大学を卒業後、ドイツのライプツィヒ音楽演劇大学大学院へ留学をしました。
ドイツで師事した先生はゲヴァントハウスオーケストラのソロチェリスト、クリスティアン・ギガー先生。
ひたすらチェロを愛し、チェロの事を1番に考える本当に真面目な方でした。
練習嫌いな上にドイツ語が全くできない僕に、1日の練習スケジュールを立ててくださったり、週に数回のレッスンと更にそのレッスンでの気付いた事をメールしてくださったり、とても丁寧に接してくださいました。
大学院2年在学中はゲヴァントハウスオーケストラの学生契約として、そして卒業後はゲヴァントハウスオーケストラアカデミーに在籍しました。
アカデミー生は各セクションに1人、2年間在籍することができます。
楽団に籍を置きながら、団員同様にオーケストラの業務をこなし、それに対して月々決められた奨学金が楽団から支払われます。
自分専用のロッカーもホールの楽屋に用意されるなど、ほぼ団員と変わらない扱いを受ける事ができます。
ゲヴァントハウスオーケストラの業務は、シンフォニーオーケストラとしての仕事の他にも、 オペラ、また、バッハの勤めていた聖トーマス教会でのカンタータの演奏など、たくさんの業務をこなしていかなければなりませんでした。
そんな中で、まだコミュニケーションもままらない僕をチェロセクションの人が優しく支えて下さり、順調にレパートリーを学んでいくことができました。
オペラ『トスカ』の本番ではあの有名なチェロ四重奏の部分を先生と弾かせて頂ける機会がありました。
先生の同僚として、一緒の舞台でソロを弾けた嬉しさは今でも忘れられません。
せっかく在籍できたし、このままドイツに残るつもりでいた僕ですが、ここで転機となったのが中国と日本国内を回るアジアツアーでした。
久しぶりに帰ってきた日本のご飯の美味しさ、店員さんの丁寧さ、日本語が通じる喜びなどに触れて一気に帰りたくなり、先生を説得した上で、地元である仙台でオーケストラに入ったのでした。