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皆さん、こんにちは。
仙台フィルの松本といいます。仙台フィルの一員ですが、音は出しません。事務局で、黙々と演奏会を企画しております。
仙台フィルは、例年と同じように101回のコンサートのうち4回登場します。そのほか、仙台フィルのメンバーが、いろいろな音楽を奏でます。どうぞお楽しみに。
今年の「せんくら」聴覚だけでなく、味覚の方も刺激するというユニークな試みとなっております。
仙台フィルの最初の出番は、11日の午前11時、イズミティ21大ホールです。このときのプログラムは、すべてチャイコフスキーが作曲したものです。そこで、チャイコフスキーにちなんだ食べ物はなにかないかと、調べてみました。なんと、なんと、それがあるのですね。
神戸そごうの地下1階にある「ピロシキ屋」、そこのチャイコフスキーというピロシキは、発酵中にチャイコフスキーの“花のワルツ”を聴かされているのです。実にまろやかな味がすると、評判で店の前には行列ができるとか……。
ところで、どなたか仙台フィルの生演奏の“花のワルツ”を聴かせて、ピロシキを作ってみようという方はおられませんか?
ただし、発酵中の生地をホールに持ち込めるかどうかは、保証の限りではありません。
仙台フィルハーモニー管弦楽団 松本伸二
写真は“花のワルツ”を聴かせて発酵させ作ったピロシキ(1個150円・大阪屋のホームページより http://www.fs-osakaya.co.jp/piroshki/ )
2日目の話題は、チャイコフスキーの魅力についてです。
チャイコフスキーの音楽の大きな特徴として、同じメロディを繰り返しながら感情を盛り上げ、大きな音のうねりをつくりだし、人々の心を感動の世界に引きずり込むことが挙げられます。この傾向は、交響曲をお聴きになるとよくわかるのですが、今回演奏します「ロミオとジュリエット」でもその片鱗がわかります。
ついでながら申し上げますと、このロミオとジュリエット、冒頭の不安なムード、劇的な戦いの場面、甘美で情熱的な甘い恋の場面、最後の劇的な場面と、あの悲劇を見事に音楽で表現しています。この恋の場面、何ともあやしげなメロディを私がかつて弾いていましたヴィオラとオーボエの仲間であるコールアングレ=写真(イングリッシュホルンともいいます)が奏でます。ご期待ください。
仙台フィルハーモニー管弦楽団 松本伸二
昨日、忘れましたが、チャイコフスキーの魅力、それは何と言っても一度聴いたら忘れることのできないメロディの美しさにあります。ただ単に美しいだけでなく、どこか悲しげな色合いを含んでいるメロディ。私たち日本人はチャイコフスキーを非常に好きですが、彼のメロディに演歌と相通ずるところがあるからかもしれません。
さて、今日は祝典序曲「1812年」のお話です。この曲は、実際にあった出来事を音楽で表したものです。ナポレオンは1812年に60万の大軍を率いてモスクワを攻めますが、ロシア軍の奮闘に加え寒さと飢えのために敗れます。この戦いが音楽で描かれているのです。
ロシアとフランス、どちらが優勢かは、ロシア民謡とのちにフランス国歌となったマルセイエーズそのいずれかが大きいかを聴けばわかります。また、戦いの場面では大砲が鳴り響きます。この曲の初演はモスクワの教会の前の広場で行われ、実際に大砲を撃ったそうです。仙台でも2年前に霞目駐屯地での陸上自衛隊東北方面音楽隊の演奏の時に105ミリ榴弾砲を使ったということです。それならばと10月11日の演奏でも、是非大砲を使いたいとはりきっていますが、この楽器いや大砲をどこに置くか、当日までに解決しなければならない大きな問題です。
この曲ではもうひとつしかけがありますが、そのお話は明日にしましょう。
(写真提供=陸上自衛隊東北方面音楽隊)
管弦楽曲では、非常にまれなことですが、ひとりあるいは少人数でステージ以外で演奏することがあります。この本体のオーケストラではない別動隊の人を「バンダ」といいます。非常にまれはことといいましたが、仙台フィルでは昨年2回バンダが登場しました。「せんくら」をはさんだ9月定期での「幻想」の第3楽章の牧童の笛をまねたオーボエ、それから10月定期の「英雄の生涯」の舞台裏で吹くトランペット、これらが例として挙げられます。
「1812年」ではモスクワの人々の勝利の喜びを最大限に表現するために、バンダが使われています。
イズミティ21大ホールのいたるところにバンダの人を配置し、バンダの編成は、当日まで秘密ですが、その華やかな響きをたっぷりと皆さんにお届けしたいと思っております。
なお、10月13日の最後の演奏会[101]の「アイーダの大行進曲」でもバンダがトランペットを吹きならします。
(写真:舞台の両袖に立って演奏しているのがバンダです)
ロメオとジュリエットには「幻想序曲」、1812年には「祝典序曲」というタイトルが付いていますが、いずれも曲の後にオペラが始まるわけではありません。なんだか変ですね。交響曲のように4つの楽章で構成されているものでない、オーケストラのための単独の作品を、いつの時代からか「序曲」と呼ばれるようになったのです。どうやらそう名付けるようにしたのは、メンデルスゾーンではないかといわれています。二つの曲のように、物語や出来事からインスピレーションを受けて作曲されたものや、名付け親のメンデルスゾーンには「フィンガルの洞窟」という風景をもとに作った序曲があります。いずれも親しみやすい曲です。
これまで、チャイコフスキーのことを中心に書いてきましたが、ここで、共演者について触れましょう。
指揮者はもちろん仙台フィル指揮者山下一史です。気心知れた山下とのコンビで、素晴らしい演奏を、今年も皆様にお届けします。
第1回ではラフマニノフの2番、そして昨年はチャイコフスキーで、その熱い演奏により会場を沸かせた及川浩治さん、それに昨年、山響とともに登場し、エネルギッシュな演奏で会場よりスタンディングオベイションを受けた山下洋輔さんとの共演も楽しみです。特に山下さんの自作の協奏曲には、いまから期待で胸がわくわくしています。
さて、昨日、事件と音楽のことに少しふれました。ここで仙台フィルの宣伝をさせてください。
6月20日(金)午後7時より、翌21日(土)午後3時よりいずれも旭ヶ丘の青年文化センターコンサートホールで、指揮者に下野竜也氏をお迎えして第229回定期演奏会を行います。この日、チェコに関わる4曲演奏しますが、そのうちの3曲はチェコ民族の歴史的事件を題材としています。
指揮者の下野さんは、祖国を愛するが故に苦しんだ作曲家たちの思いを、音楽を通して分かち合いたいと、皆さんに呼びかけています。
演奏会の詳しい情報は、仙台フィルのホームページ(URL: http://www.sendaiphil.jp )でご覧ください。
皆さんのお越しをお待ち申しあげております。
ようやく最終日に辿り着きました。
もういちどグルメの話に戻りましょう。
前にもちょっと触れましたが、私は以前、オーケストラでヴィオラを弾いていました。私が所属していた日本フィルは旅行が非常に多く、2月は九州、9月は北海道、10月は関西、11月は東北とだいたい訪れる先が決まっていました。
列車での移動と演奏が続く毎日でしたが、その中での秘かな楽しみは、行く先々で安くておいしい食べ物を探すことでした。特にお目当ての店がある町では、演奏会の終り近くになると、食べ物やお酒を思い浮かべていました。しかし、時には当てにしていた店が休みということもあり、その時は本当にがっかりしました。看板も出ていないような農家の片隅でしたが、猪苗代で馬肉と一緒に食べた、きゅうりのうまかったこと。40年近く前のことですが、今でも夏になると思い出します。また、時には、主催者の計らいで、民宿ということもありました。四国の今治で鯛飯が夕飯に出されました。これが飛び上るほどおいしく、無理を言って翌朝にも用意していただきました。仙台では、国分町の牛たん屋にゲネ・プロと本番の間に駆け込んでいました。
1週間のお付き合いありがとうございました。私は仙台フィルの公演のときには、ロビーで皆さんをお迎えいたしております。
是非、このブログを読んでいただいた皆さんと、演奏会場でお目にかかりたいと思います。お待ち申しあげております。
仙台フィルハーモニー管弦楽団 松本伸二
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