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皆さん、こんにちは!
アンサンブル東風の代表を務める松下功です。
今回、初めて仙クラに出演させていただきます。今から、仙台に行って演奏し、そして美味しいものを食べるのを楽しみにしています。
さて、主催者から仙クラのブログに1週間何かを書くようにと依頼を受けて、さあ大変。一体ブログとやらは、何だ・・・・?ネット上の日記だと聞くけど、生まれてこの方、日記を書くという日常的な習慣など持ったこともないし、人のブログとやらもまったく見る気もなかったし・・・・困ったものだ。
とは言いつつ、承諾してしまったのが、後の祭り。何とかやってみようと思い筆を取る、あ、いや、パソコンの前に座った次第。
そう、まず私たちのグループの紹介から第1日目は始めましょう。アンサンブル東風、コチと読みます。よく「トウフウですか?」とか、「魚の鯒(コチ)ですか?」とか言われるが、菅原道真公の読んだ「東風吹かば・・・」の意味で、東の国からアジア、欧米へとメッセージを送りたいと考え、命名しました。結成は1999年で、演奏家・作曲家が一緒に企画・運営をしているグループで、室内オーケストラの演奏形態を取っています。また、いわゆる現代音楽のグループではなく、古今東西の面白そうな物は何でもチャレンジしようという団体です。メンバーの平均年齢は30代初めぐらいですが、なぜか私だけかなり年上です。みんなとても仲が良く、練習中も意見を言い合って楽しい演奏を目指しています。
不思議なことに、私だけでなくアジアに関係する人が多く、アジア関係の作品を多く取り上げています。演奏会は、毎年2月の定期演奏会、11月のお寺での演奏会、パーティーでの演奏、音楽祭の参加など様々な活動を行っています。そして、今までにソウル(2度)、ヤンゴン(ミャンマー)、バンコク(2回)、アムステルダム「ガウデアムス国際音楽祭」など、数回の海外公演も行っています。
この写真は、2003年のミャンマー公演の時のものですが、皆でバガンの遺跡を訪ねた思いでは生涯忘れられないほどです。
アンサンブル東風は、来年2月6日に東京の第一生命ホールで、第10回記念演奏会を行います。その時も、ミャンマーとイスラエルの若い作曲家に委嘱をして「愛、そして祈りの時へ」を開催します。詳しくは、東風のホームページをご覧下さい。
http://www14.ocn.ne.jp/~isaomtst/Kochi.htm
さて、今日は東風のメンバーを簡単に紹介しましょう。今回はどうしても日程が合わず、エキストラも参加していますが、目下メンバーは17名です。
Fluteは、姫本さやかさん。東風の会計担当でもあり、美しい音を出す奏者です。結成当初からのメンバーですが、今回は二人目のお子さんの出産時期にぶつかり、残念ながら仙台には来られません。代わりにいつもエキストラをお願いしている多久潤一郎さんが参加します。
Oboeは、中江暁子さん。姫本さんが産休の間、会計を担当しています。彼女は、2005年のバンコク公演からの参加。最初の練習から皆とぴったりと息が合い、アンサンブルの要を担ってくれています。
Clarinetは、目下不在です。今回は横田揺子さんが出演します。
Bassoonは、功刀貴子さん。バロック・バスーンも演奏し、実にレパートリーも広い、チャーミングな女性。今回は、バロックの仕事と重なって、残念ながらエキストラ常連の依田晃宣さんが出演します。
Hornは、堂山敦史さん。東京藝大フィルハーモニアのメンバーでもあり、その演奏テクニックは定評があります。彼の爽やかな音をお楽しみ下さい。今回は、愛車BMWで仙台に来るそうです。
Trumpetは、平井志郎さん。彼もバロック・トランペットの名手で、幅広いジャンルで活躍しています。昨年、お寺で演奏したメサイヤの演奏は見事でした。
Trombone は、加藤直明さん。最近、男の子が産まれ、幸せ一杯なカトちゃん。奥さんもトロンボーン奏者で、お子さんも将来は吹くのかな?東風の宴会隊長で、幹事が愛称です。カトちゃんは、低音の魅力・・・です・
Percussionは、稲野珠緒さん。お料理上手なタマちゃんは、マルチパーカッション奏者。この数年は、作曲家タン・ドゥンのTeaの演奏で世界中を飛び回っています。しなやかな動きをご覧下さい。
Pianoは、及川夕美さん。ヨーロッパに留学予定が、突然アジアに魅せられ、各地を訪問しています。タイ語、中国語も勉強したそうです。ご主人は、中国出身で中国笛の名手。王明君さんです。
1st Violinは、花田和加子さん。東風の副代表で大姉御です。ヴァイオリンはうまいし、バイリンガルだし、心やさしいし、まったく火の打ち所の無い容姿端麗な彼女。爪の垢を煎じて飲んでも、私のメタボは治らないか・・・・
2nd Violinは、古川仁菜さん。この細い体からは考えられないパワーの持ちぬし。機敏に動いて、しっかりチェックを入れる事務能力抜群な彼女。仙台では、牛タンを食べるのを楽しみしているそうです。
Violaは、中島久美さん。日々の生活でもしっかりと自分のペースを保っている、おっとりとした性格のクミちゃん。東風の中声部は、彼女が支えています。
Celloは、松本卓以さん。彼も東京藝大フィルハーモニアのメンバーで、古典から現代まで幅広いレパートリーの持ち主。最近、美しいフルート奏者と結婚して、ルンルン気分だそうです。
Contrabassは、名手・渡邊玲雄さん。新日本フィルハーモニーの首席奏者ですが、今回はオケの仕事と重なって、残念ながら参加出来ず、石上悠さんが演奏します。
作曲メンバーは、4人います。一人は、今回のアレンジを担当する森田佳代子さん。今年2月の定期演奏会でモノ・オペラ「人間失格」を発表し、大成功でした。
他に、この所参加する機会が多くありませんが、博士号を取った小坂咲子さん。日本音楽コンクールで外国人として初の1位になった、ソウル在住の朴銀荷さん、そして、私・松下功です。また、プログラムの解説など大活躍してくれる東風の知恵袋・音楽学者の長野麻子さん。
この他に、今回はエキストラとして、Violinの村越麻希子さん、矢野小百合さん、Violaの関明子さん、Celloの寺井創さんが参加します。
*写真は、またまた2003年のヤンゴン公演のものです。子供たちと楽しい一時を過ごしました。
実は、私は仙台とは長いお付き合いになります。1990年3月に開催された「アジア音楽祭・東京/仙台」では、事務局長を務め頻繁に仙台に伺いました。3日間東京で、4日間仙台で開催された大規模なアジアの音楽祭でした。仙台側は、仙台市民文化事業団と、中心的存在の作曲家の片岡良和さん、先日亡くなった作曲家・本間雅夫さんをリーダーに、若い作曲家・石川裕さん、宮城純一さんたちが一生懸命になって運営した、思い出深い音楽祭でした。大会会長は我が師匠でもある黛敏郎先生、実行委員長は石井眞木さんという両巨匠で、毎日のように叱られていたのは今となっては良い思いです。
私は1979年から1986年までベルリンに住んでいて、日本とドイツを行き来した生活を送っていました。しかし、1988年に香港で開催された「アジア作曲家連盟(ACL)」の大会に参加して、アジアの文化に魅せられ、またアジアの音楽家たちと親しくなり、すっかりアジア方面に目を向けた活動に切り替わりました。目下、副会長を努める社団法人・日本作曲家協議会(JFC)が、アジア作曲家連盟の日本支部で、1998年以来、毎年連盟の会合には出席してきました。そして、1999年から2003年まで、連盟の会長を努めることになりました。その時は、本当にいろいろな国に足を運び、アジアの音楽界を見て回りました。韓国は年に3回、香港、台湾、フィリピンの作曲家たちとは日本の友人より会う機会が多いほどでした。その他にも、インドネシア、タイ、ミャンマー、イスラエル・・・など、多くの人たちと知り合うことが出来ました。
昨年、シンガポールのチャイニーズ・オーケストラから委嘱で2本の尺八のための協奏曲「天空の舞」をいう曲を書きました。これはすべて中国楽器によるオーケストラですが、「他の国の人たちは作曲しなければ本当のインターナショナルのオーケストラにならない。是非、曲を書いてほしい。」という、指揮者・葉聡(Yeh Tsung)の強い要請でチャレンジをして見ました。楽器の勉強から始め、本当に苦労しましたが、アジアの文化の奥深さを知り、新しい可能性を見出しました。まさに〈可能性の宝庫・アジア〉です。
*写真は、「天空の舞」の初演の様子です。尺八:山本邦山、山本真山、指揮:葉聡、シンガポール・チャイニーズ・オーケストラ
今年は、本当に暑いですね。この暑い中、高校球児はえらいですね。オリンピックで視聴者も減っているのがかわいそうですが、何しろ倒れないように頑張ってほしと思いました。しかし、地球温暖化を何とかしないと大変だ〜〜!
7月初旬にスイスのインターラーケンに行ってきました。ユングフラウ音楽祭で私の曲「飛天の舞」が、指揮講習会の課題曲になり、レクチャーをしながら来ないかとのお誘いを受けました。「天空の舞」は、吹奏楽曲で、不動明の真言のリズムを用いています。2+3+3, 2+2+2, 2+3+2とい21拍子という複雑な拍子ですが、若い指揮者たちが熱心に取り組んでくれました。この曲は、昨年に「飛天の舞」、「飛天の祈り」、「飛天遊」の3曲からなる『飛天三部作』として演奏されました。全体は、50分からなら三部作ですが、私の<飛天シリーズ>の集大成です。しかし、スイスは涼しかったな〜!
今年の4月には薬師寺のお坊さんたちとの曲を書きました。これは、東京で開催された「薬師寺展」の時に要らした10名のお坊さんとオーケストラのための作品で「声明カンタータ」と題しました。声明は西洋的発想では、とても扱えないアジア、いや日本独自の音楽です。それぞれが自由に唱えている声明に伴奏をつけてしまおうという、大胆不敵な試みでしたが、不思議な音響空間を見出すことが出来ました。再来年は“平城京遷都1300年”ですので、薬師寺でこの曲が演奏できたらいいな〜〜!
といいつつ、この所仏教物の仕事を多く行っています。今年11月には、東京・板橋の安養院で5仏の開眼法要を作曲します。演奏は真言宗のお坊さんとアンサンブル東風です。
* 写真は、ユングフラウヨッホ(温暖化で氷河が減っているようだ)
やっと5日目。今日は、私が努めている東京藝大のお話を少し書きましょう。
東京藝大は、昨年創立120周年の記念行事を行いました。東京音楽学校、東京美術学校となってから120年経ちました。音楽学部、美術学部、映像学科(大学院のみ)があり、それぞれの部署で教育活動を行っています。実は、私はこのいずれにも属していません。私の所属しているところは、演奏藝術センター(Performing Arts Center)といい、独立した一つの部署であり、藝大の内外で演奏会やイベントの企画・運営を行ったり、両学部の学生たちに新しい活動を啓蒙する授業をしています。私たちの演奏藝術センターには、学生は所属していませんが、多くの学生と共同作業を行っています。現在、私の他に指揮者の湯浅卓雄さん、元テレビ朝日のプロデューサーの大石泰さんが常勤で、他に演出家や照明家が所属しています。数人の小さな部署ですが、機動力のある面々ばかりで、これまでにいろいろな経験をしてきた人たちの集合体です。藝大にある奏楽堂での演奏会企画がメインですが、私たちは毎年3つの柱を立てて企画しています。その一つは『藝大の響き』といい、多くの音楽学部の科が係われる企画を行っています。ドヴォルザーク、ラヴェル、シューマン、メシアンなどの作曲家に焦点を当てて、レクチャー&コンサートを行っています。もう一つは、『奏楽堂シリーズ』と題し、「うたシリーズ」、「ハイドン・シリーズ」、「弦楽シリーズ」、「オルガン・シリーズ」、「管楽器シリーズ」など、各科のシリーズ企画のバックアップを行っています。
最後の3つ目の柱は、『藝大21』と題し、演奏藝術センターが外部との連携を取りながら独自な企画を行っています。「ジャズin藝大」、「藝大とあそぼう」、「創造の杜」、「和楽の美」など、人気のある演奏会もあります。取分け、「ジャズin藝大」、「藝大とあそぼう」は、藝大奏楽堂の目玉企画で、毎回多くの人が詰め掛けます。「ジャズin藝大」では、私は司会も指揮も担当します。まあ、何でもやる課です。
私は、兼担として作曲家の学生も教えていますが、机の上の勉強だけでなく、実践の場を多く体験させたいと思っています。実は、この週末は学生たちと長野で過ごしています。毎年8月に私が音楽監督を務める長野のカメラータ・ナガノという演奏団体と共に、音楽会を行います。この音楽会で学生たちの作曲コンクールを行い、毎年一人にカメラータ・ナガノの作品委嘱をしています。今年の9月には、学生たちと韓国の延世大学との交流演奏会でソウルに行きます。ソウルとの連絡や運営はすべて学生たちが行っています。
*写真は、少し古いのですが夏の山での音楽会の打ち上げの模様です。留学生も数人います。
今日は先ず、写真の紹介です。これは、2005年の9月にスイスのルツェルン音楽祭でピエール・ブーレーズ氏と一緒に撮ったものです。2006年の4月に、東京藝大の「創造の杜」企画で〈ブーレーズ〉特集をすることになり、是非、氏にお会いしてお話を伺いたいと思っていたのですが、偶然ルツェルンでお会い出来ることになりました。丁度、アムステルダムのガウデアムス現代音楽祭の審査をすることになっていたので、その前にルツェルンに寄って、1時間ぐらいお話をさせて頂きました。2時間以上のオーケストラの練習を1回の休みも取らずにエネルギッシュに行った後、直ぐにお話をすることになりました。「お疲れでしょう。申し訳ありません。」と気遣いをすると、「いやいや、大丈夫です。ようこそお出で下さいました。」と、逆に気遣いをされてしまいました。その後は、実に素晴らしいお話をさせて頂きました。作曲家として、指揮としても、そして、暖かい心に満ちた人間性溢れるその偉人と話をした1時間は、生涯忘れえぬ思い出です。
「松下さん、お仕事は何ですかと?」という質問を受けることがありますが、自分でもなんと答えようかなと思う時があります。作曲という仕事をメインにしていますが、指揮も古典から現代まで機会があれば何でもやっているし、講演もするし、教えもしています。勿論、企画もやりますが、最近は司会までやることがあります。そういえば、子供のコンサートでは、トラの格好をして、踊ったり・・・。とは言え、音楽に纏わることでいろいろなことをやっているので、音楽家であることには変わりありません。私はこれまでに、様々な活動をする人に多く出会ってきました。マルチな活動をしていた黛敏郎先生、企画力を鍛えてくれた石井眞木さん、伝統音楽の広がりを教えてくれた、尺八の山本邦山さん、能の野村四郎さん(この両巨匠は酒豪・・・、良く一緒に飲みすぎます・・)。アジアの魅力を知らしめてくれたフィリピンの作曲家・ホセ・マセダさん、私の作品の良き理解者で、遊び仲間でもある指揮者・英国のダグラス・ボストック、パリ音楽院教授のジョルト・ナジ、中国出身の葉聡。皆さん、それぞれに自由で型にははめる事が出来ない活動をしています。そして、いつもこれらの人々から、多くの刺激を受けています。
私の仕事は、音楽を通じて人と人との出会いの空間を作ることだと思っています。仙台でも、また素晴らしい出会いを楽しみしています。
さて、私のブログも今日で最終日。ここで私の出演する仙クラのプログラムを少し紹介しましょう。
コンサート番号40、ソプラノの菅英三子さん、テノールの中鉢聡さんとのオペラ・アリア名曲集。菅さんは、長野オリンピックで初演した私のオペラ「善光寺物語」に出演して頂き、その美しい声にすっかり魅了されました。中鉢さんは、初めてご一緒させて頂きますが、やはり美しい声で、東風のメンバーも楽しみにしているコンサートです。「夜の女王のアリア」、「誰も寝てはならぬ」、「メリー・ウィドー」など、名曲ばかり。
2日目のコンサート番号78は、和太鼓の天才・林英哲さんとの「飛天遊」、新進気鋭の津軽三味線奏者・浅野祥さんとの「津軽三味線協奏曲」。林英哲さんとは、もう30年来のお付き合い。一緒に太鼓を持って「飛天遊」のベルリンでの初演に行って以来、彼にはこの曲を150回ぐらい世界各地で演奏してもらっています。2000年のベルリン・フィルとの共演は素晴らしかった。大親友でもあるが、同じ年の筈なのにあの若さは許せない〜〜〜!!!浅野さんとは初共演ですが、若さ溢れるバチさばきに大きな期待を持っています。
コンサート番号79は、ピアノの津田裕也さんとモーツァルトのピアノ協奏曲を競演します。津田さんは目下、私も住んでいたベルリンで勉強しているそうですが、私の大好きなイ長調のこの曲をご一緒出来る事を楽しみにしています。
コンサート番号45は、オーケストラの楽しい作品を集めたコンサートです。「ハンガリー舞曲」や、「愛の挨拶」などもありますが、是非、幻想曲「通りゃんせ」をお楽しみ下さい。今や、横断歩道の曲を思われている「通りゃんせ」が、手拍子も入るスペクタクル作品となっています。一緒に参加して下さい。
第2日目は、コンサートは3回あり、リハーサルもその間に入ってくるので、東風にとっては忙しい一日になりそうですが、仙台名物・牛タンだけは、しっかり食べに行きますよ。
3日目のコンサート番号82は、モーツァルトの「フルート、ハープのための協奏曲」を早川りさ子さん、荒川洋さんと競演します。名作中の名作ですが、演奏難しいところばかりです。一生懸命演奏して、皆さんに楽しい一時をお送りしたいと思っています。
10月に私の大好きな杜の都・仙台でお目にかかりましょう!
そして、今後もアンサンブル東風を宜しくお願い致します。
松下 功(ホームページもご覧下さい。http://www14.ocn.ne.jp/~isaomtst/index.htm )
*2007年10月26日、私の『飛天三部作』の初演時の写真。応援に駆けつけてくれた人たちと、左から作曲家のファブリチオ・.カルローネさん(森さんのご主人)、ヴァイオリニストのジェラール、プーレさん、私、ソプラノの森麻季さん、和太鼓の林英哲さん。
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