仙台クラシックフェスティバル2008 トップ

出演者ブログ

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荒川洋(フルート)

   

2008年07月20日

 

こんにちは。フルート奏者の荒川洋です。
昨年に引き続きよろしくお願いします。
ボクは、幼少のころ仙台で育ち、国立音大を中退してパリ音楽院に入り、現在は、新日本フィルハーモニー交響楽団でフルートを吹いてます。
その昔バンドをやっていて、ギターをかき鳴らしながら歌ってた経緯もあってか、近年曲作りもしながら全国を飛び回っています。
今回の演奏会では、オリジナル作品も披露しようとたくらんでいます。
是非ききにきてくださいね。
僕が一番ふるさととして認識している仙台。ジャズフェスから、とっておきの音楽祭まで幅広く町中で音楽を奏でられる街。こんな素敵な故郷で 演奏できるのはこの上ない喜びです。
いろんな関係ある話、関係ない話も含め、いろいら書いていこうかなとおもっています。一週間僕がブログ担当しますが、どうぞよろしくお願いします。

 

2008年07月21日

 

第2回 〜7月の激務の最中に〜

こんにちは。フルートの荒川洋です。
連日暑いですね。東京は先日、湿度100%という状態を経験しましたが、すごいですね。
もはや熱帯雨林気候。
普段見慣れている楽屋の向かいのLAWSONへの距離感がわからなくなる感じ。
世の中の温暖化がすすんでるんでしょうか。
エコ活動をそれなりに意識してきたのに、今日からエアコン全開です。悪循環ですね。

毎日曲も作りたいし、海にも行きたい。僕はボディーボードが好きなので、千葉の一宮とかが好きでよくいくんだけど、今年はまだ一度も行けてません。
7月の日差しの中、連日ホールに閉じこもってオーケストラと室内楽の公演に追われています。自分自身この生活も楽しい作業なんですが。

この間ラハナーの7重奏をやりました。これとってもいい曲で、5楽章まであって40分以上かかるのに、不思議とお客さんを虜にする力があるようです。明るく軽快な曲の永遠ループのような曲で、なかなかそんな世界は巡り会えない今日この頃だけに、演奏する方も聴く方もわくわくした時間です。音楽に触れる時はそんな時間が一番いいですね。

今月初めに北海道の豊頃町に演奏でいきました。そのときに十勝ワインをゲットしたのですが、もろもろの話は次回書きます。またまたよろしくです。

 

2008年07月22日

第3回 音楽の力

フルートの荒川洋です。僕がフルートで参加している「宮崎駿監督作品崖の上のポニョ」。初日からすごい人気のようです。久石さんの作った曲でみんなが歌ってるのを見て、こちらも嬉しくなります。

実は僕も少し曲を作りまして、NHKの番組「情報テラスみやぎ(朝11時半〜)」内で「みんなしあわせ」という僕の曲が毎日流れています。(演奏:荒川洋(フルート)、荒川知子(リコーダー)、篠崎和子(ハープ))この曲を作っていろんな人に聴いてもらっていると、本当にポニョの曲がひろまって、映画のイメージを広げていく力に、とても深い感動を覚えます。

僕は昔から音楽と映像のコラボレーションする仕事が大好きで、いつかそういう仕事(製作)を手がけてみたいなと思ってます。「絵」と「音楽」のコラボレーションは、いわゆる歴史が深いですが、たしかにどちらもイメージがしやすくなる効果がありますよね。昨年僕が作ったエッツの「もりのなか」に音楽をつけた音楽物語「もりのなか」(村松楽器(03-3367-6000)にて販売)も、そういう意味では初めて楽譜にしたもので、これからも作り続けてみたいカテゴリです。

ほかにも、とよたかずひこさんの絵本「バルボンさんのおさんぽ」(フルート&ハープ&語り)も作りました。4分くらいですが、一度とよたさんと篠崎和子ちゃんと演奏したことがあります。

音楽と映像だけでなく、音楽と地域という考え方にも非常に興味があります。

僕は全国各地にソロでいく機会があるのですが、その都度曲を作るようにしていて、単発のときはフルートと共演者とのために1曲、アウトリーチもかねるときは、その地域の人たちや子供たちのために1曲をなるべく作るようにしています。

北海道中標津にいったときは、ハルニレ伝説や、ヤマベの魚のことを綴った合唱曲「またあえる」、今度富山に行きますが、砺波市の四季の美しさ、庄川の流れる地元の誇れる豊かさを歌った「季節はめぐる」など、だいぶ曲もふえてきました。何か地元の人と一緒に地元の事を音楽を通して考えられるのも素敵なことじゃないかなと考えたりもします。

そうそう宮城県の曲もあります。宮城県本吉町に演奏でお邪魔したときに作った「かぜがよんでる」。はまなすの風、大谷海岸からながれてくる潮風が山に咲くやまつつじまで届く様子を歌にしたもの。地元でいくつか関わってくれた学校や、聞きにきてくれた方々はみんなうたってくれました。知らない土地でもこんなにみんなが喜んでくれるんだ、という喜びがすごいこみ上げてくるし、かけがえのない思い出になります。


音楽って素敵ですよね。人や作品、いろんな物をつなげるアイテムにもなるんですね。




そういえば、前回十勝ワインのこと書くっていって全然かいてなかったので、次回へ。





作品全般お問い合わせ先。(発売元:サウンドテラス: sound_terrace@mac.com)

 

2008年07月23日

第4回 田園

こんにちは、荒川洋です。ここ何日もオーケストラでカンヅメ状態ですが…ホールは涼しくて快適です。
先日、北海道の豊頃町という所に行った際に、トカイワインならぬ「トカチワイン」=十勝ワインを飲んできました。フランス留学中に散々ワインを飲んで生活していたので少々味にはうるさい僕、とても立体感のあるふくよかな味で、あまりの美味しさに感激!日本のワインは今まであまり関心がなかったのですが、ここ十何年の国産ワインの進歩、特に品質の良さには目を見張ります。
僕のパリ音楽院時代の師匠であるアラン・マリオン氏が南仏出身で、よく彼の家でワインをご馳走してもらっていました。南仏のワイン(特にジゴンダス)はラテン系の味で僕好みです。十勝ワインはコート・ドゥ・ローヌの性格になぜか似ているような気がして、少し懐かしくなりました。もしや北海道はフランス化して来てる?
ホールの涼しさもあって、そんなワインの里・北海道に思いを馳せながら今日も仕事。ベートーヴェンの「田園」も相まって、僕の心は北海道や南仏へと飛んで行きます…あ、きちんと仕事はしてますよ(笑)

 

2008年07月24日

 

第5回 アミアンとクスクス

こんにちは。フルートの荒川洋です。
現在サントリー定期分のリハで奔走中。今回はブルックナーのロマンティックを演奏。指揮はシルヴァン・カンブルラン。パリジャンでもなく素敵なフランス語を話す。フランス北部のアミアンの生まれらしい。日本人にもなじみのある、ブザンソンコンクールで1位をとっている指揮者。理知的で、寛容ながらダイナミックな音楽作りをする人で、僕はとても好きになった。

彼の出身地アミアンといえばゴシック建築のフランスで最も大きい大聖堂のある場所。コルマールやストラスブールのような豊かな川がながれていて、素敵な場所だったはず。

昔旅したのを思い出すと、サン・ラザール駅から北へ行く旅ではおすすめの場所です。途中ルーアンに立ち寄って、ジャンヌ・ダルクの資料館により、港町ル・アーブルにたちよって、モネの描く「エトルタ」の地を訪れ、アミアンまで行って大聖堂を見る。最高です。宿泊はその地にあるプチホテル。これはあまり日本で該当するものがあまり存在しないんだけど、民宿とか旅館にあたるのかな。ビジネスホテルのように気軽に止まれるんだけど、ホテルのマスターと仲良くなれるし、手作り感が素敵で、その町の雰囲気がとても味わえる意味では、「プチホテル」は本当におすすめ。


そうそう。ここ何ヶ月か、忙しく料理ができず、外食続きの毎日ですが、先日幕張メッセの近くにある「カルフール」でクスクスの粉をゲット。
時間があったらかならず作りたい料理「クスクス」。最近は結構ポピュラーになってきてるから、珍しくないかもしれませんが、世界最小のパスタともいわれてる物。
これをお湯で蒸らしてできたものにポトフ状のスープと羊肉、メルゲーズをのせます。最後にアリサ(激辛香辛料)をつけて完成。
とってもおいしいですよ。

フランス留学中の貧乏学生の頃には欠かさず食べた懐かしい味。親の世代で懐かしい食べ物にクジラ肉の話題がでるときがあるが、僕らにはまさしくこれ。留学時代、フランスにいながら、なぜかモロッコやチュニジアに思いをよせて、異国文化に浸るのです。一緒に食べにいったフランス人たちと。笑。

 

2008年07月25日

 

第6回 高いところ

皆さんお元気ですか。連日あついですね。
現在曲を作っております。山形県酒田の合唱曲。共同募金会から依頼されている曲。知人のチェロ、フルートのデュオ曲。8月6日第五福竜丸展示館で演奏する曲。8月30日に軽井沢メルシャン美術館で演奏するためのフルート&ハープの曲。そして10月せんくらで演奏する曲。

僕とは違って本業の大作曲家林光さんとなんどもお仕事をご一緒しているのですが、その中で光さんが、演奏会直前に作曲ができあがるときがあり、共演者の歌手の方が悲鳴をあげることになるのですが、双方とも現場での必死さが伝わってきて、なんかすごい共感する。

このように日曜作曲をやると、演奏家としては非常にいいことがある。
たとえば、今やっているブルックナーだって作り始めた今のほうが作曲家の心理や意図が理解しやすくなった。音色の使い方がわかって、あらためて、大作曲家なのかそうでないかがわかる。そして、自ずとこちらの音色観も変わる。面白い。本当に音楽って面白い。

クラシックの作曲家ではないけれど、光田健一さんというシンガーソングライターがいる。一緒に石井竜也のツアーに参加したときにアレンジしていた人なんだけど、彼の作った譜面の音色を再現したとき、ああ、音楽好きの天才を見つけた!と思った。林光さんとはじめて出会って一緒に音楽作りをさせてもらったときと同じ感触があった。音楽ってそんなすてきな出会いがたくさんある。

この夏一緒にツアーをご一緒させていただくのだが、久石譲さんも同じエネルギーの人。彼の凄まじい表現パワーは聞く人の心にすーと入り込んでいく何かがある。素晴らしい。

自分も演奏面や曲作りのほうでそんなハードルを作ってみたい。彼らが僕に信頼関係を持ってくれたように、こちらからも自分の音楽を伝えたい。最近その思いがすごく強いので、是非この機会に触れていただきたい。

写真は全然関係ないのですが、黒松団地の木に登る小さい頃の僕。この頃から高いところが好き。

 

2008年07月26日

 

第7回最終回

皆さんお元気ですか。フルートの荒川です。
昨日、仕事の合間をぬってヨーロッパの民謡「La ballade Nord-Irlandaise」をギター&ピアノのアレンジを頼まれていたので編曲しました。
すごいいい曲で、イタリアで歌われてポピュラーなソレアードのようにとてもなじみやすい曲でした。今度フルートとピアノにも手直しして演奏したいと思います。

たくさんの音楽家が出演するせんくら2008も出演するのが楽しみです。今回は青年文化会館でアンサンブル東風と早川りさこさん(ハープ)とモーツァルトのコンチェルトを共演するのも、とても楽しみしています。あと、作曲家&演奏家としてとても大好きなアーティスト寺嶋陸也さんとデュオをやります。彼と今年の始めに東京の旧奏楽堂で、安部幸明さんのフルートとピアノのためのソナタ第1番を共演したことがあり、是非これをせんくらでやりましょうということで盛り上がりました。僕は日本の戦中をくぐり抜けてきた昔の日本を知っている作曲家が大好きで、林光さんを始め、数多くの作品家の作品に出会ってきましたが、安部さんのフルートソナタは彼の代表作の一部で、とてもベートーヴェンのような構築美と、日本人の心をくすぐるような旋律がちりばめれられているのがとても素敵で、是非皆さんにも聴いてほしいと思いました。西洋の音楽に触れるからこそ、日本人の視点にたった音楽ってあると思うんですね。日本のシャンソン的な魅力にも触れてもらいたいし、なにより聴いている日本人が、コンパトリオット的な要素を発見できるような、それと西洋との異文化コミュニティをもっと全面にだしたプログラムってできないかなと思い、今回の寺嶋陸也さんとのデュオの時間はそういったことを考えてプログラミングしてみました。

皆さんもたくさんの演奏会を聞きにいかれると思います。是非僕の会もたちよって聴いてもらえれば嬉しいです。演奏会後にも差し入れも大歓迎です。

一週間おつきあいありがとうございました。