せんくらの楽しみ方

■ 池上英樹(マリンバ、パーカッション)

(1)2006年07月23日

このリレーブログ?も何週目に入ったのでしょうか?
これから7日間は僕と、仙台で共演させていただく御喜美江さんでお送りします。

僕のやっている打楽器・マリンバソロの音楽をまだ聴いたことのない方も大勢いらっしゃると思います。

まずマリンバのことからですが、この楽器デカイです!僕の楽器は全長が約3メートルあり、音域も5オクターブ半という特注サイズで、池上仕様の世界で一台しかないものを使っています。マリンバというと木琴の巨大版で、剣の舞的な音楽ばかりを弾く楽器というイメージがあるようですが、木琴の軽いきらびやかな音に比べて、より低い音域で、深く豊かな響きを追求していったのがマリンバといえます。バチで音板を叩くのですが、その下にある共鳴管を振動が伝わり、まるで吹く楽器のような、あるいはパイプオルガンのような響きも得られます。叩くことと吹くことが合わさった不思議な楽器でもありますね。

今回のプログラムはその両面にスポットを当てて、二回の演奏会のうち一方は踊りやリズム中心のもの、もう一方は歌やパイプオルガンのような響きを味わっていただくプログラム構成にしています。どこまで多様な音楽性をこの楽器が表現できるのか?そのことを体感しにきてください!

その一方でストレッチオタク的(毎日3時間くらいはやっています)な僕がやるワークショップも二回やります。今はフラメンコやクラシックバレエにまで手を出していますが、打楽器の場合は特に演奏にもそのまま使えることが非常に多く、打楽器とダンスは昔からもちろんそうですが、切っても切れない関係なんです。演奏は体のパフォーマンスではないので、演奏しながら動きまくるということは僕の場合ないのですが、ぶれない体を作ることは非常に大切だと思います。決して固まらず、決めつけず、ゆらゆらしていてぶれない。これも是非お楽しみに!

 

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(2)2006年07月24日

今日も打楽器について語りたくなってしまいました。マリンバはともかく打楽器ソロって何?音楽一人でできるのかよ〜?って思っている方も多いのでは?

打楽器やってます!というとオーケストラですか?と返されるか、祭りの日本太鼓か、バンドのドラム?といわれることがほとんどなので、説明するのも面倒くさいんで、そんな感じです、と応えてます。。。(どんな感じ?!)とにかく見てもらわないとわからないんで、口では説明できません!

叩いてひっかいて擦ってはじいて、ふれる、たまには吹いたり踊ったりうたったり、打楽器ソロにはいろんなものが要求されています。音が出るものは全て使え、膜質から木質、金属質、プチプチまでも(このくらいのディープさにしときますね。。)音楽のために用いられます。音程も作れますし、和音もあります。リズムはもちろんのこと。ただ叩くだけジャン!(シンバル)とは大違いで、プチプチですらどのようにつぶしていくか?!でいろんな表情、ニュアンス、感情が出ますよね?太鼓しかり、木は語り、金属はうねるのです。フレーズや音程感など、どの楽器でも大切にしていることは打楽器でも極めて大切なんです。

今回の2公演はマリンバでの名曲中心のプログラムを組んでいますが、それぞれ初めて聞くであろう現代の音楽も入っています。芸術は進歩しない。感情もまた複雑多様に見えながら、みんな同じでみんな違う。

さてストレッチの続きでもするか。
また明日変な文章書きます!

池上英樹

 

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(3)2006年07月25日

2年前に東京から山梨の河口湖町に移り住んで、水と森に囲まれて生活しています。都会的人生だった僕も今ではもう街での生活がイメージできなくなってきました。先日のコンサートでもスタッフの方に、野生児みたい?!(素敵か?)と言われてしまいました。20代前半はプリンスと呼ばれていたのに。。。(それもどうかと思うけど)

富士山の麓、富士五湖のなかでもとりわけ神秘的といわれている西湖に家があります。築100年位の古民家に住んでいるのですが、仕切りを取っ払って約50畳のスペースと、蚕部屋だった今でいうロフトのような作りからなっています。なにしろ打楽器の量は半端じゃなくありますので、それでもセットの大きい作品をさらったり、打楽器リサイタルの準備をすると楽器だらけで動けないほどです。

昨年からその家を整理しまくって、古民家コンサート的なことも始めました。東京からバスツアーも企画されて、70名ほどが何とか入れます。民族楽器がいたるところに飾ってあったり、家の雰囲気が無国籍雑貨屋みたいでわりと面白がられています。

子供の頃からひとところに長く住んだ記憶がなく、やっと地元意識のようなものが芽生えてきたんだと思います。仙台の音楽祭でもたくさんのボランティアの方々が活躍されるでしょうが、ホント自分たちの街!っていう気持ち、当然のように持ってたいですね。壁を作るんではなく、それぞれの街がそれぞれに美しいっていう。。。 自分も山梨で少しずつ始めています。

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(4)脱力系? — 2006年07月26日

好きな食べ物は
  
たこ ナタデココ 唐揚げ 野菜 ゼリー とんかつ 一貫性はジューシーで、食感が瑞々しいなど理屈をこねたらありますが、まあ今は追及しないことにしましょう。。。チーン

嫌いなものは

チョコレートと小豆のみ!甘いものは好きではありませんが、ショートケーキは好き!!(喜)

ってな感じで、誰も興味ねーよ!ってことから書いてみました。なんでや!というツッコミが聞こえてきそうです。(楽)

一貫していることといえば乾いたものって基本的に好きじゃないんで、音の好みもそう、まず潤いを求めますね。解釈以前のものとして。いや、どうかな〜 人間関係とか、色恋とか、それも語ったら一冊本が書けそう。。。。。。。。。。。ポテトチップ好きでしょ?

ふざけているのか?!(怒)

そうそう、ジャズドラム子供からハードロック青少年だった僕に、クラシックの世界を見せてくれたのはヴァイオリニストの五嶋みどりさんでした。そのお母様が講演をされるということで、オレ聴きたいです!

それで僕の方はアコーディオンの御喜美江さんと林光作品で共演させていただきます。最高に素敵なアコーディオンだったんで、超楽しみです!

今回はまとめません。これも書きたくなかったけど、って脱力系?、でもないし!(哀)
構成悪っ!!(爆)

池上英樹

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(5)2006年07月27日

今僕は8月から始まる富士山河口湖音楽祭に向けて準備しています。円形ホールのリサイタルでは、道化の世界を打楽器やマリンバ、パフォーマンスで表現します。イタリアからフランスで全盛期を迎えた時代の雰囲気を道化作家のむらいこうじさんが作ってくださり、その中でバレエダンサーやパントマイムのかたと一緒にロマン派音楽を軸とした舞台を作ります。

音楽祭はいつも超盛りだくさんで、その他子供たちと一緒に作る森の音楽会や佐渡裕さんが指揮でシエナウインドオーケストラとの共演もあります。

西湖ではまわりに家がないので、打楽器でも24時間音が出せます。静寂というものを本当に体感できる場所で、古民家で練習していると音が見える存在のような気がしてきます。普通の家のように変に響いたりしなくて、出したものが出したままそこにいてくれるので自分がやっていることがよく見えます。ここで練習してから各地に行ってコンサートをしても、いつも響きの基本は西湖の家ですね。

今日は一日中雨の音
霧が世界を覆っている
時は水のよう 過ぎていくものではなく
溜まっていくように思える
黄昏の経過をくぐり
夜は今ここにいる

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(6)2006年07月28日

せんくらブログ拝見しました。御喜さんのご自宅から歩いていける荒野?すごいですね!あの真ん中で太鼓を打ち鳴らしたいっ!僕は森の中にいますが、理想は海辺か(楽器が傷むけど)、あのような広い大地の真ん中です。

そういえば近年コンサートでよく演奏している、ジェフスキー作曲の”TO THE EARTH” というホメロスが書いた大地賛歌の詩をしゃべりながら、植木鉢をたたくといった作品があります。やりたいなあ!お会いするのを楽しみにしています!ってブログで交換日記してすみません。。。

普段ソロコンサートしかしないので、共演というのは間違うと大変ですが?!好きだなぁと思える演奏家とできるなんて擬似恋愛的。。。明日からまた東京です。今日は練習もやめて、シューマンの本でも読もう。パリ時代から習っていた歌の先生(歌も習いましたが、マリンバや太鼓のレッスンもしていただきました)が今ずっと僕の中での師なのですが、いわゆるサロン的なクラシックの世界がまだ現実にあったころの理想をそのまま生きていらっしゃる方でした。

精神的にも、日々の生活自体も。今はクラシックも鑑賞用になっている感もありますが、その時代は生きることそのものだったということをいつも感じさせられました。難しいテクニックでもなく、先生が一音出したその音に涙があふれて仕方なかった体験をずっとずっと何だったんだろう?と追い求めています。いつまでも生徒でいたい。大人になりたくない。 と思っていました。別れを今は経験したので、留まっているわけにもいかないと自分の足で歩きだしています。

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(7)2006年07月29日

最後のブログになりました。この変な文章を読んでいただいて少しでも打楽器の世界に興味を持ってもらえたら嬉しいです。って始めの2回しか楽器について書いてないですけど。あとは遊んでました、すみません!

ロック少年だった時代からクラシックの世界へ飛び込んできて、打楽器の先生に習うより歌やピアノ、ヴァイオリンの先生に習いまくっていたパリ時代、それじゃあ何のために打楽器をやってるの?!と打楽器を一から学びなおしたドイツ時代、そして日本に帰国して少しずつ社会と関わって今があります。

これからはこの打楽器をつかって何を表現していくか、自分は何を求めているのか、が大切になってきました。
そういうことにおいては、ジャンルとしてのクラシックからは離れていっているのかもしれません。

僕がクラシックの世界って何だろう?すげーな〜!と思ったのはジャンルからではありませんでした。
確かショパンのノクターン嬰ハ短調を聞いた時、体に衝撃的な何かが起こり、これはなんだろうと探していったら今になってました。

うまく説明できませんが、そのためにあらゆる伝統的なテクニックを習得して、それで感じたものに近づきたかったんだと思います。気合や集中力とかではない何か。それはこれからのほうが長く、迷いながらいろいろ試してやっていくことになるでしょうね。

仙台でお会いできるのを楽しみにしています!
つたなすぎる文を最後まで読んでいただいてありがとうございました!

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(C)仙台クラシックフェスティバル2006実行委員会