はアンサンブルの中でピアノを弾くとき、特に指揮者がいる場合は、指揮者の音楽を理解し、それについていくべくいわゆるパーツになることもありますが、ピアノソロとなると全てが自分にかかってくるので、本当に不思議なことを考えてしまいます。

ソロのときは「いまここで止まったら、つまり演奏会全てが止まるんだよな?」など当然の事ですが、よく考えると恐ろしい事などしょっちゅうよぎります。

そこで時間についてですが、勿論演奏しているときは演奏しているその瞬間に集中しているのは勿論なのですが、実際自分が弾いているときはその「現在」だけなのか?と思うことがよくあります。

つまり音を出して、その音が思った通り出ているかと認識した瞬間はすでに音を出した時が「過去」になっているような気がします。

大体弾いているときは、その音を出すほんのすこし前の瞬間、出来事、出た音、楽譜に書かれている音楽に上手く繋がるように「現在」音を出そうと弾くので、弾いている「現在」でありながらも弾く前の瞬間になっている音は頭の中に鳴っていて、ないし耳で知覚され記憶されているにも関わらず、その過去の話に対して、未来に関しても、「現在」音を出す瞬間のすこしあとの瞬間に鳴るべく、弾かれるべく音、楽譜に書かれている音楽に繋がるように演奏するので、当然その出されるべき音の音像は頭の中でなっている、見えていなくては音楽が上手く繋がらない、つまりは「現在」弾いているときに同時に「過去」の音、「未来」の音、ないし音だけではなく「過去」にあったこと、「現在」おこること、「未来」こうあってほしいことが、いっぺんに頭渦巻いて、互いに協力しながら演奏をしているのではないかな?と思ったりします。

 

弾きながらワープというかタイムマシンに乗って現在過去未来を常に行き来しているような感じの時があり、人間の脳は不思議だな・・・と思います。

弾いたあとは体力的にも疲れますが、頭もとっても疲れるのは、実は知らないうちに、相当頭を使っているのかもしません。

 

いつか音楽家の脳の仕組みを解明していただける日が来るのでしょうか?ちょっと興味がありますね!」

 

 

中川賢一(ピアノ)


Warning: Use of undefined constant blog - assumed 'blog' (this will throw an Error in a future version of PHP) in /home/sencla/sencla.com/public_html/2016/wp-content/themes/2016_v4/single-blog.php on line 34