去年もこの寄稿を担当しましたが、選ぶのって難しい! 選ばれた人には感謝されるかもしれないけれど、選ばなかった人から恨まれたらどうしよう…なんて心苦しさもあったり。ということで、今年は僕の「演奏会に行ってみたくなる指針」である、珍しい作品と出会えそうなプログラム、珍しい楽器や演奏を味わえそうな公演、新しい出会いの喜びや発見を期待しちゃいそうな公演を、各日6公演の計18公演選ぶことにしました。2日目、3日目は公演数が多いので、苦渋の厳選です。

せんくら三宅クリニック”助手 加藤 昌則
 東京藝大作曲科首席卒業、同大学院修了。作編曲、共演ピアニストとして高い評価を得ているほか、公演や講座などのプロデュース力にも注目を集めている。NHK-FM「鍵盤のつばさ」パーソナリティ。
                
今年のせんくらもお馴染みのアーティストが多く出演しますが、異色のコラボで注目の公演が多いですね。もちろん初顔も見られて、どんな演奏なのかとても楽しみ。3日間あれこれ迷ってしまう充実のラインナップと言えるのではないでしょうか!?1つの会場でご飯食べたり、お茶したりしながら1日ゆっくり楽しむのも優雅でいいと思いますし、タイムスケジュールと移動手段とを調べながら、会場をあちこちドキドキ飛び回るのもちょっと冒険的でいいと思います。今回のオススメはしご例はそんなプランもご提案していますよ。
クラシック初心者の人、まだ演奏会には連れて行きにくい小さなお子さんをお持ちのファミリー、レアな曲を味わいたいツウな人、それぞれに適した個性的なプログラムも多いので、それぞれのクラシックなひと時をぜひこのフェスティバルで味わってくださいね。
9月28日(金)
- 
                            

- 3
 - 鈴木優人のせんくら初!ポジティフ・オルガン・リサイタル
 - ポジティフ・オルガンとは、いわば昔の教室にあったような移動できるオルガン。 パイプオルガンの荘厳な響きも魅力的ですが、どこか懐かしい響きで奏でられる古の響きは、老いも若きも心に深い感慨が浮かぶはず。優人君の自作自演も聴けるし。
 
 - 
                            

- 7
 - 音楽サプリⅢソナタはそなたを救う。アナタはどなた?
 - とりあえずあたくしも出演しますので、その個人的な理由だけでオススメしちゃいます。でもこの公演、聞くところによると「せんくら」の人気公演の1つなのだとか。コスプレしちゃうし、寸劇あるし、だけれど演奏はガッツリ真剣勝負。それがウケてるのかな!?
 
 - 
                            

- 13
 - 尺八とマリンバによる世界最小オーケストラ
花-FlowerS- Part 1 - 尺八の演奏が聴けるというだけでもオススメしちゃっていいでしょう。道山君は、実は同級生なのですが、こんなにも違うものかねっていうくらい魅力的な男。マリンバというこれまた聴く機会が少ないかと思われるデュオで繰り広げられる公演はさぞや魅惑的!?
 
 - 
                            

- 17
 - 放課後の音楽室Ⅳ
〜リコーダーのホントのステキなところ〜 - 誰もが経験のあるリコーダー。身近なようだけれど、ちゃんとした演奏(笑)って実はあまり経験したことがないのでは!?バロック時代の作品はリコーダーを用いるものがたくさんあって、その技巧性や音色の多彩さは驚くべきものがあったりするんですよ。だから大人でもビックリ!
 
 - 
                            

- 19
 - Legacy of Act-受け継がれていくもの-名曲は“有名曲”のみならず!
 - メンデルスゾーンは、たくさんの室内楽作品を書いていて、演奏頻度の多い作品も多いですが、なかなか聴く機会のないものもあります。弦楽五重奏曲、恥ずかしながら僕はちゃんと聞いたことがない。だから聴いてみたい。しかもいい曲だったら超嬉しい!
 
 - 
                            

- 21
 - 世界が注目する2人の若手が登場
ヴァイオリン、ピアノの華麗なる協奏曲 - チャイコフスキーのピアノ協奏曲第1番があるからオススメしなくてもって気もするけれど、僕はブルッフの音楽の味わいが好きで、ヴァイオリン協奏曲第1番もいい味わいなのです。この作品の存在も有名だけれど、知らない人も意外と多い様子。この機会に是非!
 
 
9月29日(土)
- 
                            

- 24
 - 「THE OPERA」ドラマティックなイタリア・オペラの名アリア集
 - ガラコンサートもせんくらの目玉の1つ。この人とこの人の演奏が一度に聴けちゃうんでしょ!?というお得感もありますしね。有名なオペラ・アリア揃い、しかも十八番(オハコ)だらけ。そんなお祭り気分を味わえる公演もチョイスしてみてはいかがでしょうか!?
 
 - 
                            

- 29
 - 仙台ゆかりWinnersが贈る極上のブラームス・ホルン三重奏曲
 - ホルンがソロで聴けることってそんなにないのと、ホルン三重奏曲のための作品はそんなに多くないので、なかなか演奏が聴ける機会も少ないのです。ブラームスのホルン三重奏は名曲であり、奏者のそれぞれが結構超絶な聴き所満載の作品なんですよ。
 
 - 
                            

- 39
 - ピアノとパントマイムで楽しむ1920年代のパリへタイムスリップ!
 - パントマイムって見たいですよね。それが音楽祭で見られる。これはオススメでしょう。しかもフランス系の曲で見られるなんて、異国な気分も味わえるのではないかと思いますよ。楽しくもどこか悲哀を感じるパントマイムのパフォーマンス。大いに味わってください。
 
 - 
                            

- 46
 - 情熱と哀愁のジプシー音楽〜ハンガリー舞曲 第5番、ツィゴイネルワイゼン
 - ジプシーの音楽は激しく、情熱的でもあり、限りない悲哀のようなものが漂ってもいます。コミカルな笑いも、日常の悲しみを吹き飛ばすためのものだったり。そんな激情や裏腹な感情から生み出される音楽が我々を魅了しないはずがありません。是非ジプシーの音楽も。
 
 - 
                            

- 50
 - 左手の作品〜舘野泉 珠玉の小品集
 - 左手のために書かれた作品だけのプログラム。 この制約の中で生み出される音楽には、特別な情感や響きが感じられるはず。馴染みの薄い国の作曲家の作品はどんな音楽なのか気になるし、異ジャンルの楽曲がどうアレンジされるのか気になるし。
 
 - 
                            

- 56
 - せんくら史上初。横山幸雄が一夜で2曲のラフマニノフのコンチェルトに挑む!
 - ラフマニノフってどうしてあそこまで泣かせるメロディーや音楽を書いちゃうのでしょうね。パガニーニ狂詩曲の第18変奏。テーマを裏返しただけなのに、映画のワンシーンのような音楽になってるし、ピアノ協奏曲第2番の出だし。そのシンプルなメロディーが弦に乗るだけで溜息出ちゃう。
 
 
9月30日(日)
- 
                            

- 60
 - エレガントなモーツァルト、円熟のベートーヴェン西江辰郎の世界
 - ベートーヴェンが最後に書いたヴァイオリン・ソナタは、それまでの拡大志向から真逆のシンプルなスタイル。こうした場合のシンプルは単純なのではなくて、孤高の深みのようなものが不思議と音に込められるのです。作曲家の誰もが行き着きたい世界!?
 
 - 
                            

- 61
 - ブラームス晩年の名作ソナタ第3番とクライスラーの名曲をカップリング
 - クライスラーの前奏曲とアレグロっていい曲だと思うんですよねぇ。聴き応えもあるし、弾きごたえもあるし。ブラームスのヴァイオリン・ソナタの3番もいい曲だと思うんですよねぇ。聴き応えもあるし、弾きごたえもあるし。両方「ごたえ」があるのって名曲。2番も好きだけれど。(公演番号51)
 
 - 
                            

- 68
 - 川畠成道 “燦たる神秘の世界へ!!”
 - 「悪魔のトリル」って本当に呪われそうで怖いけれど、まぁとにかくそんなトリルの連続なんですよ。「神話」って曲もなんだか神秘的すぎてうすら怖い気もしちゃうし。でもそういう世界観に浸ってみたい時ってありますよね。次第に浄化してくれそうなプログラムだからいいのでは!?
 
 - 
                            

- 69
 - 原田哲男のチェロが奏でる情熱と静謐・シューマンとシューベルト
 - これはズバリ、シューベルトの「アルペジオーネ・ソナタ」をお聴きいただきたいのです。出だしからいいんですよ。シューベルトはシンプルな歌の中に深い感情を言い表した男。出だしのメロディー聴けば、その意味がわかるはず。あとはひたすら味わうだけ。
 
 - 
                            

- 79
 - 日本のチェロ界を牽引する古川展生による無伴奏チェロの神髄
 - チェロの無伴奏曲の中で、世界的に知られて、演奏されている日本人作曲家の曲に「BUNRAKU」があります。日本的なものを西欧のクラシック音楽の手法に載せると、急に古くさくなってしまう危険性があったりするのですが、この作品は見事な融合。誇るべき名作ですよ。
 
 - 
                            

- 83
 - ウイーンアンサンブル〜仙台フィル・シュランメルン〜
 - クラシック音楽っていうと真面目、お勉強、みたいな印象が強かったりしますよね。否!それは宗教音楽のイメージ。楽しむための音楽だってたくさんあったし、18世紀以降はそういう音楽の方が多いのですよ。19世紀のウィーンで生まれた音楽がそれを証明してくれます。
 
 
