先週の5日には石巻市のお寺、法音寺でカルテットの演奏会でした。曲はオリヴィエ・メシアンの『時の終わりのための四重奏曲』です。
メンバーはピアノの萩原麻未さん クラリネットの吉田誠さん、チェロの横坂源さん、そして僕です。
実はこのメンバーでは去年、福島県のアーク・ノヴァという移動式バルーンの会場で演奏したことがあり、今年の再演を楽しみにし、わくわくしていました。
この曲は全部で8楽章。ヨハネの黙示録のある一節から、メシアンが着想を得て作曲したそうです。
当時ドイツ軍の捕虜で収容所に入れられていたメシアン。音楽だけが頼りだったのでしょうか―。
音楽には、聴き手に解釈を委ねられるという良さがあると思います。物が壊されたり、傷つけられたり、強制されたり、しない。
しかも演奏というものはその時生まれてから一生心に残すことも出来るし、次に弾くときには全く形を変えて演奏できる。
そんな素晴らしい芸術にいつも囲まれて、僕たちは幸せだと思います。
さて、話を戻すと、この曲は敬虔なカトリック信者のメシアンが書いたことよりも、当時の絶望的な状況から、来る恒久的な平和を熱望して書かれた、ということに意義があり、より精神性とドラマ性を高めていると思います。
だからこそ、皆さんを突き動かしてくれるのですね!
それはもちろん、個人個人の感受性によるものなので、常に変わりゆくものですが、それをも受け入れてくれる懐の深さが音楽にはあると思います。
そういえば、演奏中に作曲家の霊を見たことがあります。メシアンにもそのうちお会いできるといいなぁ、なんて思っています。