• 渡辺 玲子
    WATANABE Reiko
    ヴァイオリン
    プロフィール

    渡辺玲子は、超絶的なテクニック、玲瓏で知的な音楽性、切れ味鋭い官能性とその広いレパートリーで日本のみならず世界のヴァイオリン界をリードする逸材である。

    第50回日本音楽コンクールにおいて最年少優勝、同時に第1回増沢賞(全部門を合わせて最も優れたものに与えられる賞)を受賞、翌年N響と共演し衝撃的なデビューを飾った。その後、ヴィオッティ、パガニーニ両国際コンクールで最高位を受賞。

    ニューヨークのジュリアード音楽院に全額奨学生として留学し学士と修士を取得。その後、ニューヨークを本拠地として、世界各地でオーケストラとの共演、リサイタル、音楽祭への参加と国際舞台で目覚ましく活躍している。

    これまでに国内の主要オーケストラはもとより、ワシントン・ナショナル響、ロサンゼルス・フィル、セントルイス響、ヴァンクーヴァー響、フィルハーモニア管、BBC響、ウィーン・トーンキュンストラー管、ロシア・ナショナル管、サンクトペテルブルク響、バンベルク響、N響などと共演、また、日本フィルのヨーロッパ・ツアー、東響のアメリカ・ツアーにもソリストとして同行している。

    また、1999年にはニューヨークのリンカーン・センターにおいてニューヨーク・リサイタル・デビューを果たし、NYタイムズ紙はその演奏を「圧倒的なテクニック、華麗な音色、劇的な音楽表現」と評し、見出しに「ヴィルトゥオーゾの圧倒的迫力に脱帽」と掲げて絶賛した。このほか、ワシントンのケネディー・センターやラヴィニア音楽祭、イタリアのストレーサ音楽祭等にも出演。

    CDデビューはシノーポリ指揮ドレスデン・シュターツカペレとの共演で、演奏会が録音されたCDがリリースされると同時に高く評価された。その他、これまでに”マイ・フェイヴァリッツ”、”バッハ無伴奏ソナタ&パルティータ”、”チャイコフスキー&ショスタコービッチ:ヴァイオリン協奏曲”、“カルメン・ファンタジー”、“ SOLO”などがある。

    2004年からは演奏活動の傍ら教育にも携わり、秋田の国際教養大学特任教授として、音楽を専攻していない若者にも音楽の深さを知ってもらおうと、秋学期に集中講義(「音楽と演奏」)を行っている。

    東京生まれ、現在ニューヨーク在住。2005年、第35回エクソン・モービル音楽賞奨励賞受賞。

    使用楽器は、日本音楽財団より貸与された1736年製グァルネリ・デル・ジェス「ムンツ」。

    http://www.reikowatanabe.com/

    せんくら10周年へのメッセージ
    「せんくら」には、数年前に「無伴奏プログラム」で出演して以来、2回目の参加です。音楽は、人が生きていくために必要な最も根源的な精神的糧であると、私は考えています。私のように幼い時から音楽を勉強し、これまで演奏を通してずっと関わり続けている者にとっては勿論そうなのですが、ふとしたきっかけで初めてコンサートに行って音楽を真剣に聴き、心が満たされたという経験をしている方も多いでしょう。幅広い年齢層が、好みの時間帯や演奏家を選び、手軽に聴きに行けるせんくらのようなスタイルのフェスティバルは、音楽との個人的で深いつながりを見つけることのできる良い機会ではないでしょうか。開催される数日間を、色々な音楽に巡り合う出会いの場として、私たち皆で盛り上げていければ、これに勝る喜びはありません。
  • ©Yuji Hori